映画『桐島、部活やめるってよ』公開記念対談 神木隆之介×東出昌大 ターニングポイントとしての「映画」。
2012.08.01

学校内の誰もが認める"スター"桐島が部活を辞める。たったそれだけの出来事で校内が静かに混乱していき、物語は思わぬ展開へ進んでいく......。大学在学中に小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウのベストセラー小説「桐島、部活やめるってよ」が遂に映画化! 主演を務めた神木隆之介と初の映画出演を果たした東出昌大が本作に込めた想いとは。学生から社会人へ、モデルから俳優へと、新しいステップを踏み出した2人が語る。
Photo_Satomi Yamauchi
Edit_Hiroshi Yamamoto
-まずは原作者である朝井リョウさんの印象について教えてください。お二人と同年代だとは思うのですが。
神木: 僕の場合は最初に台本を読んでから、原作に目を通しました。そしたら原作も面白くて。学校って独特の雰囲気があると思うのですが、その雰囲気がリアルに、でも新鮮なタッチで描かれている。文面から繊細な感情、空気感が伝わってくるんです。正直、同年代の人が書いたとは思えませんでした。
東出: 僕は朝井リョウさんが年下ということに、まず驚きました。年下の方が男女の感情の変化をここまで生々しく表現できるものなんだなと、感心してしまったというか、驚いたのが正直な感想です。
-学校という誰もが経験してきた日常的な光景だからこそ、繊細な描写も頭に思い描きやすいのかもしれないですね。それでは、実際に脚本を読んでみて、どのような演技プランを組み立てましたか?
神木: ほとんど原作を気にしないようにしました。監督から役の人物設定を作る宿題をもらったときに、前田涼也という人物の家族構成から好きな映画、かすみとの関係、日常的な立ち振る舞いまで、自分なりに作り込みました。
-そういった宿題は映画の撮影ではよくあることなんですか?
神木: ないですね。でも、楽しかったです。自分のパーソナリティがキャラクターに反映されていくのが手に取るようにわかる。映画版ならではの前田涼也に想いをはせることで自然と形作られていくんです。
東出: 神木君もそのレポートを出していたんだね(笑)。ということは、出演者全員への宿題だったのかな。ただ、僕の場合は原作とシナリオを照らし合わせながらやりました。部活のこと、彼女とのこと、桐島に対する感情であったり、シナリオと原作でリンクする部分を探し出して、自分なりに解釈して...。
©2012「桐島」映画部 ©朝井リョウ/集英社
-初めての映画出演でそういった具体的な役作りの方法は、とても助かったんじゃないですか?
東出: そうですね。他に方法を知らなかったので、これが普通なんだろうなと認識していました。実際に現場でも役としてインタビューを受ける機会があって、とてもスムーズに入り込めました。
-現場でのお互いの印象はいかがでしたか? そもそも俳優とモデルという職種の違いがあったわけですが。
神木: 見上げる感じですよ、スタイル良いなぁ〜って(笑)。綺麗ですし、羨ましい。結構、素で憧れていましたね(笑)。
東出: これまで俳優さんと仕事を一緒にする機会が無かったのではじめは不安でしたよ。業界的な洗礼を受けたら......、とか(笑)。でも神木君をはじめ、出演者はみんな良い人ばかりで、和気藹々と撮影に臨めました。
-神木さんの印象はいかがでしたか?
東出: とても人懐っこくて、庶民的。冷めたお弁当も、文句も言わず美味しそうに食べていました(笑)
-そうなんですね(笑)。実際に撮影を重ねるなかで俳優として先輩の神木さんからアドバイスなどはありましたか?
東出: いや、むしろ僕から積極的に声をかけて、判らないことがあれば何でも聞いていました。帰りのロケバスでもずっと話を聞いてもらって(笑)