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KZA × Daniele Baldelli "ディスコ"にまつわる語らい。

2014.02.13

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Force Of Natureとしても知られるKZAが昨年12月にセカンドアルバムとなる「Dig & Edit2」をリリース。それを記念して伝説のクラブ「cosmic」の創始者ダニエル・バルデリとの貴重な対談をお届けしたい。約4年振りとなったアルバムリリースにまつわるエピソードや伝説とまで謳われるクラブ「cosmic」の魅力まで、"ディスコ"という共通ワードから語られる40年の歴史と現在。フイナムだけのスペシャルロング対談!

Photo_Satomi Yamamauchi
Text_Kana Miyazawa
Translate:Ryo Takahashi
Edit_Hiroshi Yamamoto

DANIELE BALDELLI
"cosmic"の創始者。イタリアのラリー・レヴァンとも評され、イタリアンの伝説的クラブ"baia degli angeli"や"cosmic"のレジデント。当時のクラッシックスをコンパイル/ミックスした「cosmic the original」でコズミック再評価が高まり、Force Of Nature等のアーティストにも多大な影響を与える。45rpmの曲を33rpmでプレイするなど独自のスタイルを持つ。絶妙なタイミングと各曲のピッチを記憶しているかの如く正確無比なミックススキルで数多くのDJに影響を与え続けて来たまさにDJのオリジネーター。

Kza (Force Of Nature)
サンプリング/ヴァイナル文化への強い愛情を胸に、ダンス・ミュージックを独自のスタンスで追求し続けるDJ/プロデューサー。2009年、KZA名義初のファースト・アルバム『D.A.E.』をMule Musiqのサブ・レーベルEndless Flightからリリース。2014年最新アルバム『D.A.E. 2』をリリース。

僕にとってのバルデリさんは"先生"です。

-まず、KZAさんへの質問ですが、昨年12月にリリースされたセカンドアルバム「Dig&Edit 2」についてお聞かせ下さい。アルバムをリリースするのは前作から約4年振りとのことですが、リリースに至った経緯を教えて下さい。

KZA(以下、K): ずっとアルバムを出したいという考えがあったので、そのための素材を毎日作っていたんですよ。それが集まったタイミングが今回のリリースのタイミングになったんです。その間ツアーだったり、DJのスケジュールがかなり忙しかったので、制作に当てられる時間が少なくて、前作から4年も掛かってしまったんですが...。

-メロウでスローなオープニングから始まって、徐々にアッパーでハッピーなディスコらしい展開になっていきます。まるで1枚のロングミックスを聴いてるかのようなイメージ。KZAさん自身では、特に意識された点はありますか?

K: アルバムを制作する上で、"ループ感を出したい"というのが基本的な考えとしてありました。そのベースになり得るネタを見つけながら、制作していったので、全体的に終わりを感じさせない仕上がりになっているのかもしれません。

-なるほど。そのループ感への意識が、ジャンルを超越したなかでの自然な流れに繋がっているわけですね。バルデリさんはこのアルバムを聴いていかがでしたか?

B: もちろん好きなトラックもあったし、正直好きじゃないトラックもあったよ。僕は自分のトラックでさえ好きじゃないものがあるからね。だから今回はKZAのトラックをさらに好きになるためにリミックスをさせてもらったんだ。

-ちなみにバルデリさんが嫌いなトラックと、その理由を教えてもらっても良いですか?

B: うーん、特に嫌いな理由っていうのはないんだけど、最初に聴いた印象で"これは好き""これは好きじゃない"ってフィーリングで思うんだ。でもKZAの音楽はこれからもずっと聴き続けるから安心して!(笑) それに、最初に好きじゃないと思っていたトラックも、時間が経つにつれて好きになることもある。4、5年後に聴いたら"あ、いいね!"って思うこともよくある。だから、世に送りだしたトラックで無駄なものはないんだよ。

-バルデリさんは今回で二度目の来日となりますが、日本の印象を教えていただけますか? 大反響で終えた初ギグには、"Cosmic"(*下記参照)を知らない世代も多かったと思いますが?

(*cosmicとはバルデリがレジデントを務めた1979年から1984年にかけてイタリアに実在した伝説のクラブ。バルデリは当時のオリジナルスタイルが評価され、「コズミックの創始者」と呼ばれるようになる。)

B: まず、日本の方々の音楽に対する姿勢が素晴らしいと思ったよ! 若い人たちがフュージョンやジャズを知っていたからね。ヨーロッパでは年配の人たちが聴く音楽とされてるから若い世代に浸透していることに驚きました。"Sugar Free"(*70年代Fusion Jazz、Hank Crawfordによるもの)とか絶対知らないだろう?! と思って実験的にかけたら、"おお〜!"って歓声が沸き上がった時には本当にビックリしたよ。

そういえば1975年か76年ぐらいだったかな? イタリアのリミニって街があるんだけど、そこに当時のプログレッシブロックバンドのレコードを探しに来ている日本人がいて。そこまでする追求力がすごいなって思ったよ。

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-確かに日本人には1つのことを熱心に追う性質があると思います。日本の街についてはどうですか?

B: まるで映画の中の世界だよね。街がキレイで車はピカピカに磨かれてるし、ヨーロッパでは考えられない。とても現実離れしているような感覚になったよ。

それに日本人の礼儀正しさはすごいね。1日何回頭を下げて挨拶するの?! ってぐらいお辞儀をしている。(お辞儀のジェスチャーをしながら)"あ、どうも。どうも"って(笑)イタリアに帰ってから、友達に"日本でお辞儀をし過ぎて腰を痛めたよ!"って言うぐらい僕もお辞儀をしたからね(笑)

-あれは日本人特有のスタイルですからね。外国人からしたら確かに不思議な光景に映るかもしれません。KZAさんがバルデリさんと会ったのはその初来日の時が最初ですか?

K: そうですね。Dommuneの時が初対面だったんですけど、素直に嬉しかったです。僕はバルデリさんのファンですからね。緊張して最初に何を話したか覚えてないんですけど、お酒の力を借りてどうにかコミュニケーション取ってました(笑) それに、DJ中にブース横でプレイしている手元を見せてもらったり、貴重な経験をさせてもらいました。

-憧れの方を目の前に、しかもそこまで接近できるのは夢のようですね。バルデリさんはKZAさんにとってどんな存在と言えるのでしょう?

K: どんな存在?? そう聞かれたら、僕にとってのバルデリさんは、"先生"ですよね。一番最初に聴いたミックスが多分80年代にクラブで録ったものだと思うんですけど、知らない曲ばかりで衝撃を受けました。それからヤバイ! と思ってものすごく勉強したし、そのミックスを聴いてなかったら手を出さなかったジャンルとかレーベルもたくさんあります。ある意味今の僕の音楽の多様性を作ってくれた人だと言えます。

-お2人にお聞きしますが、テクノでは数年前からインダストリアルテクノの再来と言われ、ディスコではNu-Discoのような現代要素を取り入れたニュージャンルが浸透し、人気を得ています。新たなディスコブームが来ていると感じていますが、そういった現象についてどう思いますか?

B: 10年毎に音楽の流れは変わっていると思うんだ。名前を変えたり、形を変えたりして、10年くくりで戻ってきている。だから、僕はNu-discoに対して特に抵抗はないし、新しいスタイルを貪欲に取り入れているよ。若い世代の感覚を取り入れてリエディットを作ったり、参考にしたりもしてる。僕は44年間DJを続けているけど、その中で新しいものを吸収していくことはとても大切なことだと思っているんだ。

K: 僕自身はそこまでディスコブームというのは感じてないですね。まず日本で1ナイトのパーティーでディスコオンリーっていうのはあまりないし。でも、最近、海外アーティストの来日は多いなと思っています。特にIDJUT BOYSや(TODD TERJE、RUB N TUG周辺)とか、すごい注目されてますよね。

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