HOME  >  CULTURE  >  FEATURE

CULTURE_FEATURE

  • OLD
  • NEW

ザ・エックス・エックスが見つけた未来。-そして、共存から生まれる2ndアルバム-

2012.08.27

このエントリーをはてなブックマークに追加
cf_xx_main.jpg

異例とも言えるほどの賞賛を浴びたデビュー作『XX』から3年、全世界が待望したザ・エックス・エックスの2ndアルバム『Coexist』は、またもや、まぎれもない傑作として語られるかもしれない。より静かに、冷たく研ぎ澄まされたサウンドは、まだ20代前半の彼らの、等身大の姿を映している。恵比寿リキッドルームで行われた素晴らしいライブの前日、メンバーの3人はそんな自分たちの現状を真っ直ぐ、穏やかに語ってくれた。

Photos_Nahoko Morimoto
Edit_Yohei Kawada

The xx ザ・エックス・エックス
サウス・ロンドン出身の男女混合3人組バンド。2008年、英・NME誌で「今年の注目新人」として大々的にフィーチャーされると、翌2009年に発表したデビュー・アルバム『XX』が全世界の名だたるメディアにおいて年間ベストアルバムに多数選出される。今年9月には待望の2ndアルバム『Coexist』のリリースを控えている。
http://www.hostess.co.jp/xl/thexx/

「今回のアルバムは、まったくこの3人だけで作ったものなんだ」。

-2年ぶりの来日ということですが、2010年のフジロック以降の活動について聞かせてもらえますか。

オリヴァー・シム(以下、オリヴァー:敬称略): ああ、確かにフジロック以来だね。あのときはツアーも残り2、3ヶ月という状況で、それが終わってからはイギリスに帰って日常を取り戻した。その後、かなり早い段階で次のアルバムの制作に着手したんだ。

ロミー・マドリー・クラフト(以下、ロミー:敬称略): ツアーから帰ってすぐにオリヴァーが私にいくつか曲を聴かせてくれて、それがすごく良かったの。2011年は断続的だけど、ずっと曲を作っていたわ。それで10月にはレコーディングに入ったという感じ。

-少し野暮な質問かもしれませんが、全世界で賞賛を浴びた前回のアルバムから、プレッシャーを受けるようなことはありましたか?

ロミー: 確かに、まったく誰が聴くのか想定できない状態で作ったデビュー作に比べれば、今回の作品はおそらく多くの人々の耳に届くだろうというのは分かっていたわ。とはいえ、曲を作り始めてしまえば自分の気持ちや世界に入って専念してしまうから、いわゆる外野の声に影響されたりすることはないわね。ただ、高い目標を設定して作ったわけだから、もしプレッシャーがあるとすればそれは自分たち自身のなかから来るものね。

cf_xx_sub01.jpg

-その高い目標と自分たち自身のプレッシャーを越えるために、どのように制作を進めていったのか教えてください。

オリヴァー: 今回のアルバムは、まったくこの3人だけで作ったものなんだ。『XX』はレーベルのオフィスの車庫を改造したスタジオで作ったんだけど、プロデューサーを立てていたわけではなかったから当然僕らが中心となって制作したとはいえ、周囲に大人がいて騒音があったりしたからね。今回はジェイミーがスタジオとなるアパートを見つけてきて、そこに機材を置いて本当に3人だけで、まったく自由な状態で作ったんだ。これは自分たちへの挑戦でもあった。作った音も外部の人には一切聴かせなかったしね。ただ、どうしても煮詰まったり、どうしていいのか分からなくなるときがあって、そういうときは最終的に第三者に意見を伺うこともあったね。とはいえ、これはとことん3人で作ったアルバムだと言っていいと思うよ。

-あなたたちは年齢的にはまだとても若いですが、外部の干渉を受けて制作をするのはなるべく避けた方がいいと考えますか?

ジェイミー・スミス(以下、ジェイミー:敬称略): 今はそうだね。自分たちが何をやらなければならないのか、どういう風に進めていくべきなのか、その辺りのノウハウがしっかり分かってきたというのがあるし、単純に3人だけの方がやりやすい。前作は前作で、本当に多くの人のおかげであのような作品を作ることができたんだけど、『Coexist』に関しては自分たちだけでやったからこそ、こうして強い作品に仕上げることができたんだと信じてるよ。

-その今作ですが、サウンド的には前作よりも深く、奥行きのあるアルバムに仕上がっているという印象を受けました。何かコンセプトがあれば教えてほしいのですが。

オリヴァー: じつは、あえて方向性を決めて作り始めたわけではないんだ。楽曲単位で追求して、好きなように作業していった結果こういう作品になったんだよ。「こういう作品を作ろう」という話し合いもなかった。じつに自然なかたちで、仕上がったんだ。

cf_xx_sub02.jpg

-ダンスミュージックの要素も取り込まれていますね。

ジェイミー: そうだね、今回はクラブミュージックの要素を意識的に盛り込んだんだ。イギリスでの日常を取り戻していく中で、翌日の取材のことや仕事のことを心配せずにクラブに遊びに行くことができたし、それだけUKのダンスミュージックに触れる機会も時間も多かったんだ。僕はもちろんだけど、ロミーもDJをするようになったしね。それらが、ごく自然に今回のアルバムには入っているよ。

ロミー: ジェイミーに比べたら、私なんてテクニックも自信もないけど、やっぱり音楽をかけることは好きだし、ツアー中の空いた時間の趣味として見つけたものなのに今ではとても楽しんでいるのよ。オリヴァーも私たちがプレイするときは必ず遊びに来てくれるし、バンド以外の活動もそうやってお互いに応援し合えているのはいいことだと思う。

オリヴァー: 僕は専らリスニング専門だからさ(笑)。いちファンとして、去年ジェイミーがDJでヨーロッパを回ったときも一緒について行ったりしたしね。

-3人はほんとうに仲良しですね(笑)。

全員:(笑)

オリヴァー: まあ、バンド活動以外の部分では、僕らはほんとうにただの友達だからね(笑)。毎日一緒に過ごしているけど、それは自分たちにとって普通なことだし、違和感もないんだ。

1  2

CULTURE FEATURE TOP

  • OLD
  • NEW