World Street Classic Vol.3
2012.07.03

ジワジワと盛り上がってきた「World Street Classic」。清水の舞台から飛び降りる覚悟で「スーツ」という難題にチャレンジしたVol.2の、意外な高評価に気を良くして、第3回目に突入! 今回は、スーツの中に着るシャツの話と、スーツ周りのまとめの話です。案の定と言いますか、シャツも「WSC」らしいハズしへと話は流れ、やや脱線しつつも、服好きだからこそのアツい話が展開されていますので、是非ご一読を。
Photo_Yuya Wada
Edit_Ryutaro Yanaka
―それでは、スーツに続きまして、中に着るシャツの話をお願いします。
小野田 史氏(敬称略/以下小野田):前回のスーツの歴史とは対象的に、かなり趣味的な方向で、シャツ編はクラシックなメーカーを紹介します。これは〈サンマルコ〉っていうヴェネツィアにあるカミチェリア(シャツメーカー)で、ヘミングウェイ本人がオーダーしていた形というシグネチャーモデル。〈サンマルコ〉はス・ミズーラで、今まで既成は展開していなかったんですが、今回初の既成で日本橋の三越本店で展開しています。
〈サンマルコ〉リネンスポーツシャツ "へミングウェイ" ¥39,900(日本橋三越本店 03-3241-3311)〈サンマルコ〉リネンスポーツシャツ "へミングウェイ" [上]ブルー、[下]ネイビー ともに¥39,900(日本橋三越本店 03-3241-3311)
小木 "Poggy" 基史氏(敬称略/以下Poggy):また、凄いのから出てきましたね。
小野田:僕もヘミングウェイが好きで、彼と言えば〈モレスキン〉や〈アバクロ〉しかりですが、こんなのを見つけたので持ってきてみました。
―素材はリネンですか?
小野田:はい。バイヤーの方に話をうかがったら、もともとス・ミズーラしか受けていかなったシャツメーカーなので、卸の価格ひとつを決めるのにもかなり難航したようです(笑)。
〈サンマルコ〉コットンオープンカラーシャツ "デューク オブ ウィンザー" ¥36,750(日本橋三越本店 03-3241-3311)Poggy:あぁ、ウィンザー公は半袖シャツ着てる写真ありますもんね。
小野田:それが、ここのシャツです。他にもパジャマを作ったりもしていたそうです。あとは〈ジバンシィ〉の創始者ユーベル・ド・ジバンシィがオーダーしていたモデルですね。こういうクラシカルなアイテムをストリートで楽しむのがイイかなって。この手のクラシックなアイテムを、スケーターのシグネチャーモデルを履くぐらいの感覚でチョイスしたいですね。
コットンオックスフォードラウンドカラーシャツ "ジバンシー" ¥36,750(日本橋三越本店 03-3241-3311)Poggy:そのシャツ着て、〈ジバンシィ〉のネックストラップとか着けてもカッコいいですよね。
小野田:クラシック×モードな感じ、いいですよね。こういうブランドしかり、誰も引き出してない面白さがクラシックにはあるから。それで、ヘミングウェイと言えば〈シャルベ〉ってことで。
Poggy:僕、〈シャルベ〉は1枚しか持ってきてないんですが...。
―これは、ユナイテッドアローズで別注しているモデルですか?
Poggy:はい。毎回、鴨志田が生地を選んでオーダーしているモデルの中の1枚です。〈シャルベ〉だと他にネクタイとかニットも持っているんですが、独特な柄や色使いが好きなんです。〈シャルベ〉のネクタイしてると、絶対誰かに「ネクタイ、〈シャルベ〉でしょ?」って聞かれるんです。結び目も全然違うんですよね。
―それは、なんとなく分かる気がします。
Poggy:あとは、これはちょっと前に買った〈ターンブル&アッサー〉なんですが、50年代の古着で、昔のクラシカルなストライプ。某有名デザイナーがこの辺のストライプのパターンを参考にして、今風にアレンジしてシャツを作ったりしてリリースしているようです。
小野田:007が着ていたのが〈ターンブル&アッサー〉で、ルパン3世が着ていたのが〈シャルベ〉って話がありますよね。
―そうですね。ルパンと言えば、シャツが〈シャルベ〉で、ジャケットはサビル・ロウの〈ヘンリー プール(Henry Poole)〉でオーダー、ネクタイは〈カンタス・マーラ(Kountess Mara)〉の最高級シルクを1回しか使わない的な話が有名ですよね。
小野田:次元大介は全身〈VAN〉で、BDシャツしか着ないっていう。
―それで銭形警部はコートは〈バーバリー〉で、足元は〈タニノ・クリスチー〉ですよね。
Poggy:(笑)。
小野田:その設定を知ったときは、かなり興奮しました。<シャルベ>の、ヘミングウェイからルパンまでって話。
Poggy:そう、これは個人的なことなんですが、イギリスやフランスのクラシックなシャツを知ることで、古着の接し方も随分変化してきました。日本の古着屋でも革靴が増えてきていますが、アメリカの〈フローシャイム〉とかが多いですね。ただイギリスに行くと本場だけあって〈チャーチ〉の昔のモデルとか、〈ターンブル&アッサー〉のシャツが売ってたりして、古着の見方もだいぶ面白くなってくるんですよね。
小野田:自分も昔は知らなかったけど、古いシャツをみて、「あっ、旧タグだ」って喜べてますから。〈リーバイス®〉のヴィンテージ見るような感覚ですよね。
Poggy:そうですね。あと〈シャルベ〉はパリのお店の2階のフロアで、年に1回だけセールをやっていて、それを楽しみにしてるんです。凄い柄もあるし、破格で買えるんですが、年が経つごとに在庫がなくなってきているんですよ。ちなみにそこでは、昔のニットベストなんかも売っていて〈バランタイン〉とのダブルネームなども並んでいたりして、買ったりしています。
―羨ましいですね。
Poggy:(私物のシャツを見ながら)この時代のシャツって、オーダーでイニシャルを入れていることが多いですよね。古着に触れると「この時代って、こういう感じだったんだ」って。
―時代感が伝わってくる?
Poggy:肌で感じると1番早いというか、古着もクラシックなものを買うようになってきましたね。
小野田:一般のイメージとして、小木ちゃんが古着を着てても古着には見えてないと思うんです。それは良いモノの見方というか、目利きが出来てるからでしょうし、レーベルの選び方だったりするんでしょうね。
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