World Street Classic vol.1
2012.05.02

Vol.0でのプレスタートに関わらず人気企画になる予感をヒシヒシと感じる「World Street Classic」。きっちり定例企画化するために、この企画のロゴとキャラクターを、Poggy、小野田両氏が尊敬する方に作っていただき、Vol.1に突入! とにかくPoggyがいま気になっていることや、それにまつわるファッションのヒストリーやカルチャーについて思いの丈をぶちまけていただきます。パートナーのスタイリスト小野田史氏とともに見て感じた、いまのファッション、届けていきます!
Photo_RINTARO、Yozo Yoshino[Item]
Edit_Ryutaro Yanaka
―正式に連載スタートですが、前回途中になった〈ペルソール(Persol)〉の話辺りから始めますか。
小木 "Poggy" 基史氏(敬称略/以下Poggy):サングラスだと、〈ペルソール〉が気になっています。
小野田 史氏(敬称略/以下小野田):これが、小木ちゃんから教えてもらった〈ペルソール〉の649。小木ちゃん言うところの"エルメスモデル"なんですが。
Poggy:〈エルメス〉や〈チェーザレ アットリーニ〉のスタイリングブックでも〈ペルソール〉のサングラスが使われているんです。
―そうなんですね、イタリアモノを取り入れるのは珍しいですね。
小野田:なんといっても、このテンプルをポイントとしたフレームのラインがカッコいいですよね。この"シルバーアロー"でひと目で〈ペルソール〉って分かりますし。
Poggy:多くのブランドの元ネタにもなってますよね。
小野田:僕も〈ペルソール〉を持ってるんですが、ストリートの感覚でイタリアモノに手を出すって、結構勇気がいるのは正直なところではありますね。
―事故る可能性も高いですしね。
小野田:そう。しかもイタリアモノに手を出すと周囲から「そっちに行っちゃった」って言われそうでイヤだったけど、例えば僕は〈ペルソール〉を初めて買ったのが22〜23歳くらいのときで、『ターミネーター2』でシュワちゃんがハーレー乗って掛けてる姿観て、これはヤバイと思ったから。それで、ヘヴィーデューティを通ったもっと上の世代の人たちだと、〈ペルソール〉と言えばスティーブ・マックィーンで、714のフォールディング(※折り畳める)モデルなのかもしれないですが、僕らのストリートっぽい感じだったら、649のビックフェイスな感じがやっぱりイイと思います。
―〈ペルソール〉っていうと、エディフィスなどを筆頭としたヨーロッパな印象が強いんですよね。
Poggy:イタリアだと歩いている人が普通に掛けているぐらいメジャーですし、日本でも以前はあんなにドコ行っても売ってたのに、代理店が変わって今じゃあまり見かけなくなっているんです。
小野田:マーク・ニューソンがヴィンテージの〈ペルソール〉掛けてて、それもじつは日本のブリンクで買ったらしいとか。それで、マーク・ニューソンモデルも、もう少しスクウェアで大きめな感じですが、イタリアモノのサングラスだけど、"そっち側の入り口"の方が、このブランドは面白く扱えるんじゃないかって。カチューシャ代わりじゃないけど、無造作に頭に乗せてるだけでも"こなれ感"はもう十分ですよね。
Poggy:ジョエル・チューダーも別のモデルを掛けてたり、サーフ系でもアリですよね。〈ペルソール〉を元ネタにしているであろうメガネを掛けてる人がストリートにも増えてきてるから、そこはオリジナル的な存在の〈ペルソール〉を掛けるのがイイなって。シルエットもキレイですし。
―やっぱり天の邪鬼ですね(笑)。
Poggy:話は変わって、いま自分の中で空前のスカルブームが来ていまして(笑)。
―意外ですね。きっかけを聞かせて貰えますか?
Poggy:エイサップ・ロッキー(ASAP Rocky)がスカルを取り入れてて、それで〈バーカーブラック〉も履いていたと思うんですが。
今まで自分が持ってたスカルって〈バーカーブラック〉と〈ラグビー ラルフローレン〉くらいで。あと、昔〈ガボール〉のスカルビーズとか流行ったときに買ったぐらいで、どちらかと言うとスカル自体は嫌いなモチーフだったんです。それが最近、先輩に譲ってもらった〈ガラード(Garrard)〉のウォレットチェーンがあって、5年ほど前にジェイド・ジャガー(※ミック・ジャガーの娘で、モデル)がブランドに招かれてデザインが変わったんですが、イギリスの伝統的なブランドにジェイドのような人がデザイナーとして入って作り上げた、スカルのウォレットチェーンっていうのが良くて。今はもう売ってないので、頼み込んで譲って貰いました。
小野田:小木ちゃんはこういったラグジュアリーなアッパークラスの持ち物を、自分のスタイルに取り込んでいくのが本当に上手だよね。大概ラグジュアリー系だと、これ見よがしというか水っぽくなりがちだけど、小木ちゃんはそういうのがなくて、自分のスタイルに引き寄せてる、違和感なくぶっこんでる感があるよね。
Poggy:ありがとう(笑)。先日、スカルのジュエリーばかり作ってるデザイナーさんに話を聞いたんですけど、その方がスカルを作り始めたきっかけは〈パウエル(POWELL)〉なんだそうです。〈パウエル〉がスケートシーンでスカルモチーフを使い始めたのが印象的で、影響を受けたんだそう。
あと〈オア・グローリー〉のスカル、かつて南アフリカに滞在したイギリスの部隊のマークとして、あのスカルが使われていたみたいで。そういうミリタリー的な要素とか、〈パウエル〉のストリート的な視点で見るとアリなんだなって。メキシコだと、もっとポジティブな意味でスカルを捉えていたりしますし。
―遅れてきた空前のスカルブームですね(笑)。
小野田:〈オア・グローリー〉って、ジョー・ストラマーが付けてたループタイに付いてる、あのスカルですね。あれも、竹下通りのジャックスのエロビスさんらマニアに言わせるとカニ目とナミダ目っていうのがあるらしく。レア目のスカルにはプレミアムな値段が付いてるらしんです。
―ほぉ。ホントいろいろ詳しいですね。
小野田:僕のクラシカルなアクセサリーの持ち物では、〈カランダッシュ(Caran d'Ache)〉のレトロっていうペンを。スイス・ジュネーブの鉛筆会社なんですが、創業100年近い会社が出している六角ボディのボールペン。みんな〈モンブラン〉とか〈ラミー〉には行くけど、こっちに行く人っていないなって。こんなのをジャケットのポケットにサラッと挿してたら面白いなって思ってるんだけど、そんな琴線に触れる人になかなか遭遇しなくて...。
小野田:もちろん〈ティファニー〉のでもイイんですが、ちょっと華奢で女性っぽく見えますし、〈カランダッシュ〉の方が硬派、その辺りはやはり専業なので。
Poggy:イイねぇ~(笑)。
小野田:元々、このエクリドールのレトロは、大戦時にドイツ駐在のアメリカ軍が1,000本オーダーを入れて出来上がったモデル。よく見ると無骨だから、アメリカっぽい感じだなって。こんなのをサラッと持ってたらカッコいいなと思ってたら、じつはこの前、馴染みのお直し店のオンナのコが持ってて、魅力が1.5倍くらい跳ね上がりました(笑)。
―そういった、オンナのコが使っていたらアガるファッション話も後々はしていきたいですね。
次のページでは、影響された雑誌の話を聞いていきます。