FEATURE |
Cote & Ciel –Creative Director‘s Interview-

MG_9491.jpg

ー〈コート エ シエル(Cote & Ciel)〉のバッグといえば、一目でそれと分かるアイコニックなデザインが印象的です。シルエットのみでブランドを特定できるバッグなんてなかなか無いと思うのですが、デザイナー/ディレクターとしてはこれまでどんなキャリアを歩んできたのですか?

初めてデザインの仕事に就いたのは、18歳の時。スケートボードのTシャツを作るグラフィック会社でした。その2年後には製造業の会社を立ち上げ、ポルシェやBMW、アウディといった高級車用のグッズを作り、2000年からはまた別の会社を立ち上げてApple社と提携し、Mac用のアクセサリーのデザインを手掛けてきました。こう考えると、あまりファッションの分野で働いていた経験はないんですよね。

ーそこから活動の場をファッションシーンに移したきっかけを教えてください。

2007年に、元々知り合いだったファッションデザイナーのダミール・ドーマとタッグを組んで、新しく会社をつくったのがきっかけです。彼をCEOにし、僕はパートナーとなってサポートしつつ、翌年には自分のブランドとして〈コート エ シエル〉を設立しました。最初は友人や知り合いといった身近なコミュニティの中でバッグをつくる小規模なものでしたが、今では僕の仕事の多くのウェイトを占めるまでに成長しました。

MG_9504.jpg

ー主にプロダクト(=工業製品)デザイナーとしてのキャリアが長かったとのことですが、現在ご自身が手掛けているバッグに対して、“ファッションアイテム“という認識はお持ちですか?

僕の中では完全に“プロダクト”ですね。ファッションシーンで話題となるものを作りたいというよりは、プロダクトとして完璧なものを作りたいと常々考えています。

ーそんな想いが、PCやガジェット類の収納に特化した使い勝手の良さにも現れているのだと感じました。具体的なターゲットは設定しているのですか?

一つのプロダクトとして見ているので、例えば「18歳の原宿を歩いている男の子や女の子に向けて作っていて、こんなキャラクターの人に買ってもらいたい!」という明確なターゲットはあまりないんですよね。どちらかというと、自分たちが欲しいものを、自分たちのために作っているという感覚で、その時の気分に沿った自然な流れで製品は誕生しています。旅の中で自分たちが見たもの、感じたもの、そしてその中でどんなファンクションが必要で、どういったものが美しく見えるのか。幸運にもすばらしいデザインチームが僕の会社にはいるので、彼らがその想いを汲み取って形にしてくれています。だから、誰かのために作っているとか、こんな人に持ってほしいという考えは全くなくて。むしろそういうスタンスが、色々な人に受け入れられたんじゃないかな。

ー〈ダミール・ドーマ〉のようなブランドとの相性はもちろんのこと、日本ではジャンルを問わず、様々なスタイルの人が持っているのを目にします。

今僕が着ているパーカーも〈ダミール・ドーマ〉なんだけど、これに限らず、どんなスタイルにも合いますね。というのも現代のファッションは、ハイエンド、カジュアル、ヴィンテージをミックスしたスタイルが主流になっていて、ジャンル分けが以前よりも曖昧になった気がします。実際に、〈コート エ シエル〉のスタッフはもちろん、ダミールも僕のバッグを使っているんですが、みんなそれぞれ好きなテイストは異なるので。作る側からしても、あえてステレオタイプに捉われない方がいいんじゃないかな。結局のところ、プロダクトを愛する気持ちのある人なら誰でも似合うだろうし、そういう人に買ってもらいたいと考えています。

MG_9567.jpg

ーちなみに今ステファンが持っているバッグは?あまり見かけないデザインですね。

日本ではバックパックの人気が飛び抜けているからね(笑)これはオールドサンプルで、もしかしたら実際の商品とは少し仕様が違うかも。僕はいつもサンプルを持ち歩いていて、「これが使いやすい」「これが使いにくい」というのを自分でテストしているんです。ホテルだとか飛行機だとか、色んなところに持って行くので、検査機関のテストよりもかなりリアルなはず(笑)金具だとかも、少しぶつけただけでクラックができてしまわないかとか、何気ないことが使っているうちに見えてきて、製品化するときに役立てることができるので。このバッグは旅行に持って行くことが多いので、物が取り出しやすいようサイドポケットを充実させました。

ーバッグの中には普段どんな物を入れているんですか?

MG_9675.jpg

まずはニットキャップ。出張の旅の途中は寒い地域と暖かい地域を行き来するからニットキャップは重要で、特に今のウインターシーズンは欠かせません。

MG_9657.jpg

サングラスはいろんなスタイルが好きで、出張時は3週間も旅をしているから、その時々に着ているものに合わせられるよう常にたくさん持ち歩いてます。右上のサングラスは、〈マイキータ(MYKITA)〉とコラボして製作した、僕のブランドのものなんだ。

MG_9688.jpg

一番重要なのがお金。出張ではたくさんの国をマーケティングするから、それぞれの国でお金を両替します。領収書も多くて、ホテルに汽車、航空券と、とにかく大変(笑)ちなみにポーチは〈無印〉のものを使うことが多いんです。

  |