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HIGASHI-TOKYO MAKERS ROW 「東東京モノヅクリ商店街」ってなんですか?

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近頃、なにやら東東京が騒がしい。なぜこの地域では、昔ながらの職人と新世代のクリエイターが肩を並べることができたのか。先頃行われた「東東京モノヅクリ商店街」のお披露目会の模様を通して、いま現在の東東京の物づくりの実態を探っていきます。

Photo_Masahiro Arimoto
Text_Satoru Kanai

東東京モノヅクリ商店街
国際ファッションセンター株式会社(KFC)とクリエイティブチーム『SELF』によるプロジェクト。「感度を上げる」「良い物を売る」「地域産業のファンを作る、広げる」という3つのミッションを軸に、東東京のモノヅクリ企業とともに地域ブランディングや産業の活性化を図る。
www.higashitokyo.jp


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点から面に。面白いものを集める場所。

東東京に点在する企業とクリエイターを繋ぎ、魅力的な商品を開発、購入するための「架空の商店街」をつくるという、このプロジェクト。一体、どんな思いから生まれたのか。まずは「東東京モノヅクリ商店街」プロジェクトの指揮をとったKIRAさんに話を訊いてみました。

「もともと、東東京の物づくりを盛り上げていきたいと相談を受けたのがスタートです。実際に東東京エリアに足を運んでみると、おもしろいモノをつくっている企業もあれば、Nuiのようなおしゃれなゲストハウスもある。だけど、全部が点で存在していて、すごくもったいないなと感じたんです。じゃあ、それらが集まる商店街を作りましょうよ、と。それをみた人が集まってくれば、点が繋がって面になるんじゃないかと」

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「東東京のなかでも墨田区がとにかく元気な印象ですね。前のめりで、いろんなことに挑戦しようとする気概がある。それが今の盛り上がりにも繋がっているんだと思います。『こうしたい!』っていうアクションがはっきりしているんですよ」。

東東京で芽生え始めた小さな蕾を丁寧に紡ぎだす。バズを起こすのではなく、じっくりと育てていく。先日行われたお披露目会には、応募から選ばれた8社が参加。なかでもフイナムが気になるメーカーをいくつかピックアップ。KIRAさんの解説とともに紹介していきます。

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つくって終わりではない。

縁日などでよくみる「ふうせん」。いまや、そのほとんどが中国製。そんななか、日本製の手作りふうせんを後世に残すべく、高齢で後継者のいない職人の工場を買い取ったのが『マルサ斉藤ゴム』。

ここでは、デザイン雑貨ブランド〈アッシュコンセプト〉がデザインを手がけた「マンマル ディー」や、ゴムの上に別の色のゴムを重ねることで、膨らませると色の変わる「ヘンシンバルーン」といった商品を開発・販売している。どちらも、技術力のあるメーカーだからこそ生み出せる商品だ。

「基本のミッションとしては、物づくりの企業を応援することですけど、大概がコラボ商品をつくるだけで終わってしまうんです。作ったはいいけど売り場所がないとか、そういうものにしたくない。物づくりの過程に関しても、売れるマーケティングをした上で、売りやすい価格帯やフックになる付加価値をつけて商品開発した上で、さらに売り場自体も自ら作って発信していけることを目標にしています」(KIRA)


マルサ斉藤ゴム
www.maru-sa.co.jp


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これは、格闘技のトロフィーから企業の記念品のほか、様々な商品を手掛ける〈トロフィー佐藤〉による防水のシール。

「このシール自体はすでにあったんですが、どこにでも貼れるシールってすごすぎて、そのままでは伝わらない。そこで、ちゃんとセグメントしましょうってことで、傘をカスタマイズできるシールをつくろうと。たまたま、イラストレーターの関根正悟さんが傘に貼るシールを自分で作って遊んでらっしゃらるのをインスタグラムでみつけたので、それなら技術があるから一緒にやりませんかとお声がけしました。そこから、値段や販路をテストしながら、実際に商品化しています」(KIRA)


トロフィー佐藤
www.grand-prix.jp


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企業とクリエイターの橋渡し。

革小物の製造企業〈駒屋〉の財布は、〈ミーンズワイル〉のデザイナー藤崎尚大さんにデザインを依頼。「アパレルの洋服をデザインするだけではなく、自身の持っているデザインの幅を広げるのに、こういう企業の商品をプロデュースしても面白いのでは」とKIRAさんが藤崎さんに話したのがキッカケだという。

企業とクリエイターを繋ぐことは、プロジェクトの柱のひとつでもある。ただ、実際の制作過程で感覚の違いやズレは起きなかったのだろうか。

「駒屋さんを例に出すと、むしろ技術的な部分をどう改良していくか、進めていく中で駒屋さん側から『こうしたら面がキレイに出ます』など意見を頂けて、結果的に完成度の高いモノになりましたね」


駒屋
www.komaya-japan.com

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