少し話が逸れますが、スクオーバルでもグッドデザイン賞を受賞した雑貨をセレクトしているように、洋服+aで提案するショップが今やスタンダードとなっています。それについてはどうお考えですか?
僕は、“ライフスタイルの提案”まではあまり考えていないんです。こういうファッションが好きな人は、こういう机とイスと植物と食器とロウソクと…みたいなのは、何か違うんじゃないかなって。あくまでも僕個人の意見ですが、提案されたライフスタイルが響くのではなく、一つ一つのモノを追求することがその人らしいライフスタイルに繋がると思うんですよね。本当に自分が好きな洋服でもいいし、ソファでもいいし。それは値段や年代、テイストに捉われたりするものでもない。だから例えば、西海岸テイストの服だからカリフォルニアっぽいものを並べて、「どうですか?」っていうのは、結局雰囲気だけで終わる気がする。1年前はそれでうまくいったかもしれないけど、今はうまくいっているとは思えない。それにも疲れてきているんじゃないですか(笑)だから〈スクオーバル〉は、本当に好きなものを追求していった集積にしたいんです。
今回のコレクションで、“春夏”“秋冬”と1年分のコレクションを経験されたわけですが、何か見えてきたものはありますか?
そうですね。特別な時に着る特別なものも大事なんですけど、もっと普段着寄りにしたいなと。一言で言うと“簡単に着られるもの”。軽くて着ていて楽だとか、雨ふっても気にしないとか、家で簡単に洗えるとか、そういう実用的な部分を追求しなきゃいけないのかなと思います。
それでは最後に、次の春夏の構想を教えてください。
“フレンチ”をテーマで提案したいと思っています。今年の8月にパリに行って色々見て来たんですが、気分的にはフレンチテイストのコーディネートというか、ひとつひとつのアイテムが主張し過ぎていないものが印象的でした。アメリカものって主張がすごいじゃないですか、スウェットやデニムひとつとっても。そうではなく、あまり主張しすぎていない、控えめな感じがいいかな。