vol.43
UK?OK!! Special Q&A
8月6日よりパルコファクトリーで行われている「UKグラフィック展」。
そのイベントに参加するクリエイターにQ&A形式で10の質問。
雑誌やCDが売れないと騒がれている中、音楽と密接に関わることで日々新しいグラフィックを生み出すUKデザイン。これから、グラフィックはどうなっていくのか。そんな疑問に答えてくれたのは、UKグラフィックを牽引する「TOMATO」「Julia」「Non-Format」の三組に加え、会場の音響空間デザインを担当したオノセイゲンさんと、会場のデザインを手がけた建築家の谷尻誠さんの五名。みなさん、音楽やグラフィックは、今後どうなっていくんですか?
「TOMATO」 フロンティアが開拓されるようなものさ 。
Q.1 今、関わっているプロジェクトを教えてください。
韓国のファッションブランドのA/Wキャンペーンを手掛けているほか、"Underworld"向けに撮った映像をちょうど編集し終えたばかり。それから運動に反応する、15メートルの"動く壁"のプランを進めている。この夏の終わりにはFuji Bicyclesから僕がデザインした自転車が発表されるよ。
Q.2 音楽に関わるグラフィックは、今後どのように変化していくと思いますか?
音楽とイメージは相伴う関係にある。 トラディショナルなレコードスリーブ、CDジャケットは消えつつあるけれども、音楽そのものの認識を助けるものとしてイメージは変わらず必要とされるだろう。 PV、ポスター、ダウンロードの際のデジタルグラフィックなど、アルバム、シングルに付随するすべてのヴィジュアルはこれからも存続していく。 音楽のやりとりがダウンロード中心になった後も、音楽のためのデザイン、イメージはいっそう重要なものになりうると思う。
Q.3 世界的に電子書籍にかわりつつある出版や音楽業界の中で、ブックデザインや、CDジャケットなどのグラフィックは、どういった形で残ると思いますか?
僕は紙媒体の出版物が完全になくなるとは思わない。ただの書籍、雑誌としてというよりは、芸術品として残っていくだろう。 重要なのは情報伝達の手段として、モバイルコミュニケーションに頼る割合が多くなっていくであろうこと。 デザイナーやアートディレクターがこの状況にどう対応していくのか、すごく興味深い。 映像や音だけでなくAugmented Reality(拡張現実)や自己生成していくグラフィックなどの新しい技術も含めて、メディアが統合されることはフロンティアが開拓されるようなものさ。
Q.4 なぜ、作品を作るのですか?
かゆいところを掻くようなもの 。
Q.5 もし、今PCがなくなったら、あなたはどんな方法でデザインワークを行いますか?
僕はコンピューターなしで仕事をしてきた最後の世代だから、アナログな世界の経験を覚えている。僕はその時代を経験できたことをすごくラッキーなことだと感じている。その経験は僕の記憶の底に("mark making"のように)しっかりと刻まれていて、コンピューターで制作しているときもアナログ時代に考えていたような思考の方法を使っていることも多い。
Q.6 ロンドンと東京の共通点と異なる点はなんだと思いますか?
1990年代半ば、僕はこのテーマのエキシビションを資生堂ギャラリーで開催した。 すべてのリサーチを終えてわかったのは、目に見える部分を比較すれば違いが際立つが、文化の奥には似たものが存在しているということ。 現在、その文化の表層に見える差異もだんだん曖昧なものになってきていると僕は思う。世界中で僕たちは同じ情報を享受しているし、それが多様性を損なっている。
Q.7 UKグラフィックの特徴とは?
アイロニカルで、多様なこと!
Q.8 グラフィックデザインとファッションは、どんな関係にあると思いますか?
ともに、使い捨てとも言えるような早いスピードで移り変わる現代的な文化なので、同様の緊張感をはらんでいる。 しかし、ファッションもグラフィックデザインもともに社会を(鏡のように)映し出しているものだ。僕たちが身につけてきたものや、どうやって自分たちを表現してきたかを振り返ると、その中に反映された自分たち自身の姿を見ることができる。
Q.9 アパレルの広告、ブランディングを手がける際、どんなロジックで作り上げるのですか?
まず、そのプロジェクトの消費者やコアマーケットを理解することから始める。そして、ブランドの現状と理想像との間にギャップがないかを探す。 これらの作業を行いながら、ブランドが前進するエキサイトな方法を模索し採用する。
Q.10 最後に、好きなファッションブランドを教えてください
もし自分自身が着るのであれば、UKのブランドでは〈Maharishi〉。日本のブランドでは〈Bedwin and the Heartbreakers〉。
プロフィール
多分野のクリエイーターが集まったクリエイティブ集団として、1991年に設立。映画『Trainspotting』のオープニングムービーやSONY、 NIKEのTVCFなどの映像作品のほか、Tomato内のユニットUnderworldによる音楽からのアプローチなど、その表現方法は多彩。グラフィックデザイン、ウェブサイト、インテリア、建築など多方面で活躍する。
www.tomato.co.uk/
TV Asahi / Branding /2002
Nouvelle Vague 3 / cd Packaing 2009
Mmm... Skyscraper I Love You / book /1994
Sony PS2 / Adverising Campaign /2003
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