柿本陽平
ナノ・ユニバース プレス
GAO
「突然君と出会いたい」
もちろん髪型は短髪ツンツンにチェンジ!
小学校高学年の話です。声変わりが遅く、学校の音楽の授業では女子集団に混じり「ソプラノ」のパートで歌わされていた自分。恥ずかしさに震えつつ"歌声コンクール"の壇上に立っていました。思春期を迎え、周りの目を気にするようになった時に自然に憧れてしまうのは男っぽいものでした。そんな時にテレビのCM(カラオケDAM)で出会ったのがこの曲です。短髪ツンツンヘアのルックスと、ハスキーボイスが際立っていた"GAO"を始めて見て 一気に憧れます。(その時は男性だとは思い込んでいました。)当時、最も仲が良かった友人Gくん(彼もパートはソプラノ)がこのCDを所有していたので、 繰り返し聴き込むようになり、頻繁に口ずさみ、カラオケでは当たり前のようにDAMを選びGAOのハスキーボイスを真似て歌いました。もちろん髪の毛は真ん中分けから、短髪ツンツンにチェンジ。思春期に最も影響を受けた曲、CMです。
金田英治
ビームス PR ディレクター
Culture club
「Karma Chameleon」
17歳の少年にとっては雷が落ちたような衝撃でした。
この曲が大ヒットしたのは1983年。当時17歳の自分にはあらゆる意味で衝撃的でした。ベストヒットUSAを毎週楽しみにしていた洋楽大好き少年は、この番組でPVというものを通じて、それまでレコードで聞いていた海外の大物アーティストが"実際に動く姿"などを見てとても心躍る週末を過ごしていました。マイケル ジャクソンやデヴィッド ボウイはもっと前から聞いていたけれど、ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース、ティナ・ターナー、J.ガイルズ・バンド、マドンナ、ケニー ロギンス、TOTOなどなど、多くのアーティストの曲をこの番組で知ったものです。で、今回の問いに対してはたくさんの曲やアーティストが浮かびましたが、その中でもこれを選んだ理由は、個人的な思い出と歌詞の「カーマ カマカマカ......」という部分が恥ずかし風味満載なので。当時の自分の周りには絶対いなかった(というか、当時の自分はそういう人がいるってことも想像できなかったわけですけど)"妖艶"な姿、そしてその素敵な歌声、圧倒的な存在感。ジェンダーというものにようやくリアルに目覚め始めた17歳の少年にとっては、陳腐な言い回しですが、まさに雷が落ちてきたような衝撃とでも言いましょうか。お袋の化粧品をこっそり拝借しアイシャドウを塗ってみた(しかもちょっと外出!)のも今では良い思い出です。
斉藤 悟
アーバンリサーチ プレス/マーケティングマネージャー
杏里
「最後のサーフホリデー」
杏里を聴きまくっていた中2の頃。
当時、スイミングスクールに通う先輩(中3)から、「大人のオンナはな、こういうサウンドにグッとくんだよ、サトル覚えとけよ」といわれ、中学2年生くらいの頃に杏里を聴きまくっていましたが、当時はバンドブームの影響もあり、どう考えても中学生に合ってない気もしたため、家でひとりこんなアップテンポな曲聴いて、意味もなく大磯ロングビーチとかを妄想してました。
佐野晴通
ビューティ&ユース プレス
ザ・ピーナッツ
「モスラの歌」
歌詞付き下敷きを買って練習。
僕がまだ小学生だったころ、一人で映画館へ行き、観たのがこの主題歌の映画「ゴジラVSモスラ」でした。この映画であまりにテンションが上がった僕は、歌詞を観ながら歌を練習したいと思い、お土産コーナーで歌詞付きの下敷きを買いました。学校へは持って行かず、家で一人熱心に練習していたのを覚えています。
渋谷直角
ライター/まんが。
筋肉少女帯
「蜘蛛の糸」
今でも、この曲の価値観で生きてるところがあります。
高校時代、周囲に対して完全に心を閉ざしてて、休み時間はずっと便所にいて、ただ時間が過ぎるのを待っていた3年間だったのですが(ラップのリリック書いた時に思い出した、僕の暗黒期)、正にこの曲の歌詞のような心境でしたわ。「いつの日か見下ろしてやる」と思いながらも「それでもみんなに笑われてる気がする」という不安感。この、主観だけでは生きられない、客観的に見てやっぱダメだろう、という複雑な気持ちが入り交じるところに、当時は「わかるなあ......」と思ったものです。オーケン(と電気グルーヴ)は孤独な思春期送った人間のヒーローだったのであります。でも! これが収録されてるアルバムは、ラストの「飼い犬が手を噛むので」という曲で、「君たちがまわりの人間とちがうことの証拠を見せてください/ダメなヤツはダメなんだよ」と、そういう「孤独ぶること」に酔いしれることさえ許さない大オチがつくのです! 今でも、この価値観で生きてるところ、スゲーあるな......と聴き直してみて思いました。あと筋少では「何処へでも行ける切手」という曲の歌詞も好きです。