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伝説のヴィンテージディーラーにインタビュー!

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貴重なコレクションを収録した書籍『キング・オブ・ヴィンテージ』の発行に、ウエアハウスをパートナーに迎えて製作しているブランド〈ヘラーズカフェ(Heller's cafe)〉など、幅広い活動を続けているラリー・マッコイン。ヴィンテージディーラーとして確固たる地位を得た彼が今、目指すものとは。〈ヘラーズカフェ〉の秋冬コレクションのエキシビションに合わせて来日していたラリー・マッコインに直撃インタビュー。

Photos_Nahoko Morimoto

私はコレクターではなく、あくまでもディーラーなんです。

ーまず、ヴィンテージディーラーとはどういった仕事なのでしょうか?

ラリー・マッコイン(以下ラリー):簡単に言うと、古着を仕入れて、古着店やコレクターに販売する仕事です。

ーラリーさんはなんでまたヴィンテージディーラーというお仕事をするようになったのですか。

ラリー:実はこの仕事を始める前から、個人的にヴィンテージ・クロージングを収集していたんです。そういったことを続けているうちに、日本の古着屋であるゴリーズのバイヤーの方に出会い、古着のディーラーとしてのオファーを受けたんです。

ーそこからヴィンテージディーラーとしてのキャリアがスタートしたわけですね。

ラリー:そうです。当時のアメリカは、ヴィンテージ・デニムが価値のある物だという認識もなかった時代。そんななかゴリーズからの最初のオーダーは、リーバイスの仕入れでした。スーツやドレスシャツを得意としていた私にとっては、あまり面白味のあるオファーでは無かったんですが......(笑)。

ー(笑)。とはいえ、集めなければ仕事にならないわけですよね。

ラリー:今話したように当時は、古着に価値が無かった時代。私自身もこれまでのネットワークを駆使して、リーバイスの歴史を調べ、集めてみると、これがまた面白くて。そういったことを繰り返しているうちに、どんどんヴィンテージ・クロージングの世界にのめり込んでいったんです。

ーちなみにヴィンテージディーラー業界において、ラリーさんはどのような存在なるのですか。

ラリー:多くのディーラーからリスペクトされる存在だと思っています、自分で言うのもなんですが(笑)。

ー(笑)。とはいえラリーさんくらいキャリアがあると、必然的にそういう立ち位置になってくる。

ラリー:キャリアの長さはもちろんそうですが、常にフェアで信頼できる取引を続けた結果だと思っています。それと私はコレクターではなく、あくまでもディーラー。もちろんヴィンテージ・クロージングを愛していますが、ディーラーとしてビジネス的な視点も持つように心がけてきました。趣味から始まった仕事とはいえ、そこに利益が発生する以上は私自身がプロフェッショナルである必要がありますからね。

ーなるほど。趣味である以上に、ビジネスということですね。それではヴィンテージディーラーという仕事の醍醐味を教えて下さい。

ラリー:それは今までも見たことも無いような物を探し当てることです。ある意味、宝探しのようなものですね。

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ラリー・マッコイン
ファッションとして古着が注目を集め始めた当初からヴィンテージディーラーとして活躍。近年は膨大なコレクションのなかから厳選した書籍『キング・オブ・ヴィンテージ』やブランド〈ヘラーズカフェ〉を手がけるなど、幅広い活動を続けている。

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コレクションの1つ。1904年のセントルイスオリンピック開催時につくられた「ブラウンデニム」。

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こちらもコレクションの一部。〈ヘラーズカフェ〉の最新作では、こちらをベースに作成したアイテムも有ります。

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