Boolog A Go-Go!
石光 史明
VISUAL CONNEXION C.E.O
NY発のヴィジュアル誌、VISIONAIRE<ヴィジョネアー>の日本総代理店を営んでいますが、最近はもっぱら映画鑑賞家として「つぶやいて」います。昨年は自腹観賞232本! 今年も観まくるぞぉ~♪
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It is about us... right?
2010.09.14
感無量。
この一言以外に何があるというのでしょうか。
旧型GT-Rに乗る主人公。
もちろんナンバーは型番(R−33)と同じく33。
大切にしているはずなのに、港の前に野ざらしで停めてあるから雨が降ってもボディーの表面はベッタリとまるで親水加工のよう。それでいてガラスだけは撥水加工が施されているところからセリフ以上に走り屋だという設定を印象付けるだけでなく、主人公の性格や生活までもが手に取るように理解できる。
これだけを書くと車好きじゃなければ気付かない事のように思えるかもしれませんが、何々でなければ気付けないほどの細かいディティールがフィルムの隅々までに積み重ねられています。
でもそれらのディティールは各役者さんがあって初めて活きるもの。
そしてそれらのこだわりがあるから、役者さんも活きるのでしょう。
誰ひとりが秀でる訳でなく、誰ひとりが目立つ事なく、すべての登場人物が普段の生活のようにそこにいる。実際の人生が、命が、そして気持ちが宿っているかのように...
「悪人」
あなたの、そしてご両親の、彼の、彼女の地元や実家や田舎で普通にありえるであろう現実。
そして今の日本が抱える全て(の問題)を実に良く捉えている、まさに縮図のような作品。
もしこの映画が「告白」よりも興行成績的に劣ることがあれば、当たり前ですが結局それが現実なのだと思います。つまり、それ以上の作品を作っても評価されないというマーケットの幼稚さがハッキリと露呈するという事。
ただもしそうだとしても、そんな日本映画を見続ける理由をもらった気がします。だって見続けていればこんなにも厚みのある素晴らしい作品に出会えるのですから。
深津理絵の受賞云々関係なく、世界中どこに出しても恥ずかしくない作品。
だってこれが日本ではなく、現代の日本人の全てだからと思えるから。
彼女が繰り返し「携わった全ての役者とスタッフのもの」と言い続けた意味、妻夫木聡が舞台挨拶で涙した意味がここには詰まっていることでしょう。
押し付けたり意味なくおちゃらけることなく、インチキ子役も存在しない。
間違いなく僕の観た近代日本映画ベスト1。
よって無星。ニセモノは震えればいい。


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