First of all... - Boolog A Go-Go!（石光史明）

NYで初めて住んだBroome St. にあるロフトから、次のWooster St. のロフトへ引っ越す時の事。

いつも使い切れていなかった小銭を何気なくキッチンにある引き出しに放り込んでいたのですが、積もり積もってその時に数えたら結構いい額に。正直忙しかったので銀行に持ち込んで預金にするよりも、これはホームレスの人にでもあげたほうが良いと思い、いつも近所にいる「主」にジップロックに詰めて持って行ったところ敢えなく門前払い（まぁ門はないけれど...）。

別に彼を軽視したり蔑んだ訳ではなく、いつも「小銭を...」なんて言うもんだから持って行ったらさすがの彼も嫌気が差したという顛末。

確かにチップという風習が良い例だと思うのですが、同じ1ドルにしてもクウォーター（25セント硬貨）を4枚渡して喜ぶ人はまずいないでしょう。1ドル紙幣になって初めて「ありがとう」と言う訳です。ここには「25セント×4枚＝1ドル」という計算式は当てはまらず、1ドル紙幣という紙（Bank Note=銀行券)に価値を見出す訳で、逆に言えば5ドル札がなくとも1ドルを5枚渡して顔をしかめる人はいませんが、25セントを20枚渡そうとすればまず間違いなく断られるでしょう。

もしチップという感じがピンとこないのであれば、自分がレストランやバーで働く何かチップをもらえるような仕事に従事する立場だと想像してみて下さい。そのお礼として今日のレートで言えば1ドル相当の76円を貰っても嬉しくないでしょうし、それが単純計算で100円玉1枚を貰っても同じ事でしょう。でも100円札ならきっと「貰った感」があるはず。

ちなみに僕が子供の頃は500円は大金でした。もちろん子供の頃と言っても幼稚園児のそれと小学校高学年のそれとはいつの時代でも意味も価値も違うので一概には言えませんが、僕が言いたいのは500円がお札（日本銀行券＝Bank Note）だった頃のお話し。

良く耳にする「今のお金に換算すると...」と言う、時間の経過による市場的、物価的な紙幣価値が変わったというよりも、利便性や流通を考慮して最小単位の紙幣を白銅（現在はニッケル黄銅）製の硬貨にした事によって明らかにこの国の「お金の価値」というものは変わったと思うのです。

もちろん他国に比べて治安も悪くない＝自動販売（券売）機の普及というのもあるでしょうし、チップという風習がないこの国において100円札（'74支払い停止）が流通し続ける必要があったとは思いませんが、500円玉（'92〜）の潜在的な功罪というのは計り知れないような気がしてなりません。

500円玉が発行された'92年と言えばちょうどバブルが弾け始めた頃。そう考えるとバブル、バブルなんて言うけれど、弾けたのは夢の泡ではなくて、500円札（＝お金を大事にする気持ち）だったのかなぁ...なんて思うわけです。

なんて、新年早々から言いたかったのは僕の薄っぺらくてショボイ経済論でもズレた金銭感覚でもなく、今時の子供達に見る「お年玉」の回収額とその価値観はどうなんだろうなぁ...と、街行く親子の会話を聞きながら思った訳です。まぁ昔は1万円あれば結構長い間楽しめたんですけどね...今の子達はどのくらい貰えるとハッピーなんですかね？

コンビニに行けば外にはガチャポンが置いてあり、チビッ子たちの目に付きやすい、店内の比較的低い位置には昔ながらの駄菓子が並んでるかと思えば、一番安い最新のゲームソフトだって5千円はするでしょう。その反面アマゾンやヤフオクで上手くすれば他よりも安く買えたり、売り買い含めて中古ソフトなんて選択肢もある。まぁ要するに渦中にいないやつがそれを語るなって事なんでしょうけれどね。

そう、何の事はない、年が明けてまたひとつ歳を取って、渦中からひとつ遠のいただけな訳です（笑）。

ちなみに1994年に支払い停止になった500円札の現在における潜在的な流通枚数は2000円札よりも多いそうで、何だかなぁって気もしますが、実は500円玉（今日現在の価値で6ドル75セント）というのは現存する世界の3大高額硬貨である5スイスフラン、5キューバペソの中でダントツで一番高額な硬貨だってご存知でしたか!?

...という事で末筆になりましたが、本年も宜しくお願い申し上げます！