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話題のドキュメンタリー映画『エンディングノート』が語りかけるものとは。

2011.09.30

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10月1日(土)より公開の映画『エンディングノート』は、末期がんを宣告されたあるひとりの男性が、"エンディングノート"を作成し自らの死に向けての準備を始める姿を追ったドキュメンタリー作品。実父である主人公、砂田知昭さんにカメラを向けたのは娘の砂田麻美監督。この映画は何故撮影され、私たちに何を語りかけるのか。公開を直前に控える砂田監督に、その思いをうかがった。

Photos_Nahoko Morimoto
Edit_Yohei Kawada

砂田麻美
1978年、東京生まれ。慶応義塾大学総合政策学部在学中よりドキュメンタリーを学び、卒業後はフリーの監督助手として、本作でもプロデューサーを務める是枝裕和氏に師事。『エンディングノート』が第一回監督作品となる。

"何を撮らないのか"という選択が生むドキュメンタリー。
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© 2011「エンディングノート」製作委員会

―この映画のプロデューサーでもある是枝監督は、そもそも肉親のドキュメンタリーを撮るということ自体を不安視していたとお聞きしましたが、最初に見せた時はどのような反応だったのでしょうか?

砂田麻美監督(以下、砂田:敬称略):見終わって最初は、じーっと黙っていました。あまりにも沈黙が長かったので、相当まずかったのかなぁと。でも、一息ついて「面白かった。これは映画になると思うよ」という言葉が最初に出てきて。あんまりお世辞を言う人ではないので、面白く観ていただけたのかなぁと思いました。

―具体的にはどのような点が良かったと仰っていましたか。

砂田:おそらくですけど、その後是枝監督と話していたなかで仰っていたのは、客観性と距離感の部分ですね。家族を撮るというのはある意味楽なことで、楽であるが故になんでも撮れちゃうんですね。でも、そこでは"何を撮らないのか"という選択をしなければならない側面もあるんです。

―例えば、そのような"選択"をするうえで気をつけた点というのはあるのでしょうか。

砂田:自分が撮りたくないと思う時、あるいは向こうが撮られたくないと思っているだろうなという時には絶対カメラを回さないということですね。被写体ではあるんだけども、自分の親でもあるので、まるで仕事のようにここは撮っておいた方がいいだろうという欲を出さないということです。

―自分の意志で撮るもの撮らないものを選ぶということですか。

砂田:一般論としてここは撮っておいた方がいいだろうということではなくて、関係性のなかで撮っていいものと撮らない方がいいものを常に取捨選択していたということです。

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