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〈メゾン キツネ〉クロキ マサヤが語るクリエイションの現在地。

2011.08.25

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プロダクトを支え続けるファクトリーの存在と復興支援の形。

―ところで、先ほどのハリスツイードのジャケットもそうですが、自分でもとくに気に入っているアイテムなんかはありますか?

マサヤ:うーん、デニムジャケットですかね。やっぱりこれは自分のコレクションの中でも一番好きなアイテムかもしれない。

kitsunecap006.jpg これがそのデニムジャケット。岡山のファクトリー〈KUROKI〉の生地を使用し、絶妙な色味を表現した。¥44,410(プレッドPR)[撮影:プレッドPR]

―具体的にはどういったところが?

マサヤ:(ボアとそうでないタイプ両方を見て)デニムジャケットは両方好きだな。セルビッチも入れてるんですよ。それこそ、好きな人にはすごく喜んでもらえるんじゃないかな。デニムギークは「あ、これかわいい」ってなると思うんですよね。

―色味もかなりいいですね。

マサヤ:ヴィンテージですよね。やっぱりアメリカに昔いたカウボーイの写真とかを見ると、こういうのを羽織って中にネルシャツっていうのがすごく多いスタイルなんですよ。意外にやらないですからね、今のデニム屋さんはこういう青を。この生地屋に出会ったときに、これはいいなあって思いましたね。

―その素材についてお伺いします。〈キツネ〉が長くこだわってやっている部分ではあるとは思いますが、今季は〈リモンタ〉社のナイロンや〈コーギー〉のニット、そしてハリスツイードと、世界的に伝統のある一流ファクトリーと組んでいます。その意味や重要性はどのようなところにあるのでしょうか?

マサヤ:時間をかけてゆっくり着こなす洋服ということです。毎シーズン毎シーズン変わるスタイルに、僕もどっちかっていうと乗り遅れている人間ですから、ゆっくり長く着てもらえる洋服を作りたいんです。ワンシーズン着なくても、3年後に「そういえば、これあったな」って手に取れる、いわゆるタイムレスというやつですね。それが常に頭の中にあって消えないから、そこを考えるとどうしても素材を選ぶしか方法がなくなる。時間とともに渋い歳の取り方をする生地っていうのがあるんですね。時代とともにどんどんどんどんキレイに顔が変わっていく、そういうモノづくりを続けて行きたいです。

―一方で、昨年今年と国内で展開したポップアップショップでも、日本のファクトリーとともにスペシャルアイテムを製作しました。日本の工場でのモノづくりの魅力を教えてください。

マサヤ:デニムは日本人の作る生地が一番であると思ってるし、もちろん大好きです。色の落ち方、重み、触り具合、すべて好きなんですよ。やっぱり自分の国でもあるし、もっと外にメイドインジャパンの良さを見せたいっていうのはあります。もっと言えば、現状として色々大変な状況でこれからさらに工場が苦しむ時期でもあるわけですよね。その前に、これは次の春夏でプッシュしている部分なんですが、自分の日本に対するサポートの仕方っていうところで、パリコレでもミラノでもニューヨークでもメイドインジャパンを見せて、それを通してクライアントに仕事が入ればいいなっていうのが自分の心の中にあります。幸い、自分のブランドを見てくれている人っていうのは増えてきていますしね。

kitsunecap007.jpg 伊勢丹新宿店本館で開催された〈メゾン キツネ〉のポップアップショップは大盛況のうちに終了。国内生産にこだわった限定アイテムは、昨年の「モントーク」で開催された際にも販売された。

―では、今後も日本のファクトリーとのモノづくりは増えていくのでしょうか?

マサヤ:日本での生産ももっとやっていきたいですね。素材や生地を向こうから持ってきて、日本の職人の細かい手先、質の高い作業にお願いするというかたちもできますし。すごいキレイに出来上がるんでね。お互いにフィニッシングや完成時の顔のイメージが共有できる工場というのは増えてきていますし、次の生産はもしかすると日本かもしれない。そういった部分も含めて、色々と考えています。日本人は日本人が大好きですから。それは悪いことでもあって、すごい良いことでもある。でも自分の国や文化を愛するっていうのは、自分の血にも流れているところでありますから。

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