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〈メゾン キツネ〉クロキ マサヤが語るクリエイションの現在地。

2011.08.25

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2005年、すでに音楽レーベルとして名を馳せていた〈キツネ〉は洋服の製作を開始し、6年が経過した今シーズンはブランド名を〈メゾン キツネ(MAISON KITSUNÉ)〉と改変。"ニュークラシック"を標榜するブランドのスタイルはさらに洗練され、その評価を揺るぎないものへと近づけることに成功しました。今回、レーベル開始から10年の節目を迎える来年を目前に、デザイナーであるクロキ マサヤ氏にインタビューを敢行。今季、そして来季へと続く〈メゾン キツネ〉のクリエイションの深部を語っていただきました。

Photos_Shota Matsumoto

INDEX
1. ブランド名の変更と音楽レーベルから離れての活動。その理由とは。
2. 2011秋冬コレクションを解剖。〈メゾン キツネ〉は新たなフェーズへ突入する。
3. プロダクトを支え続けるファクトリーの存在と復興支援の形。
4. 一足早く、2012春夏コレクションについて。

ブランド名の変更と音楽レーベルとの離別。その理由とは。

―今秋冬シーズンからブランドの名称を〈メゾン キツネ(MAISON KITSUNÉ)〉と改めました。まずは、その意図を教えてください。

クロキ・マサヤ(以下、マサヤ:敬称略):自分のパートナーであるジルダとブランドを立ち上げたのは2002年。音楽の方はみなさんご存知だとは思いますが、洋服の方で、いわゆる"コレクション"と呼べるようなかたちになったのはつい5年前、2007年なんですよ。それで、2012年でレーベルがちょうど10周年ということもあり、ブランド的にもある程度成長したかなと。自分は洋服づくりを学んできた人間ではないし、作りながら、コレクションを重ねながら、ようやくそろそろ自分自身でも成長してきたという実感が持てたので、〈メゾン キツネ〉としたわけです。

―つまり、ブランド名の変更は、"キツネ"自身の成長の証でもあると。"メゾン"の名を冠する意味とはなんでしょうか?

マサヤ:今まで「キツネ メゾン」というコンピレーションCDを作ってきたこともあったし、あまりそれでビックリする人もいないかなと。自分の洋服を着てくれている人たちも、年齢的には自分より年上ということがよくありますし、響きももう少し大人になった感じを求めていたので。

kitsunecap001.jpg もはやすっかり定番となった大人気コンピレーション「キツネメゾン」。現在、シリーズはvol.11まで到達した。

―音楽活動からは完全に退いてアパレルに専念するということで、自分自身のなかにも、様々な変化があったと思いますが。

マサヤ:やっぱり飛行機乗る回数が少なくなったということでしょうかね(笑)。例えば、金曜日にバルセロナで土曜日がロンドン、日曜日にパリに戻って月曜日にオフィスっていうリズムでずーっと仕事をしていると、自分のクリエイションの時間が削られていくんです。

―休む間もないですね。

マサヤ:なによりもまず、クリエイションの時間を作りたいというのがあって、それをどのように作るかと考えたら、やっぱりDJを削るしかなかったんです。外では集中できないし、洋服づくりはできませんからね。

kitsunecap002.jpg しばらくはこの形を継続すると語るマサヤ氏。「特別な機会にジルダ&マサヤでDJする時があるかも」と、何やら匂わせる発言も。

―それがDJを離れた理由なんですね。

マサヤ:音楽の方はもうすべてパートナーに任せてね。自分も言うことはないし、お互いに分かり合ってるので。ほんと、古い夫婦みたいなもんですよ。月曜日が何で火曜日が何っていうのが分かる関係であるから、じゃあお互いにもっと集中しようという方向でやっているわけです。

―クリエイションにかける「時間」が増えることによって、具体的な服づくりの方法はどのように変わりましたか?

マサヤ:まず音楽に関しては、バンドをプロデュースするっていうやり方。スタジオに入れて、もっと長く、濃く音楽の方も詰めていこうとしましたね。洋服づくりもより集中したかった。毎シーズンのトレンドなり、キーアイテムといったものを気にしないで、自分の感じるもの、着てほしいもの、そして何よりライフスタイルに基づいた、自分自身が着たいものを作りたいという思いがありました。自分が着ない洋服だったら意味がないし、人に対して失礼ですからね。つまり自分のクリエイションに対して無理なく素直でいる必要があるんですよ。

―そのためにはやはり「時間」が必要なんですね。

マサヤ:いきなりタキシードを作って発表しても良いものはできないですから。もし、次のシーズンでタキシードが出てきたら、やっと満足したものができ上がったんだと思ってください。ダウンジャケットにしても、今まで満足いくものができなくて、今回の秋冬でようやくできたり、色々と時間がかかって発表できるものが多いんですよね。それってやっぱり時間なんですよ。さらに言えば、自分の生産チームがしっかりしてきたというのもありますね。現実的には。

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