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FEATURE|パタゴニアのフェアトレードフリースについて考える。

パタゴニアのフェアトレードフリースについて考える。

Patagonia Fairtrade Fleece

パタゴニアのフェアトレードフリースについて考える。

徹底した環境保護への取り組みと、一切妥協のない品質・機能の両立を掲げる〈パタゴニア〉。その代表作として知られるベター・セーターとシンチラ・スナップT、レトロ・パイル製品は現在、「フェアトレード・サーティファイド」の縫製を採用していることをご存知だろうか。カスタマーが購入するごとにさらなる賃金が工場労働者たちの元へと送られる「フェアトレード」。では、環境、労働、暮らしと密接に関わりながらブランドを運営する〈パタゴニア〉が考える「フェアトレード」のあるべき姿とは何なのか。アイテムの紹介とともに掘り下げていく。

  • Photo_Hiroyuki Takashima(item)
  • Text_Chiyo Yamauchi
  • Edit_Jun Nakada
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大定番の進化。

フリースが恋しい季節がやってきた。いまでこそさまざまなフリース商品が市場に溢れているが、フリースと言えば、1985年にその素材を使用し「シンチラ」と命名した〈パタゴニア〉である。そんな大定番の「シンチラ・スナップT」をはじめ、アメリカで爆発的な人気を誇る「ベター・セーター」や、 “モコモコ”アイテムの「レトロ・パイル」など、さまざまなフリースモデルの新色が、この度リリースされた。

一押しを選ぶとすれば、レトロな赤がキャッチーな「シンチラ・スナップT」か。なんでも、この色は創業者のイヴォン氏と現副社長のリック氏がアラスカ州にある北米大陸最高峰のデナリ山登頂の際に着用していた伝説の赤ジャケットの色を再現したものだそうだ。いや、でも80〜90年代前半のパイル・ジャケット「レトロX」にインスパイヤーされた、「レトロ・パイル」も気になる…。そんな、どれも違ってどれも気になる〈パタゴニア〉のフリースアイテム。実はフェアトレード認証製品でもあるのだ。

メンズ・ベター・セーター・ジャケット ¥17,000+TAX(ONLINE STORE

セーターニットの外側と吸湿発散性を持つ温かいフリースを内側に持つ「ベター・セーター・ジャケット」。街ではアウターとして、バックカントリーではシェルの下で中間着として活躍してくれる万能アイテムである。素材はポリエステル・フリース100%で、従来の製法にくらべて染料とエネルギーと水の使用量を大幅に削減する、ローインパクトの染色処理を採用している。

メンズ・レトロ・パイル・ジャケット ¥18,500+TAX(ONLINE STORE

毛羽立った外側と肌触りが滑らかな内側を備えた、温かいポリエステル100%の「パイル・ジャケット」。スタンドカラーまで続くフロントジッパーを閉めることで熱を閉じ込め、ラグランスリーブはあらゆる動きに対応しバックパックのストラップの下でも快適な可動域を確保。左胸のポケットとハンドウォーマーポケットは日々の必需品を収納するのに便利だ。

メンズ・シンチラ・スナップT・プルオーバー ¥15,000+TAX(ONLINE STORE

両面起毛ポリエステル・フリースのシンチラ素材は、温かくて何より手入れが容易。短毛の表面が体温を閉じ込め、軽い風をかわし、耐摩耗性を発揮してくれるだけでなく、スタンドカラーとスナップ留めが付いたナイロン製の前立ては首を守り余分な熱を逃してくれる。胸のポケットは小物の収納に。スウェット感覚で着られる手軽さも魅力。

パタゴニアの先見性。


社会に対するメッセージを商品を通じて表明する--、そんなブランドが増えてきた。中でも、環境に配慮しながらクオリティの高いアウトドア商品を作ることに取り組んできたパタゴニアは、先駆者的な存在である。
 
パタゴニアは、衣類ゴミ問題をはじめ、環境に対するインパクトを最小限に抑えることの重要性を衣類業界に問いかけ、実践し、その価値観を消費者と共有することに成功してきた。12年には企業形態を「Bコーポレーション」に変更し、公益を考える企業としての姿勢を一層強めている。

そんなパタゴニアが新たに注力しているのがフェアトレードだ。フェアトレードとは、直訳すれば「公平な貿易」。現在のグローバル貿易の仕組みには、経済的、社会的に弱い立場の発展途上国の人々にとってアンフェアな部分が少なからず存在する。それが貧困を拡大させているという問題意識から、より公平(フェア)な条件下で国際貿易を行うことで、経済格差を解消することを目的にはじまったムーブメントである。

衣類業界でフェアトレードが注目されるきっかけとなったのは、13年にバングラデシュの首都ダッカ近郊で起きた縫製工場崩落事故だ。犠牲となった多くの工場労働者たちが、劣悪な環境下で低賃金の長時間の労働を強いられていたことが明るみになり、”ファッション”という業界全体のあり方が問われることとなった。
 
これに対し、パタゴニアは真っ先に対策を打ち出した。自社製品を作るすべての労働者の生活を改善することを目的に、事故の翌年14年に米国のフェアトレード認証団体「Fair Trade USA」とパートナーシップを締結。これにより、パタゴニアは安全基準を満たした提携工場からフェアトレード認証製品を購入する際に、団体が輸出価格に基づいて決めた「プレミア価格」を工場に直接支払ってきた。工場労働者に民主的かつフェアに配分されるそれは、賃金などの生産コストとは別の、企業の利益の一部を工場労働者に還元するための「追加の賞与」。いわば、労働者とその家族の生活を向上させるためのボーナスだ。

パタゴニアが時間とコストをかけてフェアトレードに取り組むのは「工場労働者たちが幸せか、仕事を通して自信をつけてくれているかは、ブランドにとって重要なことだ」と考えているからに他ならない。より多くのフェアトレード製品が売れれば、より多くの工場労働者とその家族の生活を改善することができる。好循環を築くためには必要な取り組みなのだという。

パートナーシップを結んで以来、パタゴニアはフェアトレード・サーティファイド(公正取引認証済み)製品の数を順調に増やしてきた。初年度の14年秋の時点では10製品だったそれを、16年には200製品に、そして17年末までに14つの工場と提携し、全商品の30%強を占める480製品を達成する見通しだという。

前述の80〜90年代前半のパイル・ジャケット「レトロX」の復刻版、“モコモコ”の質感が特徴の「レトロ・パイル」もフェアトレード認証製品だ。つまり、消費者は「レトロ・パイル」を購入することで、商品を作った工場労働者の生活を向上させる社会貢献に参加することができる。消費とは民主的な社会における選挙みたいなものだ。どこにおカネを払うかでその時代が作られていく。世界を変える大きなうねりの種となる。

「利益追求」と「サステナブルな社会の実現に向けたCSR(企業の社会的責任)」を両立を目指すパタゴニアはこう語る。「環境問題や貧困といった社会問題を解決するには、従来のようにノンプロフィットや政府だけの力では、間に合わない。ビジネスという大きな力で、より多くの人を巻き込んで、世界を変えていきたい」と。

パタゴニア日本支社 カスタマーサービス

電話:0800-8887-447
www.patagonia.jp
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