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FEATURE|ディラン・ラーシュが語る 「ナイキ エア マックス 270」のストーリー。

ディラン・ラーシュが語る 「ナイキ エア マックス 270」のストーリー。

Turning Imagination Into Reality “Nike Air Max 270

ディラン・ラーシュが語る 「ナイキ エア マックス 270」のストーリー。

クラシックな雰囲気と現代的なテクノロジーを備えたデザインが見事に融合した、〈ナイキ〉の「エア マックス 270」。「エア マックス」シリーズの最新作ということで、非常に注目度の高い一足だが、先ず見るものの目を奪うのは、ヒールに搭載されたシリーズ最大の高さを誇るというヒールユニット。部分的には非常に大きなインパクトがありますが、そのデザインやカラーリングは往年のスニーカーファンにも馴染みがある仕上がりになっています。この絶妙なバランスを具体化した「エア マックス 270」のデザイナーのディラン・ラーシュに日本独占インタビューを敢行。この、新たなるクラシックの裏にあるストーリーを紐解きました。

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ナイキ エアの現代的な解釈をつくり上げること。

ーまず始めに「エア マックス 270」をデザインする上で、最も意識したことを教えてください。

ディラン:「エア マックス 270」のプロジェクトがスタートした際に、最初に意識したのは、「エア マックス 93」のエア バッグと「エア マックス 180」のアッパーに対して、現代的な解釈をつくり上げることでした。そして、プロジェクトが進化するにあたり、新たな領域を推し進める必要があると感じ始めたんです。

「エア マックス 93」と「エア マックス 180」は依然としてインスピレーションソースではありましたが、独自のアイデンティティーを持ち、新たな解決策となるような何かをつくり上げたいと思ったんです。それらが結びついたとき、この特徴的なヒール ユニットとスマートに設計されたアッパーを持つ、「エア マックス 270」が誕生したんです。

ーここに描いたスケッチについて簡単に説明していただけますか?

ディラン:〈ナイキ〉独特の、スピード感を表現したウィンドランナーの斜めのラインは、参考にしたものの1つでした。〈ナイキ〉の伝統を踏まえて、足を地面に付けている時のつま先の角度の参考としました。とても象徴的なものです。

ー次に、右上のエア バッグは、ミルク差しをヒントにデザインされた「エア マックス 93」のものですね。

ディラン:オリジナルの「エア マックス 93」は、ミルク差しの吹き込み成形をヒントにしたものでした。「エア マックス 180」の誕生以降の、エア ユニットにおける新しい製造技法の一つになったんです。この技法を用いて、初めての270度ビジブルのエア ユニットが製造されました。

ーそして、左下はかかと部分のサポートの絵ですね。

ディラン:「エア マックス 270」をデザインした際、かかと部分をしっかりと安定させる必要があったので、かかとのサポートは、「エア マックス 180」をかなり参考にしています。レザーの補強部分とヒールクリップ両方のラインに着想を得ました。

ナイキのイノベーションをどうライフスタイルに落とし込むか。

ーでは、「エア マックス 270」の機能面について教えてください。

ディラン:「エア マックス 270」は、1日中歩き回ったり、常に動いているような人のライフスタイルを改善したいという見地から生まれた一足なんです。デザインをスタートする前の時点で、我々と共にあるアスリートが追求するようなパフォーマンス性とは対極である、快適さを刷新しようという方針を決めました。

それは、A地点からB地点までをいかに速く移動するかというところを見るのではなく、A地点からB地点までを1日中かけて旅するような時に、いかに快適さをキープできるかに重きを置いています。

ー〈ナイキ〉のスニーカーには、テクノロジーとデザインの高度な融合という、大前提があると思いますが、デザインを製作するプロセスは一般的にどのようなものなのでしょうか? 実現可能なテクノロジーを元にデザインに落とし込むのですか? それとも、自由にデザインを描き、それをどのように実現させるか? という手順なのでしょうか?

ディラン:その両方ですね。常に新しい観点と共にスタートします。我々は全てのデザインにおいて、解決すべき新たな問題点からアプローチしていきます。〈ナイキ〉におけるパフォーマンスカテゴリーでは、我々はスポーツやアスリートをより速く、高く跳べるように、俊敏に動けるように、明確に限界を押し上げることに焦点を当てています。

〈ナイキ スポーツウェア〉においては、我々のイノベーションをどうライフスタイルに落とし込むか、つまり、日常生活における動作をいかに改良するかということに焦点を当てています。「エア マックス 270」であれば、どのように改良すれば、「エア マックス」というモデルにおいてエア ユニットの部分をより快適にすることができるのか、自問自答しました。

そこから、非常にたくさんのアイデアをスケッチやプロトタイプをつくることで考え、いくつものサンプルをつくり出しました。我々は可能性を最大限に引き上げるべく、大きなチームとして取り組んだんです。

ーその結果として生まれたのが、あの大きなエア ユニットなんですね。

ディラン:エアの上を歩く。シューズにおける最大の偉業だと思います。26ミリのエア ユニットは製造していて、既に非常に高さがありました。私たちは「エア マックス 270」を今までのどのエアよりも大きくしたいと考えました。何度か無理だと言われたのですが、どこまでユニットを大きくできるか挑み続けた結果、32ミリで落ち着きました。

これで前足部とかかとの厚みの差を大きく付け、かかとの衝撃吸収力を高めることが出来ました。そして、全く新しいインパクトを伴う完璧な高さでありながら、依然として普遍的なスタンダードさも維持できる高さのヒール ユニットとなりました。

ー「エア マックス」という、歴史あるシリーズにおいて、「エア マックス 270」の持つ最も大きな革新性というのは、どのような点にあると思いますか?

ディラン:それもやはり、最も大きなかかとのヒール ユニットですね。デザイン性においても、履き心地においても、両方の面で最も大きな革新だと思います。

ー「エア マックス 270」には多くのカラーの発売が予定されているかと思いますが、中でもディランさんのお気に入りの一色はどのカラーリングでしょうか?

ディラン:個人的にはイラストでも描いているゴールドのものが最も気に入っています。靴に独自のアイデンティティーを与えて、とてもフレッシュなカラーになっています。ロンドンのファッションウィークで〈アストリッド・アンダーソン〉のショーを見たときに、ポップなカラーをルックに取り入れることの効果を感じたんです。

ビル・バウワーマンから脈々と受け継がれた哲学。

ーディランさんが、これまでの「エア マックス」のシリーズで最も好きなデザインはどのモデルですか?

ディラン:私のフェイバリットモデルは、「エア マックス 180」と「エア マックス 93」なんです。だからこのプロジェクトは私にとって夢が叶ったようなものですね。私のフェイバリットモデルの二足が同時にやって来るようなものなんですから。

ー最後の質問です。ディランさんはスニーカーをデザインする上で、常にどのようなことを意識されていますか?

ディラン:我々のスニーカーにおける、軽量化と履き心地の良さを追求する熱量は、我々の創設者の一人でもあるビル・バウワーマンから脈々と受け継いでいるものなんです。彼が追い求めていたのは、アスリートがシューズに何を求めているかということだけで、それ以外のものは何もありませんでした。

重量の軽いスニーカーは、トラック上でより速いスコアへと導いてくれます。そういった信念は〈ナイキ〉のデザインにしっかりと行き渡っています。デザイナーは、自然な足の動きに機能する、ミニマルで軽量なスニーカーの製作を常に探求しています。

ナイキエアマックス270 各¥16,200inTAX

ディラン・ラーシュ ( ナイキ エア マックス シニア クリエイティブ ディレクター)

マックス エア ユニットにてプロダクトのクリエイティブを指揮。幼少期からアクションスポーツに親しみ、大学卒業後にスケートカンパニーでシューズデザインに従事。ナイキに2010年入社。今までに、ナイキ パイヤ、ナイキ エア マックス シア、ナイキ ローシ ワン、ナイキ ローシ ツー等のデザインを手がける。

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