(左)BJ3-446-91¥38,000+TAX、(右)KL8-449-51¥38,000+TAX
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Photographer’s Comment
- INDEPENDENT CITY
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剥き出しになったギアが重なり刻む時のリズム。輝く街が奏でる煌めく音色。静寂に包まれた世界に射し込む鮮やかな光。都市を構成する様々な模様や匂いを切り取り絡み合わせたフォトストーリー。
Text_Yasuyuki Takaki
シチズンデザイン部チーフマネージャー井上英樹の「一問一答」
- ー〈INDEPENDENT〉2016AWモデルについて
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わたしがシチズンに入社したのは94年。〈INDEPENDENT〉は96年に誕生と、ほぼ同期のような存在ですが、これまでに一度も担当していませんでした。今回、初めてデザインを担当するにあたり、原点に立ち返るという気持ちも込めて、モッズテイストをアピールしてデビューした初代モデルを現代風に復刻しました。
- ー歴史あるブランドを初めて担当することになったときの気持ちは?
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長い歴史を汚さないように。とは言え、シチズンとしての方程式がないので、自由に発想できるブランドでもある。デザインすることが楽しい時計でした。
- ー20周年を迎え、ブランドを再構築するにあたって
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ブランド名に「独立する」、「流されない」という意味を持つ〈INDEPENDENT〉とは、どんなブランドで、どんな特徴を持たせていくのか。そこを再確認する意味でも、ほかとは違うことをやっていきたいという思いはありました。“丸見切り”に“四角”というのも、ポイントのひとつ。時計は円運動で丸いというのが固定概念としてあるなかで、あえて違うものを入れることで「自分を持っている」という気持ちを表しています。
- ーINDEPENDENTを体現する“四角”のモチーフについて
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文字板やガラス面や、りゅうずにデザインモチーフとして取り入れています。今後は、どこかに“四角”を取り入れているのが〈INDEPENDENT〉らしさ、というようにしていけたらと考えています。
- ー技術的に大変だった点
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メカニカルモデルのディスク針ですね。プラスチックを採用すると、どうしても静電気が起きて針が止まってしまう。ほかにも、プラスチックと金属を固定する際に割れが起きないかなど、かなり苦労しました。ただ、これができないとモデル自体が成り立たなかったので、工場と何度もやり取りした、こだわりの部分です。
- ー社内の反響は?
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先に商品化した電波時計は反響が大きかったです。ムーブメントのメカニズムを大胆に見せるためにスケルトン仕様の文字板を採用したのですが、普通では隠すものをあえて見せていく斬新さに、「すごいことをした」「そんなことが許されるのか」という声も上がりました。〈INDEPENDENT〉だからこそできるという、ブランドの強みを打ち出した結果です。
- ー時計をデザインすることについて
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車や家電でも同じですが、文字板なら文字板メーカーなど、時計は様々なパーツが結集してできあがっています。ただ、各部品メーカーの担当者が完成体を想像するのは難しいとも言われている。そのなかで、いかにして自分が思い描いた完成体に近づけていくのか。そこが時計のデザインをするおもしろさです。
- ーいま、時計が持つ役割とは
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個性を表現する要素のひとつだと思っています。携帯電話の普及によって時計は不要だという若いユーザーが増えるなか、強いデザインを腕につけることで、勝負服ならぬ勝負時計のように、自分の気持ちがポジティブに向かうフックになってもらえたらうれしいです。
- ー「インディペンデント」とはどんな人か
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やはり「流されない人」ですね。モノを選ぶにしても一本筋が通っていて、長いものに巻かれず、突き進んでいる。例えば、ミュージシャンや俳優は「インディペンデント」な存在。でも、それは見た目ではなく、マインドとして自分らしさをどう表現するかを一生懸命に突き詰めているから。逆に自分自身が「インディペンデント」だと気付いていない人たちにこの時計をつけてもらうことで、あらたな一面を発見してもらいたい。
- ー20周年を記念して新しく生まれ変わり、ブランドは今後どうなっていくのか
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センスがあるけどいいモノ、見てすぐに〈INDEPENDENT〉だと分かるような時計をつくっていきたい。だからといって、突拍子もないことをしたくない。まったく別のものが生まれるかもしれないし、発展形なのか。今後も、進化していければと思います。