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FEATURE|BACHとJournal Standardの新発明。 世界初のアパレルライン「BACH Garments」誕生。

BACHとJournal Standardの新発明。 世界初のアパレルライン「BACH Garments」誕生。

BACHとJournal Standardの新発明。 世界初のアパレルライン「BACH Garments」誕生。

ここ日本でも多くの人に支持されているバッグブランドの〈バッハ(BACH)〉が、今シーズンよりアパレルラインをスタートする。〈バッハ ガーメンツ(BACH Garments)〉と名付けられたそのコレクションには、ブランドが抱くフィロソフィーを継承した機能的なウェアがラインナップされている。世界中で「ジャーナル スタンダード」のみで展開されるという当コレクションがどのような過程を経て誕生したのか? 今回のプロジェクトのキーマンである「ジャーナル スタンダード」のディレクター栗原 潤さんと、国内において〈バッハ〉の輸入代理店を務める「バーリオ」のディレクター澤田篤宏さんを招いて〈バッハガーメンツ〉の誕生秘話を語ってもらった。

  • Photo_Kazuhiko Tawara
  • Edit_Yuichiro Tsuji
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決して端正なルックスを持っているわけではない。

ー〈バッハ ガーメンツ〉は、どのような経緯で企画がはじまったんですか?

栗原:「ジャーナル スタンダード」が今年で創立20周年を迎えたんですが、そのなかでなにかおもしろいことを仕掛けたいな、と思ったんです。それでぼくが澤田さんに相談したのがきっかけですね。

澤田:たしか去年の春頃ですよね、お話をいただいたのは。色や素材を変えた別注はこれまでにさんざんやってきているから、それとは異なるアプローチでやらないと意味がないという話をしていて。それで栗原さんから「アパレルラインをつくれませんか?」という相談があったんです。

ーバッグから派生してアパレルをつくるというのは、あまり例のないことだと思うんですが、それを聞いたときに澤田さんはどんなことを感じましたか?

澤田篤宏 / Barrio ディレクター
〈バッハ〉をはじめ、〈ティラック〉や〈クレッタルムーセン〉など、「ジャーナル スタンダード」でもおなじみのブランドの輸入代理店を務める「バーリオ」のディレクター。

澤田:やれないことはないんじゃないか、という気持ちはありました。それでスイスにいる〈バッハ〉の本国スタッフに打診をしたんですけど、当初の思惑に反してなかなか「OK」という返事がもらえず…。それで業を煮やしたぼくらはスイスまで行って、〈バッハ〉のCEOであるマーティンという人物に会いに行ったんです。

栗原:彼の家まで行って、庭でBBQしたりしてね(笑)。

澤田:そうそう。それで仕事とは関係ない話もしながら一緒に時間を過ごしていたら、帰り際にマーティンが「彼のお店ならやってみるのもいいんじゃない?」って言ってくれたんです。

ーそれは「ジャーナル スタンダード」が〈バッハ〉と良好な関係性を築いているからなんですか?

澤田:それがすべてではないですが、要因のひとつであることは間違いないと思います。展示会のたびに栗原さんとマーティンは顔を合わせていますし、「ジャーナル スタンダード」で取り扱いがスタートしてからもう長い年月が経っていますから。

栗原 潤 / JOURNAL STANDARD ディレクター
「ジャーナル スタンダード」が設立して間もない頃からのメンバー。長年バイヤーとして活躍し、2016年よりディレクターに就任。

栗原:恐らくお店がスタートした頃から取り扱っていると思いますよ。ただ、むかしはいまみたいに人気のブランドという感じではなかったかな…。むしろ、売れ残っている印象が大きかった。当時はアイルランド製で、レートの関係上、値段もそこそこ高かったので。ただやっぱりモノはよかったので根気良くオーダーを続けて、いまでこそ〈バッハ〉は売れ筋ブランドに成長していますけどね。

澤田:ぼくもそのむかし、京都の「ロフトマン」というお店で〈バッハ〉を販売をしていたんですが、当時はまだ日の目を見ていなかった…。だから「バーリオ」が代理店になるときも反対だったんですよ、正直な話(笑)。でも、栗原さんに「やってくれると助かる」と背中を押されて、心は納得していないなか取り扱いをはじめて。

栗原:納期を守らないし、結構ルーズなんですよ本国は(笑)。だから澤田さんのところでやってくれるとすごく助かるんです。

ーなるほど(笑)。でも、それが結果として間違った選択にならなかったと。

澤田:そうですね。やってよかったと思います。いまは男性のみならず、女性にも支持されるブランドになっていますから。これは栗原さんとよくする話なんですけど、〈バッハ〉のアイテムはルックスが端正なわけではないと思うんですよ(笑)。

ーというのは?

澤田:デザインが際立って洗練されているわけではなくて、どちらかといえば等身大なんです。どことなく力が抜けていると表現すればわかりやすいかもしれないですね。〈バッハ〉はむかしながらのクラシックな部分がデザインのなかに残っていて、それがこのブランドの魅力だと思うんです。かっこつけていない、と言うと語弊を与えちゃうかもしれないんですがちょっと鈍臭いくらいのユルさが逆にいまかっこいいのかなと。

栗原このロゴもいいんですよね、なんか鈍臭い感じがする(笑)。1989年にこのロゴができあがって、それをいまも使っているんですよ。でも、こういうロゴっていまの時代見かけないですよね。唯一無二だと思う。プロダクト含めて、昔ながらのブレない姿勢がいまの時代に当てはめたときにすごく新鮮に見えるんです。

澤田:だから、このブランドでアパレルラインをつくるというのは、ある意味では、いまの時代にないものをつくることに繋がるんじゃないかと思うんです。

ざっくりとしたキーワードからはじまったモノづくり。

ー〈バッハ〉は、いわゆるアウトドアやトラベルといったシーンに向けた機能的なバッグをつくっていますよね。そのアパレルラインということで、そういったフィロソフィーは継承しているんでしょうか?

澤田:そうですね。やっぱりバッグに対するイメージを壊したくなかったので、“機能”というコンセプトは崩さないことが前提としてありました。で、そこをどう表現するか? というところに行き当たったときに、全アイテムをパッカブルにするというアイデアが生まれて。

ー軽くて持ち運びに便利ということですね。

澤田:そうですね。ちょうどバックのラインからも軽量に特化したアイテムがリリースされていたので、そことの親和性もありますし。

アイテムに収納用のポケットが内蔵されていて、そのなかにパッキングすることができる。澤田さんが持っているのは、ブルゾンを収納したもの。

ーそのコンセプトが決まってから、作業はどのように進行していったんですか?

栗原:ぼくがざっくりとしたキーワードをいくつか投げて、それを澤田さんに形にしてもらうような感じで作業はすすみましたね。

澤田:「アノラック」とか「シャカシャカ」とか「プルオーバー」とか、本当にざっくりで(笑)。

栗原:見方によっては雑な投げ方だと思われるかもしれないんですけど、そっちのほうがいいと思ったんですよ。細かな指示をだしたら、いいものがつくれないだろうな、と。ぼくらは知り合って長いですし、むかしから〈バッハ〉のプロダクトを見てきているという共通点もありますから。澤田さんならやってくれる、という信頼は最初からありましたね。

ーキーワードを投げるなかで、栗原さんの頭のなかにはどんなイメージがあったんですか?

栗原:アノラックがあったり、シャカシャカした生地を使っていたりとか、そういう漠然としたものが思い浮かんでいて、ディテールとか細かな部分に対する具体的なイメージは全然なかったんです。ぼくはデザイナーではないし、〈バッハ〉のディレクターであるわけでもない。あくまで「ジャーナル スタンダード」のバイヤーとして、店頭にどういったアイテムが並ぶのがいいかを考えた結果、そういったキーワードが出てきたというか。

栗原さんのが投げたキーワードのひとつにあった「アノラック」。それが具体化したのがこちらのアイテム。
「着たときに丁度いい具合にダサさがでる一方で、いまっぽい着こなしにも対応する便利なアイテムですね」とは栗原さん談。
アノラック ¥27,000+TAX(ジャーナル スタンダード 表参道)

独断と偏見で決めた生地のセレクト。

ーキーワードを形にする側として、澤田さんはそれをどう捉えたんですか?

澤田:正直、はじめはなにも見えなかったです(笑)。でも、そのキーワードを持ち帰って2、3日考えると徐々にイメージが湧いてきて。パッカブルなアイテムということなので、まずは生地ありきだな、という考えに行き着いたんです。それで「帝人フロンティア」というメーカー商社に相談しに行きました。

ー「帝人」といえば、TVのCMもしているような大きな企業ですよね。どうしてそのグループ会社である「帝人フロンティア」に?

澤田:ぼくらはメーカーではないのでツテがそこしかなかったんですよ。そのツテも、むかし知り合いの方に「帝人フロンティア」のスタッフの方を紹介してもらったことがあっただけで、それからコンスタントにやり取りをしていたわけでもないので…。仰る通り大企業だし、断られたらどうしようという不安は正直あったんですけど、ダメもとでコンタクトを取ってみたところ「一緒にやりましょう」というお返事を頂いたんです。

澤田:それで打ち合せをさせてもらって、色んな生地サンプルのなかからこの「PACKIT® (パックイット®)」というファブリックを見つけたんです。すぐにこの生地を使おうと決めましたね。瞬間的にビビっときて、「これしかない!」って思ったのをいまでも覚えてます。

栗原:澤田さん、ぼくへの相談なしでこの生地に決めちゃったんですよ(笑)。でも、さすがは澤田さんと思いました。イメージした通りだったから。見た目の風合いもいいですし。

ー「PACKIT®」はどんな生地なんですか?

澤田:「帝人フロンティア」が開発した「SOLOTEX®(ソロテックス®)」という螺旋状になった繊維でつくられているんですが、すごく軽量で、なおかつシワになりにくいという特徴を持っているんです。あと、どしゃ降りの大雨はさすがに対応できませんが、日常生活で使うには問題ないレベルの撥水性もあるんです。ぼくも栗原さんも国内外問わず出張することが多くて、そのときにできる限り荷物を減らしたいんですよ。コレなら本当にコンパクトになるし、着るときにシワが気にならない。非常に便利だなと。

ーつまり、コンセプトにピッタリの生地だと。

澤田:その通りです。しかも、企画段階では〈バッハ〉と「ジャーナル スタンダード」の取り組みでしたが、この生地を見つけたことで「帝人フロンティア」も巻き込んでプロジェクトを前に進めようということになりました。つまり、生地メーカー、ブランド、小売りが一体となることで、より高い完成度をもつプロダクトをお客さまにお届けできるようになったんです。

この対談で澤田さんが着ているのがこちらのプルオーバータイプのウェア。「ロンTを合わせたり、シャツの上から着てみたり、いろんなレイヤリングを楽しめると思います。これからの季節は間違いなく重宝します」とは澤田さんの弁。トップス ¥18,000+TAX(ジャーナル スタンダード 表参道)

バッグとの親和性をどう表現するか?

ーコンセプトと生地が決まって、デザインはどのようにして形にしていったんですか?

栗原:最初に話したように〈バッハ〉の魅力は等身大のデザインにあると思ったので、今回のアイテムに関しても肩肘の張らないものにしたいという気持ちがありました。いくらでもあるんですよ、“カッコいい”プロダクトは。そういったなかで、トレンドのベクトルから少しズレたようなアイテムが欲しかった。それも例のごとく澤田さんにざっくりとお伝えして(笑)。

澤田:単純にぼくらは40代なので、イマドキのスタイリッシュなアイテムよりは、80年代のクラシックなプロダクトを好む傾向にあって。あとは実際に着るものもラクなものを選ぶんですよ。つまり、機能的で、シルエットにも多少ゆとりがあって着心地がいいものを。だから〈バッハ ガーメンツ〉のデザインには、そういった想いを反映させようと思いました。

ー「クラシックなプロダクト」と「機能」という部分は〈バッハ〉のバッグにも通ずる部分がありますね。

澤田:デザインに関しては知人のパタンナーにも協力してもらったんですけど、〈バッハ〉のバッグとどう繋げるか? という部分をその人と一緒に考えました。

栗原:完成品を見ると、細かなディテールに“バッハらしさ”が出てるのが分かりますよね。ポケットとか、パーツの使い方とか。

澤田:そうですね。バッグにあったポケットのディテールをそのままウェアにも採用したりして、親和性を高めてますね。

栗原:ぼくはここまで完成度の高いアイテムがあがってくるとは正直思ってませんでした(笑)。だからすごくよかった。いろんなお客さまに見てもらいたいですね。〈バッハ〉が好きな人はもちろん、そうでない人にも気に留めて欲しい。パッカブルで機能的なアイテムではあるんですけど、仮にそこを省いたとしても、ファッションとしていいデザインに仕上がっていると思うので。

ーこの企画は今後どうしていくんですか?

澤田:今後も継続してやろうという想いはあります。今年一年は「ジャーナル スタンダード」のみの展開で、その後は本国との話し合いのなかで決めていこうかと。

ーまだはじまったばかりで気が早いですが、秋冬に関してはすでに構想がスタートしているんですか?

澤田:なんとなく話は進んでいます。でも、今回のように企画に合った生地がないと進行しないので。まずは「帝人フロンティア」さんのラインナップのなかから他にない生地を探すことからはじめようと思っています。

栗原:今回は〈バッハ〉と「帝人フロンティア」と「ジャーナル スタンダード」が三位一体となってできたことなので、それはやっぱり継続していきたいですよね。

澤田:ぼくもそう思います。どれも欠けちゃいけない。とはいえ、無理になにかをつくろうという気はなくて。3社がしっかりと噛み合っていいモノづくりをするのが理想なので、そういったタイミングでまたおもしろいことをしたいですね。

栗原:そうですね。まぁそれもまだ先の話なので、まずは今回のファーストコレクションを色んな人に見て欲しい。それに尽きます。

JOURNAL STANDARD 表参道

住所:東京都渋谷区神宮前6-7-1
電話:03-6418-7961
営業:11:00~20:00(不定休)
Barrio Co.,Ltd.
www.barriojapan.com
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