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今のうちに知っておきたい レインスプーナーにまつわる3つのこと。Vol.03 ユナイテッドアローズの視点。 日本の伝統文化「浴衣」との邂逅。

reyn spooner

今のうちに知っておきたい レインスプーナーにまつわる3つのこと。Vol.03 ユナイテッドアローズの視点。 日本の伝統文化「浴衣」との邂逅。

ハワイアンシャツの代名詞的〈レインスプーナー〉連載企画。最終回となる第3弾は、ユナイテッドアローズ メンズフォーマルディレクターの諸田佳宏さんのお話。もともと、戦後に日本人がハワイに持ち込んだ和服が起源とされるハワイアンシャツが、時を経て今度は日本の文化である「浴衣」に生まれ変わる。数奇とも必然的とも取れるこの“再会”について語ってもらった。

  • Photo_Shin Hamada
  • Text_Jun Namekata[The VOICE]
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英国のスタイルと日本の和装には通じるものがある。

—この話を掘り下げる前に、まず知っておきたいのは諸田さんのバックボーン。実はハワイ好きだっわけでも、和装に興味があったわけでもない、英国スタイルの傾倒者だった。

諸田:この世界に入って30年以上になりますが、最初から英国に傾倒していまして…。元々は英国ブランドに携わっていましたし、ユナイテッドアローズに入ってからもメンズクロージングを担当していました。ハワイには『行ったことがある』程度でしたし、和装は昔親父が家で着ていたなとか、結婚式で着る機会があったなくらいで。

—そんな諸田さんだが、今ではすっかり和装にもハマっているよう。きっかけは?

諸田:ユナイテッドアローズに入って間も無く、浴衣を担当することになったんです。その時は帯の締め方もわからないような素人だったのですが、改めてきちんとそれを着た時、まったく違和感がなかったんですよ。しっくりきてしまったというか(笑)。最初は『やっぱり日本人のDNAが流れているからかな』くらいにしか思わなかったのですが、いろいろなことを勉強しているうちにどんどんハマってしまって…。

—それはなぜか? キーワードは「クラシック」&「トラディショナル」。

諸田:私が標榜していた英国のスタイルと日本の和装には通じるものがあると感じたんです。文化の成り立ちや、身だしなみの心構えなど、掘り下げるほどに点と点が繋がって線になっていく。

英国と日本を比較して自分の中で仮説を広げていくうちに、まったく違う国でありながら根底の部分では重なっている部分が多いのだという風に思ったんです。逆に言うと、そういう英国クラシックの下地があったからこそ、和装の奥深さを気づくことができたと言えるかもしれませんね。

スプーナークロスの浴衣の縫製、そして綿素材の浴衣の染めと縫製を手がけたのは、京都で200年近い歴史を持つ老舗〈伊吹〉。品質は折り紙つきだ。

〈レインスプーナー〉は間違いなく浴衣と相性がいい。

—そして〈レインスプーナー〉と出会う。

諸田:もちろん以前から存在は知ってはいました。また〈ブルックスブラザーズ〉が〈レインスプーナー〉の生地でシャツを作っていたことがあり、ユニークな取り組みだなというくらいに頭には入っていた。知識として知っているくらいだったんです。

その後しばらくたって、知人を通して改めてレインスプーナーの生地を紹介していただく機会があったのですが、その時直感めいたものが走ったんです。『これは間違いなく浴衣と相性がいい』と。どこか運命的にすら感じましたね。

正直に言いまして、それまでまさか海外のブランドと浴衣を作るとは思っていませんでした。自分自身意表を突かれたというか(笑)。でも、とにかく面白いことになるなということはわかったんです。

ハワイのあの気候風土のもとで着る服は日本の夏にも絶対合うとわかっていましたし、ハワイアンシャツは主に自然をモチーフにしていますが日本の浴衣もそう。そしてともにその土地のトラディショナルウエアである。色々な共通点があるんです。ハワイには盆踊りもありますしね(笑)。

ライフスタイルを提案するブランドであるということ。

諸田:それに、私はブランド名がストア名になっているものにはすごく興味があるんです。それはつまり、洋服を売るということはもちろん、それ以上にライフスタイルの一つを提案しているということだから。

ちょっと大げさになるかもしれませんが、それを選ぶという生き方を提案しているというか。〈レインスプーナー〉もそう。ハワイという場所で歴史と伝統を持ってものを作り続け、スタイルを提案している。それはとても凄いことです。

—浴衣と〈レインスプーナー〉をマッチングさせる上で、難しかったことは?

諸田:ありませんでした。プロジェクトを進めていく中で、どんどんイメージが広がるんです。〈レインスプーナー〉の世界観をどう表現していくかもそうですが、浴衣以外の色々なアイテムに落とし込めることがわかり、どんどんアイデアが生まれた。こんなに楽しい作業はありませんよね。

また、このプロジェクトに対するスタッフの意気込みもすごかった。それを見て〈レインスプーナー〉というブランドの偉大さを改めて知りました。だからこそ、その期待を裏切るようなことはできないなと身を引き締めて取り組めましたね。

「スクーナークロスを使った浴衣は本当に気持ちがいい」と諸田さん。帯は、京都で創業280年を迎える帯の製造販売の老舗〈十代目 山口源兵衛〉の芭蕉の木を素材としたもの。浴衣¥48,600、帯¥21,600

ハワイの海を表現する伝統的な柄「モロカイチャネル」をあしらった草履。大阪の老舗履物メーカー〈菱屋カレンブロッソ〉が手がけた。¥19,440

草履と同じ「モロカイチャネル」の柄をあしらった扇子。こちらは京都の老舗〈宮脇賣扇庵〉によるもの。ケースにはスプーナークロスを使用している。¥7,020

中の巾着にスプーナークロスを使用した籠バッグもスタンバイ。ウィメンズで用意されているスプーナークロスのハワイアンドレスとの相性が抜群。¥16,200

—〈レインスプーナー〉の伝統と日本の伝統。2軸で生地をチョイス。

諸田:〈レインスプーナー〉ファンを裏切れないという使命がある以上、スプーナークロスを使うことは大前提でした。それに加え、浴衣は日本の伝統的な衣服であることと日本の気候風土に合ったものも揃えなければいけないということで、天然素材(綿)のものも展開しています(※スプーナークロスはポリエステル混)。

ちなみに今日着ているのはスプーナークロスの浴衣ですが、これはかなりいいですよ。裏使いした生地は日本の「かすり」にも似ていて風情がありますし、サラサラとした肌触りが気持ちいい。クセになりそうです(笑)。

柄はハワイの伝統的なモチーフであり〈レインスプーナー〉を象徴する「ラハイナセイラー」を中心に選びました。もともと浴衣の生地は自然をモチーフにしたものが中心ですから、そのあたりのマッチングには全く苦労はありませんでした。つくづく相性がいいなと思いましたね。

浴衣を身近なものに感じて欲しい。

諸田:実は私は、この〈レインスプーナー〉の浴衣をいろんなところに持っていって着て欲しいと思っているんです。浴衣というのは日本人にとってとても身近なものであると同時に遠い存在です。いわば非日常なんですね。

ならば、例えばハワイ旅行に行った時に着てもらってもいいし、あるいは国内の温泉地に旅行に行く時に“マイ浴衣”として持っていくのもいい。そういった使い方もできるものだと思っているんです。そういう思いもあり、持ち運びがしやすいように、今回は浴衣と同柄の巾着をつけています。

そうそう、よく『浴衣にビーチサンダルを合わせるのはアリですか?』という質問をいただくのですが、私としては古典的な浴衣にはやっぱり古典的な履物が似合うと思っていて…。いつかビーチサンダルを合わせられる浴衣が作れないかなと思っていたのですが、それも今回叶いました。

今回のこの取り組みを通して、もっと浴衣を身近なものに感じてもらえれば嬉しいし、そして〈レインスプーナー〉の魅力をもっと知ってもらえると思います。これを着て夏祭りや花火大会なんかに行ったら、かなりオシャレだと思いますよ。

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