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『続・日々の100』刊行記念。松浦弥太郎の愛用品について、改めて。

2011.12.16

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自分で経験して発見しない限り、物事は身につかないんです。

―松浦さんは、コレクター気質みたいなものはあるんですか?

松浦:それはないですね。これはもう愛着湧かないな、友達になれないな、っていうものはすぐに手放したりします。だからカメラも好きなんですけど、防湿庫に入れて、っていう感じではなくて、ボディが1~2台、レンズが2~3個あれば十分ですね。

―置いて愛でる、というよりはきちんと使う派なんですね。

松浦:そうです。使わないと愛着も湧かないですしね。あとはひとつインパクトのある買い物をした場合は、何か一つ手放しますね。そうしないと、自分の中で折り合いが付かないんですよ。

―それもまたルール的ものかと思うんですが、本書の中でも書かれているように、松浦さんの生活の中には、決まり事というか、規範があるかと思います。日曜日は5時に起きてランニング。シャワーを浴びて、朝食、みたいな。そうしたルールを設けたのは、いつ頃からなんですか?

松浦:10代後半から、ずっと自分ひとりで仕事していたので、会社のような決まり事の中にいなかったんですよね。だから、自分で作るしかなくて。あと、そういうものがないと、本当にだらしない人間になりそうで。色々な失敗をしてきているんで、その度に一つづつ発見して、作ってきたっていう感じですかね。小心者なんですよ、僕は。痛い目にあった分、二度と痛い目にあいたくないなって思うんです。

―そのように、時には人生訓のようなことも書かれていますが、教えを請われることなんかも多いんじゃないでしょうか?

松浦:すごくありますね。でもお断りすることが多いです。

―それは人に教えるようなものじゃないってことなんですか?

松浦:やっぱり自分で経験して、発見しない限り身につかないですよね。他人のことを聞いてもあまり面白くないはずなんですよ。僕なんかは、外国ばかり行っていて、いつも一人でした。どうやって自立していくか、ということばかり考えていたんで、あまり人を頼ってないんです。だからといって、人付き合いをしていなかったというわけではなくて、自分が出会った人からたくさん学ばせてもらいましたけど。あとは本も読んでましたしね。だからこれ以上人の話を聞くことはないかなって。本って、もちろん読むものだけど、結局人の話を聞いているのと同じなんですよね。

自分の居心地について最近はよく考えます。
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―最近の読書量ってどれくらいですか?

松浦:いや、最近は全然読まないですね。もういやってほど読んだから(笑)。今はぼーっとするのが好きなんですよ。「松浦さん、本屋やってるし、さぞかし読まれてるんでしょうねぇ」とか言われるんですけど、人並みですよ。ホントに(笑)。他のことを楽しみたいです。古いクルマに乗ったりとかね。

―今は「COW BOOKS」に並ぶ本はスタッフが管理されてるんですか?

松浦:はい。僕が彼らにセレクトについてはきっちり教えてあるんで。「COW BOOKS」も、もう10年経ちましたからね。

―最後の質問です。「衣食住」の興味のバランスは、年齢とともに、どんな風に変わってきましたか?

松浦:やっぱり若い頃は「衣」ですよね。その次は「食」で、今は「住」ですね。さっきも言いましたけど、今自分が一番好きな時間というのが、ぼーっとしている時なんですけど、それもどんなところで、心地良い時間を過ごすのか、みたいなことが大事だったりするじゃないですか。

―本書の中にもあった「理想の家は、理想の環境があって初めて成り立つ。極端な話、家が満足いかないものでも、環境さえ決まっていれば」というのはすごくわかります。

松浦:だから、最近は物欲よりも、自分の居心地みたいなものを真剣に考えることが多いかも知れないですね。大丈夫ですか、こんな終わりで。ものがたくさん載っている本の話なのに(笑)。

photo_Yataro_Matsuura.jpg 松浦弥太郎 YATAROU MATSUURA
『暮らしの手帖』編集長、文筆家、書店店主。18歳で渡米、アメリカの書店文化に惹かれ、帰国後、東京・赤坂の本屋の一角に自身のコーナーを持つ。その後、中目黒にて「カウブックス」をスタート。執筆や編集活動も行う。著書に『最低で最高の本屋』、『くちぶえサンドイッチ』、『いつもの毎日。』などがある。

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