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We are Good Neighbors. 相場正一郎×濱田大介 ローカリズムの理想を追い求める代々木公園エリアのキーマンたち。

2014.06.12

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近年、衣・食・住の距離がどんどん近づいてきています。毎日の生活を快適に暮らすために、自分にとって必要なものを必要なだけすくい取る。そんなナチュラルなスタンスを、地元の仲間達とともに続けている人たちがいます。渋谷、原宿にほど近い代々木公園エリアにお店を構える、「LIFE」の相場正一郎と「Little Nap COFFEE STAND」の濱田大介。彼らが生み出す、肩肘の張らない空気感の秘密とは? 地元を盛り上げるということ、ローカリズムとは? 6月15日にイベントを控えた「LIFE son」にてお二人に語らってもらいました。

Photo_Marisa Shimamoto
Edit_Ryo Komuta

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「東京では公園を自分の庭代わりに使っている人が多い(濱田)」

-お二人はいつ頃から、交流を深めるようになったんですか?

相場: 濱田さんがお店(「リトルナップコーヒースタンド(Little Nap COFFEE STAND)以下リトルナップ」)を3年前に作ったんですけど、それがウチ(「LIFE」)のすごく近所だったので、なんとなく自然な流れで行くようになったんです。

濱田: 僕の方は、随分前から「LIFE」に行ってましたね。

相場: でも、そもそもは〈エンズ アンド ミーンズ(ENDS AND MEANS)〉というブランドをやっている(内山)太郎さんという方がいて、その人を介して知り合ったんですよね。

濱田: そうでしたね。ウチにカタログを置いてたんですよね。

相場: そのカタログをウチのスタッフが持って帰ってきたんです。

濱田: 確かにそんな感じで「リトルナップ」には「LIFE」のスタッフさんがよく来てくれましたね。あと「LIFE」のお客さんも、ランチの後に来てくれたり。

相場: 朝早くからやってるコーヒースタンドが近所にできたっていうのがうれしくて。あんまりこの辺になかったんです。

-そうして自然にお店を行き来するような仲になっていったわけですね。それではお二人が代々木八幡、代々木公園にたどり着くまでの経歴を簡単に教えて下さい。

相場: 僕は高校卒業後に、イタリアに料理修行に5年間行っていました。それで帰国後、原宿に新しくオープンするイタリアンレストランで店長兼料理長を3年間務めて、2003年に「LIFE」をオープンしました。今年で11年目になりますね。そして、2012年には2号店の「LIFE son」もオープンしました。

-「LIFE」ができるまでの経緯は、最近出された著書『世界でいちばん居心地のいい店のつくり方』に詳しいですよね。濱田さんはいかがでしょう?

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濱田: 僕がコーヒーを始めたのは、20代前半の頃ですね。イタリアを回ってバール文化に触れたのもその頃です。その後27歳で独立して、地元の富山でお店をやりながら、コーヒーのトレーナーとか色々なことをしていました。

-相場さんは28歳、濱田さんは27歳、お二人とも20代後半で独立されています。

濱田: そういえばそうですね。それでしばらくして東京にやってきて、渋谷の「トウキョウ ファミリーレストラン(TOKYO FAMILY RESTAURANT)」の立ち上げを手伝うことになったんです。それと、そこのオーナーだった三浦くんが高円寺の「マーブル(Marble)」というカフェをやるときに、コーヒーのお手伝いをさせていただきました。

-当時はいわゆるカフェブームの時代ですか?

濱田: まさにそうですね。

相場: でも、「マーブル」は少し早かったんじゃないですか? 僕らは「マーブル」に行ってた立場だったし。ただ、確かに世代的にはカフェブームのまっただ中ですよね。イタリアから帰ってきたときがちょうどそのタイミングでした。

濱田: 僕は当時、色々なカフェとかレストランにエスプレッソマシーンを納品して、コーヒーの淹れ方を教えていました。当時はきちんとコーヒーを淹れられる人が、そんなにたくさんいなかったんです。ちょうどその頃、イタリアにスローフード協会ができるなど、イタリアという国がコーヒーなどの文化に力を入れはじめたときだったんです。なので、日本でもただ可愛いだけのカフェじゃなくて、きちんとコーヒーを淹れようというカフェが増え始めた時期でしたね。

-それにしても、"カフェ"がとにかく多かったですよね。

濱田: はい。猫も杓子も、でしたよね。お店を出しては畳んで、という。。スタイルだけ真似しているようなお店もなかったとは言いません。

-そういえばですが、奇しくもイタリアという国が、お二人のベースにはありますね。

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相場: 今話を聞いていて、僕もそうだなって思いました。濱田さんって、僕が「リトルナップ」に行くときはたいがいお店にいるんですよ。ウチのスタッフに言わせると、いつもいないらしいんですが(笑)。で、濱田さんの顔を見るとお店に必ず入るんです。その感じって、イタリアのバールみたいだなって思うんです。コーヒーを飲みに行くというのはもちろんなんですけど、そこにいる人に会いに行くというか。

濱田: 確かにそういうところはありますね。イタリアってとにかくバールがものすごくたくさんあるんです。コンビニがない代わりじゃないけど、「バール ジェラテリア」だったり「バール・タバッキ」だったり。新聞屋さんにもエスプレッソマシーンがあるくらい。だから、必然的に自分の行きつけのバールっていうのができるんですよね。

-生活に完全に根付いているんですね。

濱田: そう。「チャオ、ボンジョルノ!」っていうノリです。エスプレッソをサッと一杯飲んで「じゃぁまたね!」みたいなことを、一日何回もやるんですよ。

相場: そうそうそう。

濱田: 最初は衝撃的でしたね。それが、ローカルに根ざした食文化というものを初めて意識したときだったかもしれません。それはローマだろうが、トスカーナだろうが、フィレンツェ、シチリアだろうが、どこに行ってもある文化でした。

-バールは朝から晩までやってるんですか?

相場: そうですね。夜になればバーになるんで。

濱田: イタリアでは、ただ単にコーヒーを淹れるのがバリスタではないんです。カクテルも作るし、アンティパスト(前菜)も出すしっていう。サービスマンというか。"バールマン"っていう言葉があるんですよ。そもそもバーテンダーのことをバリスタというわけで。

相場: そういうイタリアの文化にお互いに触れてきて、ローカルというか、自分に近しい地域を盛り上げたいっていう意識は一緒なのかもしれませんね。こういう話って、濱田さんと改めてしたことなかったですけど。

濱田: 確かに。ローカルで色々シェアしてものごとを作っていくというか。もっと気楽な感じでいえば、「近所においしいレストランがあったらみんなで行こうよ」「俺らの地元楽しいよね」的な感じですよね。昔からそういう気持ちは変わってないです。

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-相場さんは栃木、濱田さんは富山というそれぞれの地元があるわけですが、それぞれのお店がある代々木公園、代々木八幡という土地はどんな場所なんでしょうか?

濱田: 世界中を回ってみて思ったんですけど、どの国でもそれなりの規模の都市には必ずといっていいほど大きい公園があって、その周りにカフェやレストランなどの色々なお店があるんです。代々木公園にもそういう感じはありますよね。それと、東京では公園を自分の庭代わりに使っている人が多いですよね。何の気なしに散歩したり、くつろいだり。

相場: 確かにね。散歩したり運動するために近所の公園を使うということに、そんなに"わざわざ感"がないというか。日々、そういうことを自然にやってる人が多いのかなって。自分もマラソンするんで代々木公園にはよく行きますし。

濱田: 相場さんも週末になると、お子さんたちと水筒とバッグ持って過ごしたりしてますよね。

相場: はい。自分だけじゃなくて、そういう人たちは本当に多いですね。行けば必ず誰かに会いますし。

-濱田さんの言う、"庭"という概念は素敵ですね。

相場: それこそ「リトルナップ」は代々木公園の西門のすぐ近くですし、あのへんにはハンバーガー屋の「アームス(ARMS)」もありますね。

相場: そうなんです。僕はお店をあそこに作る前から、子供と「アームス」に行ってそのあと公園に行くということをよくしていて、その流れがすごくいいなって思ってたんです。さらに、夜には「LIFE」でピザ食べて、一日中あの辺りで過ごせるんですよね。小さい子供がいても全然大丈夫というか。

相場: 改めて思うんですが、「リトルナップ」の場所はすごく良いところですよね。

濱田: 最初は反対されましたけどね。人全然いないじゃんって。でも、僕はお店作るときはあえて、いつも人のいないところに作ってましたね。でも、ここ(LIFE son)も決して人通りという意味では良くはないですよね。

相場: そうですね。このへんもいくつか規制のあるところで、あまり大きな音をたてられないし、深夜営業もできないんです。

濱田: 「リトルナップ」のあたりもそうですね。お店作るときに地域住民の方々に説明をしないと商売できないですし、何よりも住んでる人を優先しているエリアなんです。

-濱田さんは、お店を出す場所をずっと探していたんですか?

濱田: いや全然(笑)。たまたま知人を介して紹介されて、っていう感じでした。なにかをやろうという気持ちだけは、ふつふつとあったんですが、どこでやろうっていうことは全然考えてなかったですね。

-そうなんですね。元々このへんが素敵だなっていう思いと、たまたま合致したんですね。

濱田: そうですね。代々木上原、代々木八幡あたりには本当に素敵なお店が多いんです。チェーン店ではなく個人店というか、ひとつひとつ丁寧にものを作っている方がたくさんいます。

-どんなお客さんが多いんでしょうか?

濱田: ファッション関係の方とかすごく多いですよ。渋谷、原宿、六本木で働いている人がこの辺にたくさん住んでるんで。ただ、渋谷や原宿のお店と違うなと思うのは、みんなオフモードで来るからスタッフとお客さんの距離がすごく近いんですよね。生活の中に自然に溶け込んでるというか。

相場: それはあるかもしれないですね。濱田さんのところは特にそういう傾向がありますよね。

濱田: はい。「Hey! What's up?」みたいな(笑)。ユルい感じですね。

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