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原作は三浦しをん、音楽はジェフ・ミルズ。熱帯夜を思わせる、狂気の映画『光』。

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恥を忍んで告白しますが、辞典にかける人びとの情熱を丹念に描いた『舟を編む』をはじめ、三浦しをんの作品は人間の良心と情熱を中心に描かれたものばかりだと思っていました。

しかし、人間の光を描ける人は、闇も同時に自由自在に描写できるのかもしれません。

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三浦しをんの作品群で、徹底的に人間の闇を描き、ファンの中で特別な評価を得ている一作『光』が、『さよなら渓谷』、『まほろ駅前』シリーズの大森立嗣監督の手によりついに映画化されました。

俳優陣も実に豪華。かねてからの競演を望んでいた井浦新と瑛太の狂気と怪物性、そして長谷川京子、橋本マナミの色気と母性がスクリーンに吸い込まれるような熱情を放ちます。特に、橋本マナミのベッドシーンは、言い古された表現ではありますが、文字通り体当たりの演技で、女優・橋本マナミの力強さを感じさせるものです。

〜STORY〜
東京の離島、美浜島。中学生の信之は記録的な暑さが続く中、閉塞感のある日々を過ごしている。信之(井浦新)を慕う年下の輔(瑛太)は、父親から激しい虐待を受けている。美しい恋人の美花(長谷川京子)がいることで、毎日は彼女を中心に回っていた。ある夜、美花と待ち合わせをした場所で信之は美花が男に犯されている姿を見る。そして信之は美花を救うために男を殺す。その夜、理不尽で容赦ない圧倒的な力、津波が島に襲いかかり、全てを消滅させた。生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった。 それから25年後、島をでてバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる。妻子とともによき父として暮らしている信之と、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花。誰からも愛されずに育った輔が過去の秘密を携え、ふたりの前にやってくるのだった。

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音楽は、ジェフ・ミルズとこれまた気になるトピックでしょう。

肉体的な音楽、熱を帯びた演技が相乗効果を生み、狂気の世界へと観客を一気に引きずり込んで行きます。その感触は、どうやっても拭えない熱帯夜の寝苦しい夜を思わせます。心して観るべき映画かと。

Text_Shinri Kobayashi


『光』
11月25日(土)、新宿武蔵野館、有楽町スバル座 ほか全国ロードショー
出演:井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本マナミ、南果歩、平田満 ほか
監督・脚本:大森立嗣
原作:三浦しをん(「光」集英社文庫刊)
音楽:ジェフ・ミルズ
配給:ファントム・フィルム
©三浦しをん/集英社・©2017『光』製作委員会

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