〈ガント バイ マイケル バスティアン〉のバックグラウンドについて
ー最初のテーマをラクロスにした理由は?
MB:旅行に行くときは、いつも「ニューヨークマガジン」や「ニューヨークタイムズ」などを飛行機の中で読むのが習慣になっていまして。その「ニューヨークマガジン」の中にラクロスについて書かれた記事があり、ラクロスで使われる言葉やカルチャーなどが書かれていて興味を持ちました。さらに〈ガント〉には少しスポーティなイメージがありまして、そのイメージとマッチさせるなら、ラクロスが良いのではないかと思ったわけです。〈ガント バイ マイケル バスティアン〉は新しいイメージを作っていくべきだと考えたので、新しい男の子像をイメージさせるにはラクロスというメジャー感がありすぎないスポーツがピッタリ合っているなと考えて、テーマにしました。
ー次シーズンは、野球とのことですが?
最初と同じ考え方で少しスポーツを意識していたので、かつてのメジャーリーガージョー・ディマジオと、ウィメンズのコレクションも同時に展開することになったのでマリリン・モンローをイメージしています。またマリリン・モンローのセカンド ハズバンドだった劇作家のアーサー・ミラーという方は結構ナードでまじめな男性なんですね。1960年代に実際にあった彼らを取り巻くストーリーは、思い描くイメージともピッタリ合っていたので、ウィメンズのコレクションとメンズのコレクションを一緒のテーマにしました。
ー僕の勝手なイメージなのですが、コレクションにはコーデュロイのアイテムが多く見られる気がします。シグネチャーも〈ガント〉の方もなんですが、本日もお召しになっていて。コーデュロイは、好きな生地ですか?
MB:コーデュロイはすごく大好きな生地です。着れば着るほどコーナーが擦れてきたり、洗濯機に入れるだけでそれなりの味が出るので。また、あまり気にせずに着られますし、そのうち自分の人生の一部みたいになる雰囲気がすごく好きです。
ーちょっとガントの話ではないのですが、〈ブルネロ クチネリ〉とニットを作っていらっしゃいますが、彼を選んでいる理由は?
MB:バーグドルフ グッドマンのファッションディレクターをやっていたときに、プライベートレーベルを〈ブルネロ クチネリ〉社で作っていました。それで工場に行って一緒に物を作っている間に交流も出来ましたし、自分のコレクションを発表したいと思ったときには、ブルネロ クチネリさんに話しました。彼は友人でもありましたので「快く一緒にやりますよ」と言ってくれましたね。
ー今まではお店でブランドを選ぶ側だったと思うのですが、選ばれる側になった今の気分は、いかがですか?
MB:自分がハッピーな気持ちでデザインするためには何が大事かということを色々考えることがあります。その中でお客様をハッピーにすることなのか、自分が作りたい服を作ることなのかが重なり、苦しむこともあるのですが。でも、それはやっているうちに自然と解決していきます。自分が幸せな気持ちの中でデザインしていれば、自然とお客様が欲しいものも見えてくる。それと、今の環境を考えると、大きな世界を見据えながら自分のやりたい事をやるというよりも、やっぱり自分の服を愛してくれる人たちという小さいグループでもいいから、本当に自分の洋服を好きでいてくれる人のために作っていきたいという気持ちはありますね。
無造作に捲り上げた袖と
時計とブレス類のバランス。文句ナシです。