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ブランドの今後の方向性について

ープライベートで雑誌などに登場している姿を見ると、靴を選ぶセンスが良いなと思うことが多くて。今日履いているブーツも格好良いのですが、スニーカーの履きこなしがすごく上手だなと。やはり靴はお好きなんですか?

MB:シューズはとても大事なものです。将来的には靴も自分のコレクションにも取り入れていきたいです。〈ガント〉社でもサングラスなどは展開しており、そういった小物はわりと簡単に作れます。けれど、洋服を完全にするためにはシューズをデザインして、自分の気に入ったものを履くことがすごく大事だと考えています。もしかしたら最後に手掛ける商品になるかもしれませんが、すごく大切なファッションアイテムだと思っています。

ー素晴らしい靴を期待しています。それでは、今のファッションシーンで気になっているブランドであったり、デザイナーって誰かいらっしゃいますか?

MB:あまり気になるデザイナーはいませんし、気にはしていないです。自分がデザインした服しか着ていないのでショッピングもあまりしません。逆に色々なお店に行ったら、「僕のコピーしてるな」って。それはいい気持ちはしませんね。
旅行をしたり、小説を読むことがすごく好きだということと、自分の人生に何が足りないのかを考えてると、自分で何を着たいのか、何をデザインすればいいのかは自然と浮かんでくるので、トレンドもそれほど追っていませんね。ライフスタイルを考えたときに、自分のブランドというものを大事にしているので、他のデザイナーの存在はあまり気になりません。自分の人生に対してピュアでいたいという思いもあるので。

ーファッションビジネスに進むことになったルーツを聞かせてください。

MB:ビジネススクールを出ているので、自分では将来はウォールストリートなどで金融系のビジネスをしているかなと思っていたのですが...。ニューヨークに住み続けたいと思って色々とリサーチしているうちに、最初に目にとまったのがリテールビジネスというか売り場、現場になりました。過去には〈ティファニー〉やオークションするサザビー、〈ラルフローレン〉やバーグドルフ グッドマンなどを経て、今に至っているのですが、はっきり言えば、これはミステイクでサプライズ。ただ、今はハッピーな気持ちでデザイナーをやっていますよ。

ーミステイクでサプライズだなんて...、素晴らしいデザイナーですから、今後もがんばってください。

MB:ありがとうございます。一生懸命仕事をしていれば、いつか実って成功できますね。

ー日本のマーケットから見ていると、かつてニューヨークのシーンがいまいちだったのを面白くした立役者の1人だと思っていますので。

MB:ありがとう。かつてバーグドルフ グッドマンのファッションディレクターをしていたときに、色々なデザイナーを見るとラグジュアリーなデザイナーが主で。あとは廉価なプライスのブランドはあっても、中間的な存在がなかった。30歳を過ぎて、「40歳近くなってきたら、何を着ようか」と考えた時に、やっぱりクラシックを追ってオヤジっぽい雰囲気にはなりたくないし、ロゴモノも着たくない。そう考えていくと、欲しいと思ったのに着たいと思う服が見つからなかった。それで空白というか隙間があることに気づきました。そして、この枠に必要なのは、クラシカルなアメリカンスポーツウェアでラグジュアリーな雰囲気の服だと考えたのです。その結果、自分でデザイナーをやろうと決めました。

ー見事な決断ですね。この決断のおかげでニューヨークのファッションシーンが魅力的になったと思います。今後も、シグネチャーの〈マイケル バスティアン〉、そして今回からスタートする〈ガント バイ マイケル バスティアン〉ともに期待しています。まだまだ聞きたいことはたくさんありますが...、またお聞きできる日を楽しみにしています。
今回はありがとうございました。

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履き込んで味のあるブーツ。
靴にこだわりある氏がデザインする靴を早く見てみたい気も。



vol.55に続き、マイケル・バスティアンに深く語ってもらったこちらの企画いかがでしたか?
シグネチャーのラインよりも買いやすいだけでなく、コンセプチュアルで魅力的なアイテムが豊富に揃っている〈ガント バイ マイケル バスティアン〉は、今もっとも注目すべきブランドのひとつと言っても過言ではありません。ぜひ店頭に足を運んで、その素晴らしさを体感してみて下さい。

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