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二人三脚で歩んだビジュアル制作。

─ここ数シーズンほど、ビジュアルワークにおいて坂元さんがスタイリングを務めているわけなんですが、きっかけって何でした?

笠戸:元々、私自身が熱狂的な"坂元ファン"だったんですよ。雑誌を見ていて、ページをめくる手が止まるのはやっぱり坂元さんのスタイリングが多くて。2009年秋冬からディレクションに携わったときに、いつもカタログをお願いしていたアートディレクターの方に、次のシーズンはどうしましょう、と提案をうけていて。説明を聞きながら、じゃ、スタイリストはどうしよっかって話になり、いろいろなスタイリストの方々のブックをチェックしていたんですよ。で、最後に提案されたのが坂元さんだったんです。うわ、これ、来ちゃいました! と。遂にこの日がやってきたと思った瞬間ですね。それが2009年の秋冬ですね。

─実際にお仕事をする上で、坂元さんの印象は?

笠戸:うーん、たいがい撮影で会うことが多いので、基本はシラフです。そうですね、なんていうかダメ出しが多いみたいな(笑)

坂元:洋服のサイズが小さいみたいな?(笑)

笠戸:そうそう。これはよく言われた印象がありますね。

坂元:モデルの身長が大体185cmあるのに、用意してあるサンプルがすごく小さいことが多いですよね。サイジングで服の印象がとても変わりますよと、何度かアドバイスしていました記憶があったような......。確か、実際に買う方も細身の方が多いんですよね? 最初は戸惑いましたが、回数をこなしていくと、ああ、これが今の服なんだって妙に納得するようになって。〈HARE〉の服はすべてがタイト。あ、でもダメ出しじゃなくて、その時思ったことを言っているだけなんで、そこは誤解なきよう(笑)

笠戸:もちろんですよ。

坂元:とはいえ、シラフで話しているときは撮影の話で。酔っ払っている時は......、自分全部忘れちゃうんです。結構いい話している可能性は高いですが。

─酔ったりすると、坂元さんって結構無茶しません?

笠戸:あー、卓球とか(笑)?

坂元:卓球? あれね。酔ってくるとすごくカラダ動かしたい派で。何ていうのかな。ほら、夜中にいきなりバッティングセンターに行きたくなるというか。たまたま一緒にいたんで、"じゃ、卓球しましょうよ"ってなって。ただうまくやれてた記憶が一切ない。

笠戸:なんか叫んでました。暴れてましたよ。

─その現場、居合わせたくないですね(笑)。じゃあ実際にカタログを作られてて、大変だったんじゃないですか?

笠戸:この時の(2010春夏のカタログを指差して)、空き缶を圧縮したブロックを用意したのが、結構大変でしたね。

坂元:うん、これはすごかった(笑)。最初のカタログの頃から、〈HARE〉の服を着ている人に対して、物作りをするというキャラクター像があって。ただ、そういった物作りをする人ってこだわるけど、意外と周りの状況や服に対してのこだわってない。そういう自然な感じのキャラクターを出したくて。笠戸さんの色々細かい指示もあったりして、これはこれで面白かった。

─なるほど。だから、アートピースっぽい撮影用プロップを用意したわけですか。

坂元:空き缶のプルタブを使って椅子をデコレーションしたりね。これ、たぶん服のスタイリングよりも時間かかってるんじゃないかな。しかし、この空き缶のブロックは、工場からお借りしたはいいけど、洗っても乾かしても臭い。もう、大変なことになっちゃったなぁと。撮影本番までどこで保管しようか悩みました。

笠戸:これ、本当に重かったんですよね......。確か30kgあったかな。でも、いつもこんな感じで刺激をうけてますよ。

─プロではない、いわゆる"素人モデル"を起用することは多いんですか?

坂元:何度か話しているように〈HARE〉の服はすごく等身大というか、リアルに人が着るブランドというイメージが強くて。サイジングもそう。確かにサンプル自体はモデルに着せるには、小さいかもしれませんが逆に〈HARE〉をよく買っている人には、しっくりはまる。ですから、物作りっぽいキャラクターとか、設定が活きてくると思っています。すると街の人に着せればいいか、とか。そういうアプローチもいいかもしれませんね。

─カタログの構成も意識して?

坂元:カタログはですね。いわゆるカタログ然とした作りが好きではなくて。モデルカットが並んでいて、次に商品撮影のページが続くという。そうではない物の見せ方を常に工夫しています。

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坂元さんがカタログ制作に参加したのは2009秋冬から。「リアルな服だけに、素人を使って撮影したり、大勢で撮ったり。こうしてみるといろいろとトライしたなぁと思いますね」

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「柄×柄っていう、今までの〈HARE〉にはないアプローチが新鮮で、ストールやベストをレイヤードしてみました」と坂元さん。ジョッパーパンツを引き立てる、絶妙な丈感のソックス使いに注目。
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坂元さん曰く、「ダウンベストなどスポーティなものに民族調のアイテムを組み合わせも、それはそれで面白いなって思って」だそう。今季の新作、スカートパンツがボリューミーなレイヤード感を構築。
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軽やかなメルトン素材をあしらい、ウエストシェイブを効かせたショートダッフルジャケット。トリプルステッチで処理したフード周りなど、男っぽいニュアンスも残す。「ショート丈は日本人にこそしっくりはまるんですよ」と坂元さん。¥17,850
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オフセットされたジッパー使いが目を引く今季アウターの決定版。スナップボタンを配置したフラップポケットなど無骨な雰囲気を残しながらもシルエットはタイト。インナーにはキルティングベストが付属。¥23,100
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