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変容を続けるアニマル・コレクティヴ --これは最高のライブセットだ、なんて思ったことはない--

2012.08.06

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「タイコクラブ 12'」で来日したアニマル・コレクティヴは、9月にリリースされるニュー・アルバム『Centipede Hz』からの楽曲を中心に、まったく新しいパフォーマンスで観客を強烈に惹きつけた。素晴らしいライブから一夜明けた夕刻、ボアダムスの一員として同じく「タイコクラブ 12'」で圧倒的なパフォーマンスを披露した音楽家、ヒシャム・アキラ・バルーチャと、15年来の親友同士が繰り広げる、バンドについての話。

Photos(Live)_Keisuke Akabane
Interview & Text_ Hisham Akira Bharoocha
Edit_Yohei Kawada

Animal Collective アニマル・コレクティヴ
1990年代半ば、米・メリーランド州にあるボルチモアにて結成。2000年、デビューアルバム『Spirit They're Gone, Spirit They're Vanished』を自主レーベルからリリース。2007年には「Domino」と世界契約を結び『Strawberry Jam』(07')、『Merryweather Post Pavillion』(09')を発表。いずれも世界的に高い評価を獲得し、アメリカを代表するバンドのひとつとして音楽ファンから絶大な支持を受けている。

インタビュアー:Hisham Akira Bharoocha ヒシャム・アキラ・バルーチャ
ブルックリン在住のマルチアーティスト。ミュージシャン、ヴィジュアル・アーティスト、フォトグラファーなど、多彩な才能を発揮しジャンルレスに活躍。Lighttning BoltやBLACK DICEの結成に関わったのち、ソロ・ユニット「Soft Circle」を立ち上げる。「タイコクラブ'12」にはボアダムスのメンバーとして参加。Animal Collectiveのメンバーとは15年以上前からの親友同士である。hishamb.net/

「ニュー・アルバムのテーマは"エイリアン・バンド"だ」。

-日本に来て落ち着く間もないくらい、すぐタイコクラブに向かったんだって?

エイヴィ・テア(以下、エイヴィ):今日やっと時差ボケが取れたよ(笑)。

ジオロジスト: それが時差ボケなのか、それともフェスで朝まで起きていたからなのか分からないけどね(笑)。ライブ前日は宿で遅くまで、Youtubeでカラオケしてたもんな(笑)。

-相変わらずだね(笑)。君たちの新しいアルバムについては、僕はそのタイコクラブのステージで初めて聴いたんだけど、新しいステージ/機材の設定やビジュアルを見て嬉しい気持ちになったんだ。君たちはさらに進化している、ってね。結構時間をかけて作ったみたいだけど、アルバムのテーマがあれば教えてほしいな。

ディーケン: テーマは"エイリアン(宇宙人)バンド"だね。

エイヴィ: 今回のアルバムはもっとライブを感じさせる音にしたかったんだ。レコーディングに集中するのではなく、バンドとしてもっとミニマルな感じでね。例えば、ノア(パンダ・ベア)がドラムだけを叩くといった行為、あとは地質学というか、石、水晶、晶洞みたいな物質、そういったところから宇宙の方にもアイデアを繋いでいって、最終的には"宇宙の中にラジオ局が存在したらどうか"という想像に至り、このアルバムを作った感じだね。

-アルバムのタイトルに「Hz(ヘルツ)」とあるけど、それも"ラジオ局"のイメージから?

ジオロジスト: そう、それはラジオウェーブ(電波)が宇宙の方に飛んで行くイメージだね。地球のミュージシャンがいろんな音をサンプリングするように、もし宇宙にいる生き物が地球の音をサンプリングしたら、それはやはり電波を通して伝わるはずだから。あとは、子どものときの思い出だけど、ラジオを聴いているときに音楽とのつなぎ目がサウンドコラージュみたいになるときがあるだろ? MCがやたら早口で喋ったり、コマーシャルに移るタイミングの継ぎ合わせとか面白いもんね。

cf_animal_collective_member.jpg(左から時計回り)ディーケン(ジョシュ・モブ)、エイヴィ・テア(デイヴ・ポートナー)、パンダ・ベア(ノア・レノックス)、ジオロジスト(ブライアン・ウェイツ)

-面白いコンセプトだね。今回はエンジニア/プロデューサーにベン・アレンを起用してるけど、彼と前回レコーディングしたときと比較すると今回はどうだった?

ディーケン: 僕たち自身も音楽のプロデューサーでもあるわけだから、スタジオ内でも全体的な音の統制は自分たちで取っているんだ。今回は、ベンの持っている強い意見が僕らの意見と上手くバッティングして、良い意味でテンションが高まった。僕らはすべてプロデューサーに任せて「このプロダクションは完全に君に任せる」なんて言うミュージシャンじゃないから、最終的にチームワークで全員が納得するものに辿り着いてよかったよ。

-スタジオの場所はアリゾナ州だっけ?

エイヴィ: 今回レコーディングしたのはテキサス州のエルバソという町だったよ。スタジオの方から僕たちに連絡があって、「是非使ってくれ」って言われたんだ。調べたらけっこう良い機材があって、テープマシンが2台あったからベンが喜んでそこに決めた。ちょうど僕らがスタジオに入る前、ビーチ・ハウスやヤー・ヤー・ヤーズも入っていたらしくて、それだったら仕事の進みも早いだろう、って。

ディーケン: スタジオのオーナーが一風変わった人たちで、面白い体験だったな。けっこうアウトサイダーが集まってた(笑)。彼らはアメリカで一番大きいクルミ農場を持っていて...明らかに、そのオーナーはサイケデリックな人だったよ。幼少の頃にワイルドな体験をしていたみたいで、様々なアートやエクスペリメンタルな劇団、東洋心理学なんかに興味があって、スタジオの雰囲気も独特だった。

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