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150年の歴史を誇る 極上の帽子ボルサリーノの魅力を探る。

2011.11.25

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紳士なら一度は憧れる、極上の帽子〈ボルサリーノ〉。イタリアの職人の手により150年以上に渡って紡ぎ出された歴史は、いまも揺らぐことなく脈々と受け継がれ、他に類を見ない帽子を世に送り出している。ここでは、そんな〈ボルサリーノ〉に惹きつけられた、スタイリストの大久保篤志氏・UAの小木"poggy"基史氏・CA4LAのクリエイティブディレクター秋元信宏氏の3名に、その魅力を語っていただいた。

Photos_RINTARO
Edit_Ryutaro Yanaka

影響は、すべてミュージシャンから。

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―まず、小木さんにとって〈ボルサリーノ〉とは?

小木"poggy"基史氏(以下poggy/敬称略):スタイリストの大久保さんが、かぶっていらっしゃるのを見て「いつかは欲しいなぁ」と思っていました。そんな大久保さんが、自らのブランド〈ザ スタイリスト ジャパン〉で「銀座トラヤ帽子店」とのコラボレーションを実施なさって、興味がそちらに流れていたんですが、やっぱり古い映画などを観ると「ボルサリーノ良いな」と思ったりして。

なので、できれば大久保さんに〈ボルサリーノ〉の魅力をお伺いしたいな、と。

―という訳で、ご享受をよろしくお願いします。
大久保さんが〈ボルサリーノ〉をかぶり始めたきっかけを教えていただきますか?

大久保篤志氏(以下大久保/敬称略):亡くなった、ザ・テンプターズの大口広司さんがカッコ良くかぶっていたのが影響かな。その大口さんを紹介していただいて、上手にかぶっていたのを見て、自分もかぶりたくなったわけ。

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―それは、いつ頃のお話ですか?

大久保:1980年代半ばくらいかな。

―それで、すぐに購入しに行かれたんですか?

大久保:たしか銀座のトラヤに行って買ったんだけど、最初かぶったときは抵抗があったんだよ。自分的にも見慣れてないから。そしたら、大口さんは「慣れるまでは風呂に入るときもかぶった方がいいよ」って言ってくれて。だから一日中かぶってました。

―そこから慣れてきて、コンスタントに買い足していかれた?

大久保:そうだね。でも、あの当時ってハットをかぶってるヒト達っていなかったよ。いまは一般化したけど。

―ちなみに、いま大久保さん自身のブランド〈ザ スタイリスト ジャパン〉で銀座トラヤ帽子店とのコラボを製作していますが、〈ボルサリーノ〉以外でかぶっている帽子はありますか?

大久保:ほとんどないかな、カナダのビルモア(BILTMORE)社が製作するホンブルグくらいで。

―〈ボルサリーノ〉は、どのくらいお持ちですか?

大久保:最低限度このくらいの色バリエーションで揃えてあるかな。そうすれば、服に合わせやすいから。

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poggy:ツバの横部分を折り曲げていらっしゃいますよね?

大久保:こういう風に折り曲げるのが好きなんだよね。他のヒトはあまりしないんだろうけど、好みだから。自由な方が楽しいでしょ? 大口さんなんかは、ツバを全部降ろしてかぶっていたし。それがまたカッコ良くて。

―ツバの長さの好みっていうのは時代時代によって変わりますか?

大久保:いままでは5.5cmくらいの短いのをかぶってたんだけど、去年くらいから7cmっていうちょっと長めにチャレンジしてみようと思って買い足したり。

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―何かきっかけがあったんですか?

大久保:キース・リチャーズ[※注:ローリング・ストーンズのギタリスト]が、最近ターバンからハットに変わってきたんだよね。恐らくジョニー・デップの影響だと思うんだけど、それでかぶってたのがベージュっぽい色で、買い足したの。きっかけはつねに単純、ヒトがかぶってるの見てカッコ良いから買うっていうだけだから(笑)。共通してるのは、全部ミュージシャン。

―好きなミュージシャンからの影響が大きいんですね。

大久保:だってトム・ウェイツがかぶってるのとかカッコ良いじゃん。エルビス・コステロだって、ボブ・ディランだってかぶってるヤツはカッコ良いでしょ? すべてはミュージシャンですね。

―次に狙っているモデルなんてありますか?

大久保:次は、山が高いヤツかな。それをよらせてかぶりたいね。だから、雨の日に必ずかぶるんだよね。

―大久保さんはキャップをかぶっているイメージも強いですが、ご自分の中でサイクルがあるんですか?

大久保:気分かなぁ。そろそろハットかなって。

―最近、髪を伸ばされていますが、ハットのかぶり方にも変化はありますか?

大久保:なんか新鮮かな。かぶって後ろから髪が出る感じは、いままでなかったから。伸ばして良かったかなって思ってる。

―では、しばらくは伸ばして。

大久保:ロンゲにするから。デビュー当時のジミー・ペイジ[※注:レッド・ツェッペリンのギタリスト兼リーダー]。飽きたら、すぐに切るとは思うけど(笑)。

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―ちなみにですが、スタイリングで使われることも多いですか?

大久保:多いね。

―そのときは、どちらでリースなさるんですか?

大久保:私物です。やっぱり使い込んで味が出てないと、カッコ良く見えないじゃないですか。このグレーのハットに関しては結構長くかぶってるから愛着もあるし。じつは、ハリウッド ランチ マーケットの餅つきのときに、取って置いておいたら水たまりに落っこちてて...。「あぁーっ」って落ち込んだんだけど、かぶって自然乾燥させてみたら逆にイイ雰囲気になってたっていう(笑)。

poggy:(笑)。

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大久保:このベージュのなんかは、まだ1年だから味が出てなくて。5~6年はかぶり続けないと。

poggy:高級品をガンガンかぶるっていうのがカッコ良いですよね。

大久保:そんな大層な感じじゃないけど、その辺は楽しまないとさ。ただ、最初は安いのからトライして欲しいかな、できれば。そこから頑張って買っていくのが魅力だよね。

―着こなし的に、これっていうスタイルはありますか?

大久保:あんまり気にしないで、そのときの気分に合わせて。だって、堅いスーツに合わせるのは昔ながらでアリだけど、なるべくカジュアルに合わせて似合う感じにしたいでしょ。カジュアルに〈ボルサリーノ〉合わせてるけど、自然に着こなしてるようにしたいよね。

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大久保氏
ハット:〈ボルサリーノ〉
スーツ:〈サスクワァッチファブリックス〉
ベスト:〈ザ スタイリスト ジャパン〉
ヘンリーネック&Tシャツ:〈テンダーロイン〉
メガネ:〈白山眼鏡店×ザ スタイリスト ジャパン〉
ブーツ:〈オールデン〉

poggy
ハット:〈大久保氏のボルサリーノ〉
ジャケット:〈ザ スタイリスト ジャパン®〉
シャツ:〈ポロ ラルフローレン
ジーンズ:〈ビリケン〉
シューズ:〈ヴァン リーガル〉
ネクタイ:〈フィオリオ〉
チーフ:〈トム・フォード
イニシャルリング:〈ヴィンテージ

borsarino_1_8.jpg 大久保篤志
Atsushi Okubo

文化服装学院を中退し、アパレルメーカー勤務後、平凡出版(現マガジンハウス)『POPEYE』『an an』のスタイリストとして活動をスタート。俳優やミュージシャンのスタイリングだけでなく、〈ザ スタイリスト ジャパン〉のデザイナーも務める。1955年生まれ。

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