バイヤーも驚嘆する、日本人デザイナーが手掛けるイタリアメイドの小物ブランド。 - page3 - FASHION FEATURE

―ISETANで〈ラルコバレーノ〉を取り扱うようになったのはいつ頃からですか？ また、その経緯も併せて教えてください。

ISETANバイヤー岡本和彦氏（以下岡本／敬称略）：展開を始めたのは2010年10月頃から。ISETANではどちらかというと、財布は機能性に優れた国内ブランドが多く、こだわりのある本格志向の海外のファクトリーブランドはあまり取り揃えていなかったのです。しかし、お客様からのご要望が多かったため、〈ラルコバレーノ〉を取り扱うようになりました。

―ブランドの存在は、買い付ける以前からご存知でしたか？

岡本：そうですね。実際に買い付けを始めたのは前任のバイヤーなんですが、直接ファクトリーまで足を運び自分の目で確かめてから買い付けを行っています。

―先ほど「海外のファクトリーブランドが少ない」と仰っていましたが、何か理由が？

岡本：海外の方とのやり取りの場合、時差の関係などもありコミュニケーションが難しく、納期が遅れたりロットが間違っていたりなど弊害が起こりやすく躊躇してしまうことが多いんです。しかもいいファクトリーはメゾン系に押さえられている......。しかし〈ラルコバレーノ〉の場合、作りが良いのはもちろん、日本人デザイナーがコントロールしているので問題が起こりにくく助かっていますね。

―〈ラルコバレーノ〉のアイテムの良さはどういったところですか？

岡本：昔は「メイド・イン・イタリア」というだけで売れていたと思うんですが、最近のお客さまは皆さん目が肥えていますので、それだけでは買わなくなってきています。商品そのものに価値がないとダメなんです。アイコニックな部分や素材の良さが必要とされますが、〈ラルコバレーノ〉にはそれがあります。イタリア製ならではの美しいカラーリングやオールレザーながら薄く仕立て上げられた素材感、コバ塗りなど、先ほども言った本格志向な出来になっているのが魅力です。

―客層はどういった人たちですか？

岡本：ビジネスマンでもどこか遊びの部分を取り入れたいと思われる方が、小物でも普通と違ったものを、という流れで〈ラルコバレーノ〉を選んでいます。背景にはビジネスマンの服装がカジュアル化してきたことがあります。カラーリングも、黒よりはブラウン+オレンジやネイビー+レッドがよく売れます。

―ISETANでは〈ラルコバレーノ〉ネームでベルトも作っていますよね。

岡本：じつは、お財布のコーナーとベルトのコーナーが隣接しているため、せっかくならセットで販売してみようと思い、別注をお願いしました。〈ラルコバレーノ〉の独特なカラーリングを、ベルトにも応用してみたくなりまして。配色は革小物に合わせています。靴とベルトを揃えることはありますが、財布とベルトを揃えるという新しい提案も〈ラルコバレーノ〉なら通用する気がするんです。まだまだ売り出したばかりでそこまで浸透はしていませんが、売り上げは悪くないですよ。ただ普通に付けているときは、バックのカラーは見えないんですが（笑）。隠れたオシャレです。

―来シーズンも継続して展開しますか？

岡本：もちろん財布、ベルトともに展開していくつもりです。〈ラルコバレーノ〉自体の知名度も上がり、お客さまからの問い合わせも増えていく中で、もっとISETANらしい打ち出しをしていかなくてはいけないなと思っています。お客さまのご要望をよく伺って、ISETANとしての提案をベルト以外にも考えていきたいですね。

岡本和彦
Kazuhiko Okamoto
2002年伊勢丹に入社。紳士服担当などを経て現職。国内外の革小物・ベルトを中心にバイイングを担当。

伊勢丹新宿店
住所：東京都新宿区新宿３丁目１４－１
電話：03-3352-1111
www.isetan.co.jp