FEATURE
Y2Kアーカイブモデルを独自の色で再構築。ショーン・ウォザースプーンとテバの新たな試み。
Teva × Sean Wotherspoon

Y2Kアーカイブモデルを独自の色で再構築。ショーン・ウォザースプーンとテバの新たな試み。

異常なほどの猛暑・酷暑が続く2025サマー。これだけ暑いと自ずと足元事情にも変化があるもので、例年以上にサンダルの出番も増えるわけです。その中でも勢いを増す〈テバ(Teva)〉と、ヴィンテージとスニーカーカルチャーの象徴的存在で、数々のグローバルブランドとのコラボレーションを手がけてきたデザイナー、ショーン・ウォザースプーン(Sean Wotherspoon)による限定コレクションが、8月14日にグローバルローンチ。これに先駆けて開催されたポップアップイベントの会場を訪れ、本プロジェクトのキーマンであるショーンに会ってきました。

PROFILE

ショーン・ウォザースプーン

ロサンゼルスを拠点に活動するデザイナーであり、世界的なヴィンテージコレクターとしても知られる。23歳でヴィンテージショップ「ROUND TWO」を設立後、多くのブランドとコラボレーションを展開。独自の色使いと素材選びを武器に、スニーカーから超高級車まで幅広いジャンルにおいてヒット作を生み出している。
Instagram:@sean_wotherspoon

ロサンゼルスと世田谷を往来。二拠点生活で得られるフレッシュな経験。

ポップアップイベントのテーマは、西暦2900年の地球で発掘された“未来の歴史ミュージアム”。伝説の宇宙探検家「タカ・ジョーンズ」とそのクルーの軌跡をたどる没入型インスタレーションとして演出され、主役のシューズたちのほか、クルーが実際に着用していた(という設定の)ユニフォームや装備品、そして地球で発見されたアーティファクト(遺物)を展示。訪れた人々を物語の中へと引き込む、知的で刺激的でユニークな空間がそこには広がっていました。

こちらのイベントは残念ながら終了しましたが、コラボシューズは絶賛発売中! そこで、本プロジェクトを手がけるショーン・ウォザースプーン自身に、〈テバ〉とのコラボレーションに込められた想いについて訊いてきました。ぜひご一読あれ。

ー現在は1年間の半分を日本で過ごしているそうですが、日本での生活は楽しいですか?

いまもロサンゼルスと東京を行ったり来たりしていて、その生活自体がぼくにインスピレーションを与えてくれるものになっています。東京での発見や収穫をロサンゼルスに持ち帰り、新たなプロジェクトを始める。その逆もまた然り。二拠点生活を通して、常にフレッシュな経験が得られています。

ーあなたが日本で、普段どんな生活を送っているのかが気になります。

ぼくが住んでいる世田谷のとある街は、川や森、山などの自然の情景が身近にあって、気が向いたら釣りにだってすぐ行ける。気分次第で川沿いを散歩したり、スーパーで買い物をしてきてキッチンに立って料理をする。そんなリラックスした日々を家族と過ごす一方、こうやって都会の真ん中で様々なプロジェクトに携わったりしています。

ーどおりであのエリアでのあなたの目撃談を聞くワケですね。

本当に? たしかに京王線にもよく乗っているからね(笑)。

ーそんな日本での生活の中で“得られた何か”があれば、教えてください。

ロサンゼルスでは車を中心とした生活を送っていたので、必然的に車中で過ごすひとりの時間も多かった。その点、ここ日本では移動も電車を使っているし、常に人に囲まれて生活しているので、人間観察がたくさんできてすごく学びになっています。着ている服やセンス、それだけでなく取り入れているトレンドさえも一人ひとりが違っているので、街ゆく人々を観察するという行為が、感覚を研ぎ澄ますための糧になっていると感じています。

ーなるほど。あなたは以前、インタビューで「自分のデザインが日本人のセンスと重なる部分がある」と話していました。

三宅一生(〈イッセイミヤケ〉デザイナー)、安藤忠雄(建築家)といった日本を代表するデザイナーたちの作品を見ていると、発想の第一に機能性があり、その後に形状やスタイルといったデザイン性がくる。しかもその機能性とデザイン性が同じくらいに素晴らしい。日本の優れたデザイナーやアーティストから受けた影響を、自分自身のクリエイティブにも反映させています。

ーあなたが日本を活動拠点のひとつとしている理由がわかりました。機能性と見た目の両立は、シューズのプロダクトデザインにおいても大きな課題となっていますが、シューズのデザインする際の着想源について教えてください。

何よりもまず“色”です。それもパントーンのパレットから取り出した色ではなく、街を歩いていて目に留まったものや風景の色です。たとえば、道端に咲いていた花のピンクと赤の美しい組み合わせ。たとえば、ふとした瞬間に見上げた夕方18時頃の空の色もそう。徐々に夜へと向かっていく青が溶け込んだ黒の、あの美しい色です。

もしくは、ロサンゼルスにある自宅の庭先に咲くバラの花。蕾を切り落とすとそこには元の色とはまた違った色の蕾が現れます。そして、赤からオレンジやピンクへ。昨日と今日では違った色の花が咲くんです。そういった生活の中にあって、常に変化していく色を意識してデザインを考えています。

ーたしかに、あなたがデザインしたモデルの多くがカラフルな色を特徴としています。

色は、人の感情や想い出と密接に結びついています。見る者を幸せな気持ちにさせることもあるし、時に祖母との懐かしい記憶を思い出すトリガーになったりもする。ぼくの中で、感情や記憶を呼び起こす装置、それが色なんです。