PROFILE
千葉県出身。2001年に「Multiple Maniaxx & Technixx」をコンセプトに〈ネクサスセブン〉をスタート。ヴィンテージへの造詣が深く、生地や縫製など生産背景にこだわり、細かなディテールに至るまで完成度を高めたものづくりをおこなっている。他にもデニム生地をベースにものづくりをおこなう〈BEYONDEXX〉を手がけるほか、プロバスケットボール Bリーグ「アルティーリ千葉」のクリエイティブディレクターとしても活躍。
PROFILE
福岡県出身。美容師アシスタントやセレクトショップ勤務を経て独立。2017年にオンラインストアとして「Witty Vintage」を開業し、同店のディレクターとして活躍している。2020年には祐天寺に実店舗もオープン。古着をただの服ではなく“ものがたり”として伝えることを大切にしている。
PROFILE
沖縄県出身。20代からアパレル業界に身を置き、30歳を目前にして独立。アメリカンカジュアルをベースとした知識を頼りに、現在は「OKINAWAN PICKERS」名義でヴィンテージバイヤーとして活躍。「Witty Vintage」のバイイングも手がける。
他のミリタリーパンツにはない独特のムードがある。
ー今回のM-45 トラウザーズをつくることになった経緯を教えてください。
今野: M-45はぼく自身、よく穿いているアイテムなんです。少し前から太めのパンツが気になっていたのもあって、最近また注目していたんですよ。赤嶺くんもよく穿いてますよね。
赤嶺優樹(以下、優樹): ここに積んであるのは、ぼくらの私物なんです。ぼくも大好きなんですよ。自分の体型に合うパンツで、見つければずっと買い足すということを繰り返していて。

ーそもそもM-45 トラウザーズは、どんなアイテムなんですか?
優樹: 第二次世界大戦後期に誕生した、アメリカ軍のフィールドトラウザーズですね。とにかくシルエットが太いのが特徴で。
今野: 最近全然みかけなくなりましたよね。
優樹: M-65とか、ベイカーパンツと比べると全然見なくなりました。
今野: たしかにベイカーのほうがよく見ますね。ぼくもいつかM-45をつくりたいとずっと思っていたんです。赤嶺くんが持っているたくさんの私物を確認すると、それぞれ個体差があったので、それを上手に編集しながらデザインしたらおもしろいんじゃないかと思ったんですよ。
NEXUSVII. × Witty Vintage × Dickies M-45 Trousers
各¥27,500
ー好みのディテールを残しながら、理想のM-45をつくろうということですね。
今野: そうですね。〈ネクサスセブン〉ではずっと〈ディッキーズ〉との取り組みもさせてもらっていて、トリプルコラボという形でなにかできるんじゃないかと。あと、レディースでも展開したいと思ったんです。
赤嶺玲子(以下、玲子): 私自身もこのアイテムが好きで、実は今日も穿いているんです。シルエットが太いのに、ウエストが自分のカラダにちゃんとフィットするんです。あとは当時の奥行きのある生地の風合いも気に入っていて、現行のミリタリーパンツとは違った魅力がある。
ー小さなサイズもあるんですね。
優樹: 比較的小柄なアジア系のひとたちが穿いていたんだと思います。

ーM-41やM-43といったアイテムもあると思うんですが、後期になるにつれシルエットにも変遷があったんですか?
今野: 変わりますね。M-45はヒップ周りから裾までズドンと武骨なシルエットになっているのが特徴で、それがかっこいいんです。
優樹: 他のミリタリーパンツにはない独特のムードがありますよね。

今野: あとは裾のアジャスタータブもユニークなんですよね。ブーツインできるようにするためのディテールなんですが、きっと年代を経て装備品も変わったことによる変遷だと思います。

優樹: 基本的には寒い季節に穿かれていたものなので、中にウールもののアイテムを穿くためにシルエットが太くなったんだと思います。ユーティリティ的に使える機能ですね。これがのちのM-65に繋がっていくんですが、その途中経過として、M-45にカーゴポケットを後付けした移行期の個体も存在するんです。
ーM-65はフロントがジッパーフライなのに対して、この時代はまだボタンフライですよね。そうしたディテールの違いにも年代を感じます。

今野: そうですね。当時のM-45を見ると、スタータイプのボタンや、尿素樹脂をつかったもの、あとはベークライトという素材でつくられたボタンを使用する個体もあるんです。それで今回はたまたまベークライトのボタンがデッドストックで大量に見つかり、自分の中でも点と点が繋がった感覚がありました。
優樹: ベークライトのボタンを使えたのは、今回本当に良かったですね。すごく硬度が高い素材なので、いまは建築資材として使われるんです。加工するときもダイヤモンドカッターを使うほどで、ますます服飾資材としては遠のいている。一般的なプラスチックよりも深みがあって、雰囲気のあるものなんですよ。ぼくらじゃ絶対に見つけられないものなので、さすが今野さんという気持ちでいます。