多様化する世界のランニングシーン。
まずは、世界のランニング事情を少しだけ。
これまで大手メーカーの独壇場だった市場に大きな変革をもたらしたのが、パリ発の〈サティスファイ(Satisfy)〉でした。2015年に誕生して以降、彼らのつくるウェアはストリートでも支持され、2024年には年間売上高が前年の2倍にあたる19億円に。
同様に、アメリカでは〈ディストリクトビジョン(District Vision)〉が台頭。アイウェアからはじまったスポーツブランドは、ランニングの枠を超えて、世界各地の感度の高いショップで取り扱われることになりました。
そのほか各地ではユニークなコミュニティが形成され、たとえばイギリス発の「parkrun」は、ウォーキングでも、ベビーカーを押しながらでも、犬と一緒でも参加可能だったり、深夜にスピーカーを持って走る「Midnight
Runners」は、賛否はあれど世界でブームも巻き起こしました。
ヨーロッパや北米だけにとどまらず、そのムーブメントはインドネシアやタイなど常夏の国にも及び、暑い中でおしゃれをして走ることが、新たなステータスシンボルになっていたりします。そこから見えてくるのは、競技性よりも「自己表現」、タイムよりも「体験」、そして何よりも自分らしい「楽しみ」を追求する姿勢です。