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FEATURE|注目の人物にインタビュー。TORIBA COFFEE・鳥羽伸博

注目の人物にインタビュー。TORIBA COFFEE・鳥羽伸博

What the Hip Think About?

注目の人物にインタビュー。TORIBA COFFEE・鳥羽伸博

その道のプロや識者に話を聞き、「なるほど!」と膝を打つこと。あまりに規格外のひとを見て「何だ、これは!」と既成概念がぶち壊されること。こういった体験に勝ることはありません。アート、メディア、ライフスタイル、デザイン、マーケティング、政治など、さまざまなジャンルのなかで、鋭い視点と発想、卓越した技術と知識を武器に世の中をにぎわす、要注目の人物たち。第四回目は、TORIBA COFFEE代表の鳥羽伸博さん。2014年にコーヒー豆専門店TORIBA COFFEEを東京・銀座にオープン。コーヒーに対する情熱や知識の深さもさることながら、独自の視点で収集するコレクションの数々が多方面から注目を浴びています。今回はコーヒーという軸の脇にある、鳥羽さんのクリエイティビティの根源を探るためお話を伺いました。

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鳥羽伸博

1977年東京生まれ。TORIBA COFFEE代表。高校卒業後渡英、8年の滞在を経て帰国。帰国後は家業であるコーヒーの幅広い業務に従事し、2014年にコーヒー豆専門店「TORIBA COFFEE」をオープン。音楽への造詣も深く、併設されている「ミュージックバー」では定期的に音楽イベントも開催している。

家業はコーヒーだから、コーヒーでなにかをはじめるイメージはあった。

まずは鳥羽さんのベーシックな情報をお聞かせ願えますか。出身は東京ですよね?

鳥羽世田谷区生まれです。学校は吉祥寺でした。高校卒業後はロンドンへ留学に。

ロンドンにはどのくらいの期間いらっしゃったんですか?

鳥羽8年ですね。当時ロンドンの大学に入るのっていろんな制約があり難しかったんですけど、イギリスの首相が変わったりして、突然、留学生をガンガン入れるようなったんです。それで行けることになって、なんとか大学も卒業して。そのままロンドンにいようと思ってたんですけど、あるとき外出しようと思ったタイミングでキーホルダーが壊れたんです。鍵が飛び散ったんですよ。それでこう、もういいかなと、帰ることにしまして。

帰ってきてからはなにを?

鳥羽帰国した当時って自分のアイデンティティなんかないし、まともな仕事なんかしたことがなかったから、とりあえずなにかやってみようと思って派遣社員を。楽しく働いてたんですけど、あるとき父親が経営してるハワイの農園のマネージャーが辞めるって話になり、後任としてぼくが行くことになったんです。結局ハワイには1年半いたのかな。そのあと台湾で仕事して、それが失敗してしまい東京に戻ってきたんです。

一応、家業がコーヒーなんで、帰国後にコーヒー屋を手伝うことになりました。ただ、父親の事務所を間借りしていたので、あーだこーだ指図がすごくって。そこで思ったんですけど、成功体験を持ってる人の新しいアイデアは、なかなか理解が難しい。成功する前の気持ちとかは知りたいけど、自分の人生を踏まえた意見はいらないんじゃないか。だから、トリバコーヒーをはじめるときにその事務所を出たんです。自分の考えを100%注ぎ込まないと絶対後悔すると思って。

そこからすぐ結果は出たんですか?

鳥羽う〜ん、すぐ結果を出す美徳もありますけど、長く続くことの美徳ってあるじゃないですか。思いっきり力を注ぎこんだものが、結果はすぐ出なかったとしても、100年後に繋がればいい。むしろ「これでいいのかな」ってものが100年後まで続くと思えない。そういう思いもあったんで、ここをつくるときは、周りになんと思われようと自分が正しいと思ったことをやろうと。で、いろいろやりはじめたんですよ。そういう意味では結構遅咲きだし、まだ咲いてないみたいなところはありますね。

突き詰めた結果からならいいけど「喫茶店だからナポリタンだよね」っていうのは違う。

これからのビジョンも伺いたいんですが、店舗を増やしていくことって考えていますか?

鳥羽考えてはいますけど、コーヒーでのアプローチはしないと思います。いや、コーヒーが基準にあっていいんですけど、コーヒーは主役になり得ないので。

なにが言いたいかっていうと、たとえばホテルの喫茶店で、コーヒー一杯に1000円も出す理由。それは、そこで人に会うとか、雰囲気が好きだからとか、コーヒー以外の全然違う目的がある。フランス料理屋で最後にコーヒーが出てくるのだって、料理のコースのほうが重要で、コーヒーの話にはなかなかならないし。

おいしいコーヒーを作るのは大事だけど、やっぱりコーヒーは「なにか」と「なにか」を繋げるもの。なので、そういったことを踏まえつつ、なにかおもしろいことができればと思ってますね。

なるほど。次の展開も楽しみですね。あと、鳥羽さんの店ではモナカを販売してますけど、その理由とかって教えていただけますか?

鳥羽まず、人ってどうしても固定概念とか既成概念とかパブリックイメージに流されちゃうんです。たとえばクリームチーズいぶりがっこ。あれってそもそも定番じゃないはずなのに、いまやどこにでもある。ただ、それをメニューにいれるんだったら、そんなメニューの構成にならないんじゃないかって思うことがあるんです。いろいろ突き詰めた結果必要だったらまだしも。「喫茶店だからナポリタンだよね」っていうのもちょっと違うんですよね。というわけでモナカに関しては、既成概念の外にあるなにかとコーヒーを合わせたかったんです。

豆の販売とあわせてカフェを併設する案はあったんでしょうか?

鳥羽あってもおかしくないですよね。ただぼくは、コーヒー豆をやりたかった。そこで同時進行でカフェをやるとなると、コーヒー豆に対して絶対妥協が生まれてくると思ったんです。

カフェってコーヒーを飲めない人に、紅茶とかオレンジジュースとか、別の飲み物を出すじゃないですか。それってぼくにしてみれば、八百屋に肉を買いに行くようなもので。八百屋さんに「野菜が食べれないので肉ありますか?」って聞くことはありえないけど、カフェは違う。

もしぼくがカフェをやるんだったら、コーヒー以外のものも、コーヒーと同等にこだわったものを提供したい。オレンジジュースも濃縮還元じゃなくて、搾りたてを出したい。紅茶だって茶葉を徹底的に研究して出したい。……そう考えたらやれないんですよ。だから紅茶もオレンジジュースも、やらない決断に至ったんです。

普通のミュージックバーは、家で音楽を聴くのと同じ感覚でアウトプットしている。

では次にミュージックバーのお話を聞かせていただきたいんですが、とにかく音のこだわりがすごいと伺ってます。

鳥羽一緒にこの場所をつくった大沢伸一さんと、その辺は相当詰めたんです。ミュージックバーってスピーカーがいいとか、レコードがいっぱいあるとか、いろんな要素があるじゃないですか。でも、いちばん大事なのって“どんな音楽をかけるか”と“何を聞かせるか”。実は一般的なミュージックバーって、家で音楽をかける感覚と同じレベルでしかアウトプットしてないんですよ。だからセレクターもいないわけです。

セレクトの片手間でバーテンダーをやるんならいいんですけど、逆はダメ。そもそも、ミュージックバーっていうんなら、ターンテーブルの前にどんと構えて、音をお客さんに伝えなきゃいけない。だから最初に決まったのはミュージックセレクターなんです。優秀なバーテンダーが入ったのは1年前くらいからですね。そこから一気にお酒がおいしくなって、相乗効果が生まれたんですけど。

インテリアも素晴らしいですけど、それはどうされたんですか?

鳥羽大沢さんがインテリア好きなんです。そして本来はクリエイターだし、そこまでやるのが仕事だと思ってる。なので彼に全部任せました。

音響の面はもちろん鳥羽さんですよね?

鳥羽そうです。あと経営の部分も。まあただ、音に関しては徹底的にこだわりました。さっきの“コーヒー屋なんだから紅茶は置かないでしょ”っていうのと同じで、ミュージックバーって謳うんだったら、最高の音にしたかった。だから、とにかく“いちばんいい”と思えるものを導入しました。金額の部分も一切妥協はしませんでしたね。

鳥羽さんがこれだと思う曲を聞かせていただけますか?

鳥羽(おもむろにビートルズをかけ)ビートルズに関しては世界中で売れているので、常にリマスタリングされ続けてるんです。いま流してるのが最新のものなんですけど、ひとつずつの音がクリアだと思いません? ノイズなんて一切ないし。

コーヒー豆は焼いたあと、3、4日寝かせたほうがおいしくなる。

大きい焙煎機ですね。そしてこんなにシステマチックなんですね。

鳥羽これが15kgの焙煎機で、工業用の焙煎機でいちばん小さいものです。大半のものはこの機械で焼いてますね。

小さな焙煎機もあるんですね。

鳥羽1キロの機械はサンプルを焼いたり、超高級豆を焼いたりするものです。1キロ数万円する豆は失敗できないので、こっちで焼きます。エスプレッソ用の豆は5キロの機械で焼いてますね。日本は気候が不安定じゃないですか。気圧の高低もそうですし、湿度もそう。焼くときの環境を理想のところまでもっていくのがたいへんなんです。だから、入っていく空気と出ていく空気のバランスはかなりこだわってますね。

〈デイトリッヒ〉とか〈プロバット〉ってアメリカの人気の焙煎機があるんですけど、結局アメリカの機械なので、気候の変化が少ないところでつくられた機械なんですよ。日本で使ってるところはたくさんあるけど、ぼくにはちょっと合わなくて。

いまは若い人もたくさんコーヒー屋をはじめてますけど、焙煎のことを考えるとなかなか難しそうですね。

鳥羽そうですね。ただ、新鮮なコーヒー豆に勝るものはないんです。要するに、うまく焼けてるけど鮮度のない豆と、うまく焼けてないけど新鮮な豆を比べると、新鮮なほうがおいしく感じちゃうんです。だから失敗は少ないのかなとは思います。

農園に行くことはお客さんの還元にならないから、行かなくなった。

コレクターとしても有名な鳥羽さんですが、すごい数のこけしですね!

鳥羽ぼくの収集スタイルとしては、最初にドーンとたくさん集めて、そこから研究していくんです。とくにこけしなんて、1体ずつ見たってなんだかわからない。10体20体並べると違いが見えてくるんです。

もうこけしの波は過ぎ去ったんですか?

鳥羽そうですね、こけしはもう。いろんな事情がありまして(笑)。

その事情は聞かないでおきます(笑)。逆にいま熱心に収集しているものはなんでしょう。

鳥羽集めているわけじゃないんですが、最近ベトナムに行くようになって、絵を少々。

絵ですか。ちなみにベトナムへはコーヒー農園へ行ったりしてるんですか?

鳥羽いえ、まったく関係ないです(笑)。というか、コーヒー農園を訪ねるのは数年前にやめたんですよ。なぜかというと、お客さんの還元にならないから。

そもそもコーヒー豆って、焼くまで良し悪しがわからない。農園を見たってなかなかわかんないんですよ。あと、なんらかの理由で仲良くなった農園のクオリティが低くなったとしても、情が湧きすぎちゃって“買ってあげよう”ってなるんだろうなと。そう考えると、農園に行くことより自分の味覚を高めるためとか、社員の教育に費やしたほうがいいかなって。

じゃあベトナムへは味覚を高めるために行ったんでしょうか?

鳥羽いちばん最初は、経営者の友達数人で「ベトナム視察に行こうよ」という話になったんです。向こうの企業を訪問したり、新しい商売を探そうっていう感じで。そんな旅行を繰り返してるときにホーチミンで油絵を見つけちゃったんです。

ベトナムで油絵ですか?

鳥羽意外に思うかもしれないですけど、ホーチミンに油絵ストリートっていうのがあって、油絵を売ってる店がずらっと並んでるんですよ。そしてベトナムの人たちって、家に絵を飾る文化があって。で、あるとき、その通りの店の人と話してると「写真を持ってきてくれれば、なんでも描くよ」と。

鳥羽これはおかめ蕎麦を描いてもらったんですけど、描き手はたぶん、これがなにか分かってないと思うんです(笑)。そして、まったく知らないであろうものを描いてもらうのがおもしろいんですよね。あと、日本人を書いてもらうのもおもしろい。微妙に似てない感じとか(笑)。

その水着の絵はなんですか?

鳥羽C.C.ガールズのポスターを撮って、描いてもらいました。最近は信頼関係も生まれてきたので、先に素材を送って、代金は後払いって感じになっています。

いいですね(笑)。ちょっと真似してみたいです。逆に、昔から変わらず収集し続けてるものはありますか?

鳥羽そこなんですよね。そこを考えていて分かったのが“教科書通りのコレクションもしてるんだな”ってこと。車、バイク、時計、カメラ、あとオーディオ。そのあたりはいまや逆に、おもしろさは感じてない。たとえば、ひとつ仕事しましたとか、店をオープンしましたってときに、記念に買う事が多いです。

なるほど。でも、まだ続いてるんですよね?

鳥羽時計とかは高くなりすぎちゃって、もうアホらしくなってきちゃいましたね。

オーディオはどうですか?

鳥羽オーディオは場所をとるし、一度に2台、同時に聞けないじゃないですか。そう考えるとあまり増やせない。それよりも「ミュージックバー」の2店舗目をオープンするときのためにストックしておこうという意識のほうが強いですね。

既存のメディアにがっかりしたことがきっかけではじめた対談企画。

「トリバコーヒー」のHPで対談を行っていますが、はじめられたキッカケはなんだったんでしょうか?

鳥羽いろいろあるんですけど、この店をオープンするとき、某出版社でタイアップ記事をやったんです。そのときに納得のいかない仕事をされまして。そこで“自分たちの伝えたいことが伝わらないんだったら、既存のメディアに頼るのはやめよう”ってなったんです。

なるほど。見てると人選も個性的というか、鳥羽さんらしいですよね。

鳥羽純粋に話を聞いてみたい人を呼んでます。あと、表現することに長けてる人。

とくに印象に残ってる人はいますか?

鳥羽スタイリストの山本康一郎さんは、当初から出てもらおうと思ってました。だけどぼく自身『UOMO』で対談していたので、ぼくと康一郎さんではなく、誰かと組み合わせたかった。そこで、ぼくじゃなきゃ組み合わせられない相手を考えた結果、「アパホテル」社長の元谷芙美子さんだなと思って。元谷さんにオファーすると快諾してくれて。

対談は康一郎さんが喋れないくらいの勢いで、元谷さんのトークがすごくて(笑)。たぶん、あの人と会ったらみんな好きになっちゃいます。思ってる感じのままなんですけど、嫌な感じが一切ないんです!

元谷さん、ぜひ会ってみたいですね。ほかにはいらっしゃいました?

鳥羽あと「神宗」の尾嵜彰廣さん。「神宗」って関西の昆布屋さんなんですけど、尾嵜さんのつくった「宗達」っていうお店が「トリバコーヒー」をつくるときに参考にした店だったんです。何回も通いましたね。そこから受けた影響はかなり大きい。だから、この機会に呼んでみようって話になって。

対談は15時からだったんですけど、その30分前ぐらいに新橋の仲良しの芸者さんから電話がかかってきて、いきなり「今日15時から対談なんやろ。いま、ぜん屋(草履屋)で尾嵜さんにおうて、草履こうてもろたわ」って(笑)。あとで知ったんですけど、尾嵜さんは花柳界でも有名人で。大阪に行ったら、その界隈の人たちは最初に挨拶に行く人らしいんです。

銀座でいちばん格の高いあるクラブがあって、尾嵜さんも行かれるらしく、対談記事がアップされてすぐ店の子から連絡がきて「なんで尾嵜さんと対談してるんですか?」って。ことの経緯を説明したら「今度一緒に食事でも」と。実際に、そのあと尾嵜さんとご飯食べに行ったんですけど、帰り際に「よく鳥羽さんの店に寄ってるんですよ。このお店、ぼくの店と通じるものがあるんだよね」って言うので、「いや、パクリなんで!」と(笑)。

やりたくないことをやって評価されるより、やりたいことをやって評価されないほうがいい。

鳥羽さんは銀座にいることが多いですか?

鳥羽最近はそうでもないですけど、でもやっぱり他の場所より多いですかね。最近わかったのが、自分のベースってそれぞれの人にあるじゃないですか。そのベースがぼくの場合、学生のときは渋谷、そのあと銀座になり、いまは銀座と麻布十番の間を行き来してる。たとえば、代々木上原とかあまり行ったことがないんです。だからそこに住んでる人の気持ちはなかなかわからない。そう考えると、定期的に動かないといけないのかなって気がしてます。だから、家は買わないほうがいいのかもしれない。買っちゃうと行動範囲が狭まる気がしていて。

鳥羽さんのクリエイティビティのベースって、いつくらいにできあがったんですか?

鳥羽正直、なにもできない時期が長かったんです。というより、父親の影響もあって“クリエイト”という言葉に違和感があったんです。

ぼくは、家を建てるなら“家を建てるとはなんぞや”ってところからはじめたい。でも父親は、土地に建てる家のカタログを見たり世界中で撮ってきた写真をベースに「こんな感じがいい」ってところからはじまる。ゼロからつくることとは違って、プラモデルを組み立てることに近い。もっとわかりやすく言えば、市販のマヨネーズに砂糖をちょっといれて「俺の味だ!」っていうような感覚ですね。卵がどうとか、そもそも卵を使う必要があるのかとか、そういう疑問は一切なく。

父親に参加してもらう予定はなかったんですけど、ここをつくるときに「最初にロゴをつくれ」って言われたんです。建物も建ってなくて、店でなにをやるか詳細も決まってないなかで。聞くと、そこから決まるものがたくさんあるらしい。しかもロゴのつくりかたは、デザイナーに100枚書かせて、そのなかでいいものを選んでディティールを詰めていくっていう。ぼくにしてみれば、そもそもロゴなんて必要なのか?ってところから、必要だとしても、こういうことをやるんだったら、この人にお願いしたいって感じで選んでいく。もう、全然違ったんですよね(笑)。

コンセプトから考えると時間がかかりますからね。そういう意味では、先ほどおっしゃってた遅咲きっていうのがあるんでしょうね。

鳥羽男性はとくにフラフラしてるじゃないですか。自分探しの旅に行っちゃうくらい(笑)。悟るためにインドに行くんだったら、インド人みんな悟ってんじゃんっていう話なんですけど(笑)。でも、それに気づかずインドへ行っちゃうからおもしろい。そういう意味では、当然時間がかかると思う。そもそも、やりたくないことをやって評価されるより、やりたいことをやって評価されないほうがいいかなって。そっちのほうが頑張れるし。

最後に、銀座の街を見続けてきて、いまの銀座はどう映ってますか?

鳥羽まあそんな長いこと見てないですけどね(笑)。ただぼくは、銀座を革新の街だと思ってます。革新的なことができて、それをドンと受け止めてくれる土壌があるから。だけどみんな“銀座だから”っていう遠慮がどこかにあって。

〈資生堂〉は「花椿」をやってたり、ギャラリーを残してる。ああいったことが“銀座の伝統”と“革新”がうまく融合した一例だと思いますね。

あと、若い世代のやせ我慢が限界にきてる気もしますね。夜のクラブとかはまさにそうで、さっき話に出た店も、格が高すぎて居心地悪いと思う若者も多い。そういう人達は、費用対効果でいったら六本木のほうがいい。そもそも銀座みたいな街は、お互いやせ我慢してるから成り立ってるようなところがある。けどいまは、お客さんのやせ我慢が限界にきてる。“安いことが美徳”とか“便利が大切”とかっていう日本人のへんな気持ちが、進みすぎちゃったのかもしれないですね。いまやファストファッション“で”いいやじゃなくて、ファストファッション“が”いいになってきちゃってる。同じお酒を飲むんだったら、コスパが大事ですよって。

ぼくらは家賃をペイできるからっていう理由で銀座にいるわけじゃない。銀座でなければいけない理由がある。銀座って街は本来、自分の主張をしたい人がいるべき場所なんじゃないかなと思うんです。これからは、もっとそういう人が増えて、昔みたく“個人商店の集合体”のような街になっていってほしいですよね。だってそれがいちばんおもしろいはずだから。

TORIBA COFFEE

住所:東京都中央区銀座7-8-13 Brown Place 1F
電話:03-6274-6611
時間:月〜金11:00〜21:00、土日11:00〜19:00
www.toriba-coffee.com

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