沖縄のストリート文化がギュッと詰まった新しい地域フェスの新しいカタチ。

年の瀬も少しずつ迫ってきた12月初旬。日本最南端の地、沖縄にて「波の上フェスティバル」なる一大イベントが開催されました。今回が初めての開催となるこちらのフェスですが、他とは一線を画しているのが、その”多様性”。

音楽ジャンルだけをとってみてもヒップホップ、レゲエ、ポップス、ロック、民謡と実に幅広く、沖縄出身のミュージシャンはもちろん、全国から所縁あるアーティストたちがレジェンドからニューフェイスまで大集結。他にも、無料エリアでは充実のフードエリアやフリーマーケット&アパレルブースの設置、さらにはBMXコンテスト「チャンプルゲーム」、ダンスバトル「Last Summer Jam」、MCバトルの開催などイベントが盛りだくさん。初開催とは思えないほどストリートカルチャー中心のコンテンツが目白押しでした。

それもそのはず。このフェス自体が沖縄のヒップホップシーンを長く牽引してきたRITTO率いるAKAZUCHIのクルーが中心となって開催されたもので、自身らの出演はもちろん、他出演アーティストのブッキングからコンテンツの考案、当日の運営まで深く関わっていたそう。そのお陰で音楽のみならず、沖縄のストリート文化を五感でフルに体感できることが出来たんです。

今や世界でも稀にみるほどのフェス大国となった日本。近年ではその規模こそ大型フェスに劣るものの、地元出身のアーティストから地場の美味しい食べ物、会場の雰囲気作りに至るまで地域性をより濃く打ち出すことで、まるでそのエリアを丸ごと観光気分で満喫できるような優良ローカルフェスが多く見られるようになりました。

その点この「波の上フェスティバル」も、豊富に用意されたコンテンツによって“沖縄・ストリートカルチャー”という2つのテーマをより濃く感じることができ、何より出演アーティスト&出展者側と来場したお客さんの距離感が近く、お互いが一緒に楽しみながらこの空間を作り上げることで、しっかり地元に根付いているのがとても印象的でした。なかでも、AKAZUCHIのクルーを中心とした関係者が自身のステージパフォーマンス以外でも、現場の運営を行い、来場しているお客さんと談笑している光景は、まさにこのフェスティバルの温かさを象徴するものだったと思います。

すべてのパフォーマンスが終了したフィナーレの瞬間。大トリを務めたRITTOの合図で会場に鳴り響いた指笛が、来年またこの沖縄でさらに大きな音になって聴けるのが今から楽しみです。