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monessay ─季節の変わり目ですから

monessay ─季節の変わり目ですから

フイナム発行人、フイナム・アンプラグド編集長である蔡 俊行による連載企画「モネッセイ(monessay)」。モノを通したエッセイだから「モネッセイ」、ひねりもなんにもないですが、ウンチクでもないのです。某誌でずいぶん長いこと連載していたコラムが休載し、フイナムにて装いも新たにスタートです。今回は〈ナイキ(NIKE)〉のテックフリースのパンツ。

  • Text_Toshiyuki Sai
  • Photo_Kengo Shimizu
  • Edit_Ryo Komuta
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第二十三回 季節の変わり目ですから

の春は法要やらの弔事が続く。

もそもは当社営業スタッフだったMくんの突然の逝去。昨年夏の終わり頃から体調不良を訴え、秋に入院、そしてこの冬に亡くなった。返す返すも残念で、ショックである。

年の春、ぼくの母も逝去した。高齢でほぼ老衰のような最後だった。地方都市に住んでいるので最後の場にいられなかったのが少し残念だが、安らかに眠るように逝ったということだ。

周忌が目前に迫っている。

年、この葬送のために黒いスーツを新調した。その前のスーツはもう何年も前に手に入れたもので、形がすこしオールドスクールであった。

先ということもあり、春から秋にかけてスリーシーズン対応できるよう、平織りのサマーウール製で、半裏仕立て。そのタイミングでどういうわけか冬物のドスキンのブラックスーツを処分した。

頭のスタッフは2月の寒い最中の出来事だったので、冬物が必要だったけど、時間がなくて合物であるそのスーツで出席させてもらった。意外に寒さを感じないというか、感じるどころではなかったというのが正直なところか。

ういう場ではみんな同じような黒いスーツである。よく見るとみんなちょっとづつ違うんだけど、おおまかに言って同じものを着ている。

に最近結婚式では、みんなブラックスーツに白タイばかりではなく、男性もそれぞれ社会通念に反しないギリギリのところのようなおしゃれをしている人もいる。

校を出てから、このように周りと同じような格好をする機会というのはこうした式くらいのものだなんて考えていた。

かし、最近妙に着ているものが友人や知人とかぶるアイテムがある。これ結構嬉しくない事態。

れが今回の〈ナイキ〉のテックフリースのパンツである。

ーンズがかぶるというのはまあ許せるところではあるが、こうした個性的なシルエットのものだけに微妙な空気が流れるのである。

ぶるのはこのグレーではなく、黒。

年手に入れてずいぶんよれてきたので大切に履いていたら、今年も継続して販売しているというから、かなりの人気商品。それは人とかぶるわ。

を歩いていてもこれを履いている人が多い。冬に上海に行ったときに案内してくれた人もこれ履いてた。ちょっとカッコ悪い。

はいいつつ、履いてて楽でそれなりにいまっぽい細いシルエットが気に入っている。若い人はビッグシルエットに移行しているのに、引き続き細いのに拘泥しているのも年寄りっぽくてやなんだが。

なみにさすがファッション関係ということもあり、先のお通夜では、黒スーツにスニーカー、あるいはブラックジーンズという人もいた。

すがにテックフリースの黒、という人はいなかったが、いてもおかしくない時代だななんて思うのであった。

蔡 俊行

フイナム発行人/フイナム・アンプラグド編集長。マガジンハウス・ポパイのフリー編集者を経て、スタイリストらのマネージメントを行う傍ら、編集/制作を行うプロダクション会社を立ち上げる。2006年、株式会社ライノに社名変更。

NIKE カスタマーサービス

電話:0120-6453-77

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