この春は法要やらの弔事が続く。
そもそもは当社営業スタッフだったMくんの突然の逝去。昨年夏の終わり頃から体調不良を訴え、秋に入院、そしてこの冬に亡くなった。返す返すも残念で、ショックである。
昨年の春、ぼくの母も逝去した。高齢でほぼ老衰のような最後だった。地方都市に住んでいるので最後の場にいられなかったのが少し残念だが、安らかに眠るように逝ったということだ。
一周忌が目前に迫っている。
昨年、この葬送のために黒いスーツを新調した。その前のスーツはもう何年も前に手に入れたもので、形がすこしオールドスクールであった。
春先ということもあり、春から秋にかけてスリーシーズン対応できるよう、平織りのサマーウール製で、半裏仕立て。そのタイミングでどういうわけか冬物のドスキンのブラックスーツを処分した。
冒頭のスタッフは2月の寒い最中の出来事だったので、冬物が必要だったけど、時間がなくて合物であるそのスーツで出席させてもらった。意外に寒さを感じないというか、感じるどころではなかったというのが正直なところか。
こういう場ではみんな同じような黒いスーツである。よく見るとみんなちょっとづつ違うんだけど、おおまかに言って同じものを着ている。
逆に最近結婚式では、みんなブラックスーツに白タイばかりではなく、男性もそれぞれ社会通念に反しないギリギリのところのようなおしゃれをしている人もいる。
学校を出てから、このように周りと同じような格好をする機会というのはこうした式くらいのものだなんて考えていた。
しかし、最近妙に着ているものが友人や知人とかぶるアイテムがある。これ結構嬉しくない事態。
それが今回の〈ナイキ〉のテックフリースのパンツである。
ジーンズがかぶるというのはまあ許せるところではあるが、こうした個性的なシルエットのものだけに微妙な空気が流れるのである。
かぶるのはこのグレーではなく、黒。
去年手に入れてずいぶんよれてきたので大切に履いていたら、今年も継続して販売しているというから、かなりの人気商品。それは人とかぶるわ。
街を歩いていてもこれを履いている人が多い。冬に上海に行ったときに案内してくれた人もこれ履いてた。ちょっとカッコ悪い。
とはいいつつ、履いてて楽でそれなりにいまっぽい細いシルエットが気に入っている。若い人はビッグシルエットに移行しているのに、引き続き細いのに拘泥しているのも年寄りっぽくてやなんだが。
ちなみにさすがファッション関係ということもあり、先のお通夜では、黒スーツにスニーカー、あるいはブラックジーンズという人もいた。
さすがにテックフリースの黒、という人はいなかったが、いてもおかしくない時代だななんて思うのであった。