CLOSE
FEATURE
奥深きレギュラーTシャツの世界。
Dig It Regular T-Shirt

奥深きレギュラーTシャツの世界。

“年代”や“希少性”はもちろん古着の醍醐味のひとつだけれど、それだけに捉われるのはちょっとナンセンス。レギュラー古着にだっていっぱい楽しみが詰まっています。そこで今回、レギュラーTシャツにフォーカスをした古着イベント「ドレギュラーTシャツ展」を行う「ドゥージョー(dojoe)」の中野さん、「ウェーバー(weber)」の畠中さん、「アノラック(AnoLuck)」のizmtさんの3名をお招きし、イベントに出品するTシャツを手に取りながらレギュラーTシャツの魅力や楽しみ方をご教授いただきました。少し視点をずらすだけで見え方が変わる、そんなレギュラーTシャツの奥深き世界をとくとご覧あれ!

ローカルのレストランや遊園地などのスーベニアTが面白い!

Selected by dojoe

Item01_The Rolling Stones Parody
T-Shirt

中野:まずはぼくから。ひとつ目は見たまんまですが、ローリング・ストーンズのパロディTシャツです。よく見ると歯が矯正されていて、調べてみたらヒューストンにある矯正専門の歯医者のものでした。これまでストーンズのパロディTをたくさん見てきましたが、この浅はかなデザインは意外とありそうで無いかと。ベタな発想ですがやられました(笑)。

畠中:確かに自分たちでは恥ずかしくて逆に避けてしまうようなネタですが(笑)、それをローカルの歯医者さんが「ストーンズ好きだからやっちゃう」みたいなノリがいいよね。

中野:しかもこの歯医者、ネットで見る限りちょっとお堅そうなんだよね。それこそ街のバーや喫茶店がつくるならまだしも、きっちりした会社がこんなものつくるんだというおもしろさもありますね。

畠中:年代は最近のだよね?

中野:ボディは〈ギルダン〉。おそらく2005、6年くらいかな? izmtくん的にはこのデザインどう思う?

izmt:さすがにこれは自分には思いつかないなあ(笑)。そうそう、ちょうどぼくも昨日、歯医者に行ったところなんだけど、何回行っても慣れないよね。歯医者嫌いなんだよなあ。

畠中:普通にデザインのことを聞きたかったんだけどな…。

Item02_Amusement Park T-Shirt

中野:では2着目。これはもう完全に見た目にやられました。はじめはBMXとかスノボーの大会モノかと思ったんだけど…。

畠中:グラフィックのテイストや色はそっち系の印象だよね。

中野:そうなんだよ。それでいざ触ってみたらインクがすごく特殊でさ、透明のシリコンみたいなインクに着色してネオン的な感じを表現しているんだよね。しかも版もいっぱい使っているし。で、その後気になって調べてみたら遊園地のお土産Tだったんだよ。ボストンの外れにある普通の遊園地。

畠中:このデザインで遊園地とは意外だね。

中野:そうなんだよ、 遊園地とTシャツのデザインの温度差がすごくてさ。例えばアーティストのTシャツでも、その人の印象とデザインが全然違うってのあるじゃん。それに近い感覚がある。こっからはぼくの妄想なんだけど、このTシャツは担当が上司に丸投げされて、自分の趣味を好き勝手に反映させてデザインしたものなんじゃないかと。そんな妄想を膨らますとまた楽しくて。

畠中:なるほどね。これはプリント的に難しいものなのかな。

izmt:難しいし、何よりお金がかかりそうだよね。じつはぼくも過去に似たようなものを一回つくったことがあって。プリントした上に透明のジェルのインクを刷ったんだけど、だいぶ工賃が上がっちゃって。しかも肌触りも悪いし(笑)。

中野:遊園地のお土産Tシャツに、この技術とグラフィックっていうヤバさにグッときちゃってさ。普通にルックスも最高だしね。

Item03_NYS Blackout T-Shirt

中野:お次はこれ。

畠中:ニューヨークの大停電の時のやつだよね。

中野:2003年にニューヨークが大停電になった時のやつ。当時そのニュースを日本で見ていたんだけど、その2日後に今度は街の露店でこのTシャツを売っているっていうのをニュースで紹介しててさ。停電してたのにもうTシャツつくってるんだって驚いたんだよね(笑) それで当時働いていた古着屋のバイヤーにお願いして現地で買ってきてもらいました。

畠中:確か当時めちゃくちゃつくられていたよね、このTシャツ。

中野:結構出回っていたと思う。それにしてもグラフィックも普通に格好良くて、このギュッとなっている感じが〈ゾーラック〉みたいなノリにも見えて。

畠中:確かにフォントもそういう感じだよね。

izmt:それとRUN DMCとかカニエ・ウエストの『ザ・カレッジ・ドロップアウト』みたいな雰囲気もあるよね。こういう発想やデザインはニューヨークっぽいのかな。

中野:確かに黒人ならではの感覚なのかもね。それとバックの“I SURVIVED THE BLACKOUT”ってロゴも最高なんだよ。昔から“サバイバル”って響きがなんか好きなんだよね。

izmt:わかる。ぼくもいまディスカバリーチャンネルでサバイバル番組をちょうど見てるところなんだけど、エドとベアがヤバくてさ(笑)

畠中:ちょっとizmtちゃん、また脱線してるよ…。

Item04_Google Parody T-Shirt

中野:続いてはグーグルのブートレグ。メキシコのプエルトバラスっていうリゾート地で売られてたものみたい。

畠中:観光地でよく見るパチモンのお土産Tみたいなものだよね。

中野:背中に入った“I don’t need My wife knows everything!”ってメッセージがまた面白くてさ。訳すと“うちの母ちゃんの方が全部知っている!”って感じかな。外国人ってこういうくだらないメッセージを考えるのうまいよね。

izmt:言い回しにシャレが利いてるんだよね。

中野:しかもそれを思いっきりグーグルでやっちゃうのがイケてて。だってプエルトバラスってグーグルと何の縁もゆかりもないでしょ。この無関係さがいいんだよ。これをピックしたのはシンプルにそれだけかな。

izmt:そういえば昔、中野くんの実家の香川県に行ったことがあったよね。金比羅山に登ったんだけど、入り口にお土産屋さんがいっぱいあってさ。駐車場代は無料なんだけど、帰りになんかお土産買ってよねっていうプレッシャーが…。確か登山に使うときの棒? もお土産屋さんから有料で借りなくちゃいけなくて。このTシャツ見てたらそんな金比羅山でのひとときを思い出したよ。

畠中:ちょっとizmtちゃん、しっかりして!

Item05_Local Restaurant T-Shirt

中野:最後はこれ。さっきのグーグルと同じ土地で出たやつで、イタリアンレストランのオリジナルTシャツ。レストランでこのデザインってのが洒落てるよね。

畠中:フロイトのだまし絵みたいで最高だね。あの絵は80年代くらいのTシャツのモチーフでもちょこちょこ見かけるよね。しかしなんでイタリアンレストランでこの絵なんだろう?

中野:レストランの店主が女好きだったのかもね。フロイトのだまし絵といえば、聞くところによると「精神分析とか難しいこと言ってるけど、頭ん中は女のことばっか考えてるんだろ?」っていう皮肉ったものなんだって。

畠中:へえ、そんな意味があったとは。レストランのスーベニアTシャツだけでは括れない魅力が、このTシャツにはあるよね。アートTとしても十分楽しめる。

INFORMATION

ドレギュラーTシャツ展

会期:6月5日(金)〜6月7日(日)
場所:dojoe
住所:東京都渋谷区元代々木町9-8
電話:03-6884-2425
dojoe-tokyo.com

このエントリーをはてなブックマークに追加