FEATURE
ぼくたちは、ずっとゴンズに夢中。
Mark Gonzales IS MY HERO.

ぼくたちは、ずっとゴンズに夢中。

自分にとってのヒーローっていますか? ジャンルはなんでもいいから、憧れるひとがいる人生は理屈抜きにすばらしい。多くのスケーターにとって“ゴンズ”ことマーク・ゴンザレスはそんなひとりで、ライターや編集者として活躍する竹村卓さんにとっても同じこと。ということで、「ザ ラスト ギャラリー(The Last Gallery)」によるプロデュースのもと、『NO TROUBLE』と題したアートショーのため2年ぶりに来日したゴンズに、竹村さんが会いに行ってきた。やっぱりゴンズは、ぼくたちの永久不滅のヒーロー!

PROFILE

マーク・ゴンザレス

1968年6月1日、アメリカのロサンゼルス生まれ。ストリート・スケートボードの生みの親として、ゴッド・ファーザーと称される。またアーティストとしての顔も持ち、『NO TROUBLE』と題した210点もの作品を展示したアートショーを開催。多くのスケーターやストリートカルチャーを愛するひとたちへ影響を与え続け、世界中からリスペクトが送られるリビング・レジェンド。

PROFILE

ザ ラスト ギャラリー

2007年に白金で国内外の多種多様な価値観をもつ人々の交流の場としてオープン。QP、森山大道、サンディ・キム、ジェイソン・ディル、パープルマガジンなど、さまざまな分野のアーティストとのエキシビジョンを開催。マーク・ゴンザレスとは2010年よりパートナーシップを組み、これまでに7つのエキシビジョンを東京、大阪で開催してきた。現在はフィジカルなスペースは持たず、林香寿美のディレクションのもとプロジェクトベースで活動している。
Instagram @the_last_gallery

「スケートとアートはずっと続けていること」。

ぼくがスケートボードと出会い始めたのが1985年くらい。この時すでにマーク・ゴンザレスはプロスケーターで、〈ヴィジョン(VISION)〉からシグネイチャーのデッキをリリースしていた。グリップテープやTシャツに自由に絵を描き、独特でユニークなスケートスタイルは他のライダーたちとは一線を画していた。その姿は遠く離れた日本の少年にもガツンと影響を与えた。あれから40年くらい経っているんだ。

数年ぶりにアートショー『NO TRUBLE』で来日するマークにインタビューできるということになり、こうして昔のことを思い出してみた。

竹村さん(※後ろ姿)がマーク・ゴンザレスに初めて取材をしたのは2000年のこと。その後『リラックス(relax)』(マガジンハウス発行)にて2年間ゴンズとの連載を担当。これまでに何度も取材をしてきた。スケートボードという共通言語を中心に話は尽きません。

ー久しぶり、マークに会えると聞いて昔のことをいろいろと思い出していたんだ。ぼくが初めてマークを見かけたのはハリウッドでクルマを運転していたとき。ものすごいスピードでプッシュするスケーターがいるなと思って見たらマークだったんだ。

遠くからでもすぐにゴンズだ!ってわかったよ。片手にコカ・コーラの缶を持ち、それを飲みながら車道から歩道、歩道のバンクからオーリーで車道に飛び出しクルマとクルマの間をすり抜け、シャドーボクサーのようなしぐさをしながら滑っていた。あの時の姿はそれまでスケートビデオで見てきたマークそのままだった。この話は前にもしたよね?

ゴンズ: 覚えてるよ。ぼくはそれは嘘だ!って言ったよね。手に持っていたのはコカ・コーラではなくてペプシ・コーラだって。コーラはペプシ派だから。

ーそうそう、コカ・コーラじゃない!って。でもあれはコカ・コーラの赤い缶だった。間違いない。ぼくはコカ・コーラ派だから(笑)。

ゴンズ: それは今でも謎だよ(笑)。妻はコカ・コーラ派だけどぼくはずっとペプシ。最近はペプシが買えるところが少なくなってきているんだよね。 日本に来るとアクエリアスを飲むのが好き。それもコカ・コーラ社がつくっているけれどアメリカには売っていないんだよね。

ーそれから数年後、初めてマークに出会ったのが1999年のサンフランシスコ。シティーホールのあたりで友達とスケートしていたら突然マークが一人でやってきたんだ。一緒にスケートすることになって、その当時ビデオでよく出てくるギャップがあって、マークは突然そこをオーリーで超えるって言って、何度目かでメイクしたんだよね。

そしたら今度はキックフリップで超えるって言って。それはメイクするのに結構時間がかかって、でもメイクしたんだよね。見てるぼくたちはすげー!さすがゴンズ!って感動したんだ。メイクするまでに時間がかかっちゃったのか、その後夕飯だから帰らないとって言い残してすぐに帰っちゃったんだよね。本当はサインが欲しかったんだけど、一緒にいた友人がその時の写真を撮影して持っているよ。

ゴンズ: そうだったんだっけ? 写真見たら思い出すかもなー。

ーぼくがマークを知った時にはすでにプロスケーターとして活躍していて、その時には絵も描いていたよね。好きなことを何十年も続けているって素晴らしいなって思うんだ。サンフランシスコで初めて会ってから25年くらい経つけれど、こうしてスケートやアートについて話が聞けるのは嬉しいよ。

ゴンズ: ナイス! そうだよね。スケートとアートはずっと続けていること。

『NO TROUBLE』では210点にも及ぶ作品の展示&販売と、Tシャツ・キャップ・トートバッグなどのマーチャンダイズが販売された。

ー今回のアートショー『NO TROUBLE』の説明では「アートは想像から生まれている。すべてが可能になる空間であり、その自由さこそが創作の原動力」って書いていたけれど、今でもずっと作品をつくり続けている理由を教えて?

ゴンズ: 絵がなかったら退屈しちゃうからね(笑)。絵を描く1番の理由は楽しいから。それがショーの為でもお金の為でなくても描き続けているよ。アート作品をつくることはとてもポジティブなことだし、それで誰も傷つけない行為だから。