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for Good Living STUSSY Livin' GENERAL STOREが形成する、たおやかなライフスタイルを業界きっての識者三人が語り尽くす。

2014.02.03

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ものは使い方次第なんじゃないかなって思います。(野村)

柴田: 今回の本の選書では、中原さんは屋久島の山尾三省の本だったり、訓市くんは『Shelter』などを選んでいますが、この辺はどんな意図があったんですか?

野村: まず、選書のお題が、"よい暮らし"ということでしたよね。『Shelter』という本は昔あった『Whole Earth Catalog』っていう、生きるために必要な色々なことが書かれている本の、「衣食住」の「住」の部分を担当した人が作ったものなんです。DIYで作る家とか、どうやったら自分のスタイルに合った家を建てられるのか、っていうことが書いてあって。僕は今みたいに編集をやる前は海の家をやっていたんです。で、始めるときにお金はないけどどういう海の家を建てたらいいのかって考えたんですが、間違っても隣が近くて、J-POPを流すようなところはいやだし、レゲエがずっとかかってて、ちょっとラスタチックな感じもいやだったんですね。そんなときに、アメリカの友達がこういう『Shelter』みたいなのが好きな一派がいたんですよ。ドームとか作っていて。

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野村訓市氏セレクト『Shelter』

柴田: はい。

野村: それで、沖縄に軍モノをすごく安く売っている問屋があって。そこで一番大きいNATO軍の補給用のパラシュートを買ってきて、竹でフレームを組んだんです。「かっこいい!」ってみんなで大喜びしてたんですけど、防水性ゼロなんで、雨振ったらびしょぬれでしたね 笑。一晩で二時間ごとに移動しながら過ごしたりして。まぁ、そういうのが"よい暮らし"かどうかはわからないですが、すごく楽しくて。テントがなくても自分で作って、あとは友達がいれば、けっこう楽しい暮らしができるよっていう。いざ家から出てけって言われたら、そういう逃げ場を持つのが「ベターライフ」なのかなって思って選びました。うまくまとめたでしょ?笑

柴田: まとめたね。さすが編集者 笑。てっきりDIY的なところから選んだのかなって思ってました。

野村: そういうのもなくはないですけどね、もちろん。自分の暮らしをどうしていきたいっていうのは、自分の意見があって決まるものだと思いますし。そういう意味では近いと思いますね。

柴田: 中原さんはいかがですか? 〈ステューシー リヴィン ジェネラル ストア〉のラインナップを見た時にランタンとかドライバーセットがあるので、そういったDIYっぽい考えがあったりするのかなと思ったんですが。

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GS Storm Lantern
世界初の灯油ランタンを発明したことで有名な「Petromax(ペトロマックス)」社からリリースされている、1910年創業当時の灯油ランプを復刻した「hl1ストームランタン」(非加圧式)を別注。150mlで20時間の燃焼が可能で、強風や極寒といった悪条件をものともせず、加圧の必要がないシンプルで使い勝手の良い作りは、エントリーユーザーにもお勧めです。 ¥5,800+TAX
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Element'ary Driver Set
満足出来る道具が他に無かった家具職人が、自らの手で開発した交換型ドライバーセット。 グリップ部分をナチュラルウッドにして快適な使いやすさと品質を追求、シンプルなデザインながら長年のヘビーな使用にも耐える逸品です。 今回は特殊加工により、両社のエンボスロゴを施しました。¥3,800+TAX

中原: そのままそういうDIYな生活をしたらっていうわけではないんですが、ただそういった暮らしをするための、仕掛けの一つになればいいかなとは思いますね。

柴田: なるほど。でも、"よい暮らし"って人に与えられるものではないのかなと、今お二人の話を聞いていて思いました。場所だけあってもだめだろうし。〈ステューシー〉が根ざしているストリートシーンにも、近しいものがあるんじゃないですかね。スケートにしろサーフにしろ、そういう気質がありますよね。

野村: そうですね。ここでちょっと〈ステューシー〉の話をしますね。〈ステューシー〉はショーン・ステューシーっていう、もう60歳ぐらいのおじさんが80年代に始めたものです。元々はシェイパーで、展示会にサーフボードを出していても全く売れないっていうときに、お土産用のTシャツを"あの"ハンドライティングで描いたらしいんですよ。そしたら、そっちの方が売れて注目を浴びちゃって。そのうち『セックス・アンド・ザ・シティ』でも有名な、スタイリストのパトリシア・フィールドがやってるNYのショップとかにも卸されるようになって。ショーンも自分でその店を見に行ったら、そこではブルース・ウェーバーのフォトTが売っていて、(コム デ)ギャルソンが大人気で、靴はレッドウイング、みたいな感じだったらしく、それがすごく面白かったと。それでその自由な感じを持ち帰るっていうか、LAでサーフィン行くときにも着て、遊びにもそのまま行くっていうノリを、独自の解釈でどんどん続けていったらしいんですね。あるときは、今度ロンドンに卸すからって現地に行ったら、面白いパーティに連れてかれて、またいろんな人と知り合って。そうやって世界中旅をしていくうちに、商品が増えていったっていう。

柴田: うんうん。

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野村: だから、さっき中原さんが、行商スタイルじゃないけど、ポップアップストアで日本の色々なところに行って商品が増えていったっていうのは、最初にショーンがやっていたことと近いから面白いなって。

柴田: 〈ステューシー〉では「WORLD TRIBE」っていう言い方をしてましたよね。今でいうと「コミュニティ」っていうことになるのかもしれないけど。なんか増え方に無理がないですよね。いいのか悪いのかわからないけど、商売っ気をあんまり感じないというか。

野村: 〈ステューシー リヴィン ジェネラル ストア〉のラインナップにあるランタンだって、オシャレな照明ばっかり見ていた人からしたらびっくりするかもしれないけど、ランタンの灯りで本読んでコーヒー飲んだりしたら、雰囲気変わって素敵じゃない?って。だからものは使い方次第なんじゃないかなって。

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柴田: 今回のポップアップストアは蔦屋書店さんでやるというのもあって、三人がそれぞれ本を選んだんですが、訓市くんはもともと〈ステューシー〉の企画で本を選んだことがあるんですよね?

野村: そうですね。ブランド設立30周年のときに、〈ステューシー〉が生まれたルーツというか、カルチャーがわかる本を、体系的に50冊ほど集めました。最初はサーフボードのシェイパーのショーンが始めて、つぎにスケーターが着だして、グラフィティの人たちとつるんだり、、っていう色々な動きがあったので、背景にあったものとか関わったアーティストがわかるようなものを集めたんです。

柴田: ちなみに中原さんは、今回どんな本を選ばれたんでしたっけ?

中原: えーと、自分のデスクの周りにあるものとかも選んでるんですが、ドナルド・ジャッド(Donald Judd)、イームズ(Eames)、山尾三省、あとはジャック・ロンドン(Jack London)の本とかですね。山尾三省の本は、インタビュー形式で詩とかも入っているんですが、僕が一番好きな話が載ってるんです。ウチの会社の名前にもなっていて、風景(ランドスケープ)の話なんですが、山を見て「いい景色」だねぇっていうのは、違うと。それは「景色」ではなく「出来事」であると。つまり、見るという行為を、「見て、そしてそれを考える」という意識の中にあることとして捉えているから、それは出来事なんだと。こういう考え方がけっこう面白いなと思いますね。

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中原慎一郎氏セレクト『春夏秋冬 いのちを語る』
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中原慎一郎氏セレクト『椋鳩十とジャックロンドン』

野村: ジャック・ロンドンは、家出をして電車に飛び乗って、各地を放浪したような人ですよね。その時の日記は、日本版でも出てます。あとは『白い牙』っていう狼を主人公にしたような動物文学も書いてたり。椋鳩十も同じく動物文学を書いてる、っていう繋がりですね。

中原: そうですね。椋鳩十は日本の児童文学作家で、鹿児島で学校の先生をしていた人です。あとは、今の日本の図書館の仕組みを作ったような人ですね。「鹿児島方式」というのがあって、末端まで絵本とかが行き渡るような仕組みがあるんです。だから、屋久島行きのフェリーの中とか、バス停とか色々なところに本があるんですよね。この人とサンフランシスコのジャック・ロンドンの二人の繋がりとか、鹿児島と西海岸の繋がりについても書いてあったりして。

柴田: なるほど。そういうの聞くと読みたくなりますね。ジャック・ロンドンといえば、柴田元幸さんが翻訳した、『火を熾す』っていう本もありましたよね。

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