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湘南は鎌倉、GARDEN HOUSEの快楽哲学とは。

2012.12.21

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感度の高い人を中心に、近年どんどん注目度の高まっている「鎌倉」エリア。歴史ある伝統的な観光地という側面のほかに、ナチュラルでオーガニック、そんな風通しのいいライフスタイルが根付く土壌が着実にできていました。「快適なくらし」とは何なのか? その秘密を探るべく、10月にオープンした商業施設「GARDEN HOUSE」を訪れました。

Photos_Koji Honda
Edit_Ryo Komuta

オープンから2ヶ月ほど経過した12月初旬。平日にも関わらず、かなり多くのお客さんで溢れかえる店内で、代表である関口さんに話を訊きました。
10年は持つような空間にしたかったんです

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-関口さんの「THINK GREEN PRODUCE」という会社は、どんなプロジェクトを進めているところなのでしょうか??

関口正人氏(以下関口:敬称略): 会社のコンセプトに「URBAN GREEN LIFE」というものを掲げていまして、都会にいながらにして自然やコミュニティーを大切にしながら、コト作りをしていこうというものです。

-コト作りというと?

関口: 建築から、不動産、フード、ファッション、アート、音楽など様々なコンテンツを組み合わせて「URBAN GREEN LIFE」を提案していきましょうというものですね。

-なるほど。手がけているプロジェクトにはどこか一貫性があるように感じます。

関口: そうですね。最近は、いわゆるリノベーションやコンバージョンという依頼が、時代背景的に増えてきていますね。

-この「GARDEN HOUSE」は元々はどんな物件だったんですか?

関口: 隣のスターバックスの敷地も含めてなんですが、横山隆一さんという著名な漫画家さんの土地でした。スターバックスの建物は元々横山さんのご住居で、亡くなられてから一度建て壊して、当時の建物をモチーフにしたものが今のスターバックスになっているんです。で、その隣には蔵があるのですが、それは今はギャラリーとして使われています。さらに、そのギャラリーとスターバックスの間にある、プールを含めた地続きの土地が横山さんのアトリエだったんです。

-なるほど。 

関口: 今から50年以上前に建てられたアトリエだったんですが、様々なクリエイターが集まってくるようなコミュニティの場であり、お庭が綺麗な場所として有名だったらしいんです。

-それで「GARDEN HOUSE」なんですね。

関口: そう。みなさんが愛した庭を中心に据えて、コンバージョンするのがいいだろうということで、このプロジェクトのコンセプトを決めたんです。

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-プロジェクトを進めるにあたって、とくに苦心したことを教えて下さい。

関口: 当時は庭も荒れ果てていて、建物もかなりボロボロで...。技術的にもこのままでは難しかったですし、そもそも元々がアトリエなので住宅用途だったものを、商業施設として現行法規に則って用途変更をし、構造計算上成り立つ補強をしていきました。

-オープンまでどれくらいかかったんですか?

関口: 取りかかってからは、7~8ヶ月くらいですかね。外見は当時のままなんですが、柱だったり梁だったりは、全てに手を入れています。

-今風なんですが、エッジの利きすぎていない雰囲気が印象的でした。

関口: 最近はとくにファッションとかだと、流行の推移のタームがすごく短いと思うんですが、今回のプロジェクトはもう少し長いスパンで考える必要があったんです。具体的に建築という側面から考えると、11年という長さになるんですが。

-短期的ではなく、中長期的なビジョンを作る必要があったわけですね。

関口: はい。なので、一過性のブランドバリューで物事を考えてしまうと、瞬間的にはすごく大きくても、翌年になると「あー、そういえばあったね」という風になりかねないと思うんです。だから、今のトレンドの流れを10年くらいの軸で見た時に、デザインなどをアウトプットするときのコードを、どれくらいのテンションでまとめあげていくか、という点は考えましたね。

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-具体的にどんなデザインにしようという狙いがあったんですか?

関口: 僕の中では、比較的コンサバティブというか、オーセンティックにしているんですよね。インテリアデザインは〈ジャモ アソシエイツ(Jamo associates)〉の高橋くんにお願いしました。「ちょっと先」という意識はあるんですが、見え方としてはかっこいい「ちょいださ感」みたいな。アッパーライトとか、ボックスシートとか、そういう少し懐かしい感じを狙ってるんです。

-なるほど。かなり細かいディレクションをされてますね。

関口: ジャモの高橋くんとは付き合いも長いですし、お互いの価値観が似通ってるので、ツーカーで話が進むんです。あと、デザインに話を戻すと、例えば、ここで流行りの山小屋風みたいな感じにしてしまうと、もっとギリギリの感じになってしまうんですよね。そうなると、来年、再来年どうなのかっていう。どこまで抑えを効かせるのか、という点は苦労というか、塾考しましたね。

-それでは、このへんで「GARDEN HOUSE」を構成するコンテンツの内容を改めて聞かせてください。

関口: はい。まずは「Restaurant」、そして「General store」という雑貨、日用品を扱うセレクトショップ。今はショップインショップとして、スタイリストの神林千夏さんがディレクションした「Early Birds」が入っています。そして庭先にある「gardener」というガーデンショップ。グリーンデザイナーの〈SOLSO〉の斉藤くんがメインでセレクトしてます。この三つですね。

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-〈SOLSO〉は、今アパレル関係でも多数のショップを手がけられてますよね。

関口: はい。彼とは、お店だけではなく、この庭作りも一緒にやりました。技術とかそういうこと以前に、「今回はノーザンカリフォルニアで」となったときに、「ではメインは針葉樹で、メタセコイアですかね」っていう話がすぐできるのが、大きいんですよね。庭の大きな桜は当時のままなんですが、その他の中木に関しては全て新設で庭をデザインしています。あとは、神林さんとも、このお店をやるとなった1年以上前から、一緒にサンフランシスコを回ったりして、とても仲良くさせてもらってます。

-この3つのショップが、同じ世界観の中に違和感なく存在していますね。

関口: 全体のコンセプトとしては、「Northern California」、そして「Local&Craft」という二つがありまして。前者に関しては、ずばり言ってしまうと、サンフランシスコだったり、バークレーといったエリア感なんですが、では何がサンフランシスコなのかというと、具体的にこれを現地から持ってきました、ということではないんです。これはもう一つの「Local&Craft」というコンセプトにも通じていくんですが、非常にローカルコミュニティを大切にしているということ。あとはクラフトという意味では、手作りだったり、当たり前のようにオーガニックという概念であったり、そういったことを大切にしていくという意味合いなんです。

-ここ数年で、地産地消というコトバも随分耳馴染みがよくなりました。

関口: そうですね。ウチでもレストランでは、地元の企業である「鎌倉ハム富岡商会」「鎌倉ビール」と一緒に、ここだけで提供するようなオリジナルメニューの開発を進めました。それ以外のメニューに関しても、できるだけ手作りでメニューを構成していくなかで、ローカルとのリレーションシップを強めています。

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