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『I LOVE FND ボクがコレを選ぶ理由』刊行記念企画。 「ハイロック」とは何者なのか。ハイロックが語る。
2012.04.04

―で、東京に出てきてからFNDを始めたわけですね。
ハイロック:群馬にいる頃から「videoboys」名義でVJをやったり、ロゴデザインをしていたんです。その名義でホームページを作ろうと思ったのが最初のキッカケ。ただ、自分の作品を掲載するだけでは面白くもないだろし、どうやって表現していこうか悩みながら、いろいろ考えて、辿り着いたのが、自分の好きな物を紹介するってこと。結果として自分の趣味嗜好が見えてくるでしょうし。
―FNDにおけるシンプルなフォーマットは最初の段階で決まっていたということですね。
ハイロック:それでもかなり悩んだ結果ですよ。実際に「videoboys.tv(※現在はwww.freshnewsdelivery.com)」というドメインを取得してから1年くらい放置して、考えていました。
―1年も放置してから、動き出したのには理由があったんですか。
ハイロック:お金だけ払っておくのも勿体ないな、と(笑)。マンションを借りているのに、誰も住んでいないような状況ですからね。
―自分の好きな物を紹介するということは、自分の物選びのセンスに自信があったということなのでしょうか?
ハイロック:始めた動機が自信の有無では無いですから、そこは心配していませんでした。ただ、物好きだったのは事実です。群馬に住んでいた頃から、アメリカが大好きで、身の回りにあるものはアメリカ製で揃えていましたからね。海外で買い込んで、パッケージだけ持って帰って、詰め替えたりとかもして。
―憧れだけではなく、実生活に取り入れていたんですね。
ハイロック:しかも当時は、海外輸入雑貨みたいなものが今ほど普及していなくて、手に入れるだけでも苦労していました。
―地元では孤軍奮闘していたような感じなのですか。
ハイロック:それが当時働いていたセレクトショップのオーナーが、そういうタイプの方で。お互いに情報交換をしながら、刺激し合うような関係だったんです。僕の物選びの原点とも言えますし、そこで磨かれていきましたね。
―さらに東京にも出てきて、NIGO®さんに出会ってしまうわけですね。
ハイロック:それはもう強烈でした。もちろん存じていましたけど、ここまで凄いのかと。日本の物でもきちんと見極めて、良い物を見つけ出す。これでは勝てないなって思って、僕自身も幅を広げていったんです。

―〈BAPE®〉のグラフィックデザイナーとして働きながら始めたFNDは、どのように広まっていったのですか。
ハイロック:まずは、アクセスを増やさなければ、話にならないじゃないですか。で、とりあえずは友だちに連絡する、メールの署名にも入れる。ただ、このくらいだとアクセスは増えても把握できるレベルなんですよ。急速にアクセスを伸ばすには、いわゆる羅列系のニュースサイトにリンクされること。2ちゃんねる的な。ときにはサーバが落ちることもありましたね。
―そうやって数字を見て、細かく分析していたんですか。
ハイロック:最初の頃は見ていましたね、いわゆるニュース系サイトのリンク効果でアクセスが上がれば、あえてそこに引っかかるようなコンテンツを作るようにしたり、文字だけが並んでいるので、見出しが重要だな、とか(笑)。
―まるでライターのような動きですね(笑)。自分のなかで印象深い見出しってありますか?
ハイロック:「〜〜まとめ」とかは人気ありましたよ。ニュースサイトの見えないセオリーってのがあるんです。
―ちなみにFNDは始めた当初から、メディアとして成立させようと目論んでいたのですか。
ハイロック:さすがにそこまで深くは考えていなかったですね。とはいえ、店を開いたのであれば、多くの人に見てもらいたい、という思いはありました。
―実際にメディアとして力がついてきたとき、意識に変化ってありましたか。
ハイロック:アクセスが増えていくと、ニュースサイトのリンクに頼る必要がなくなります。だからタイトルの付け方はかなり変化していると思います。今は見栄面重視で考えていますし。飾りに近い役割ですよね。
―なるほど。
ハイロック:あとはエロネタを自制したり(笑)。たくさんの人が見てくれているし、女性の読者も多い。さらに諸先輩方に「見ているよ」とか言われますからね(笑)。あまり変なことはしないように心がけています。
―とはいえ、メディアとしての力が付くことで、できることも増えるとは思うのですが。広告的な話があったり...。
ハイロック:そういう連絡はいただきました。新商品の情報とか。ただ、広告収入を得ることで、素直な意見が言えなくなるのも嫌なので。というか、そもそも悪い物は載せないようにしているんですけどね。
―そのスタイルで採算がとれるものなのですか。
ハイロック:そもそも本業で生活ができているので、FNDでは利益を求めていないんですよ。ランニングコストが払えて、新しい物に投資できるお金があればいいくらいで。
―TATAKIDAI、SPACE ARCHIVESといったウェブ上の実験的なスペースも展開されていましたよね。
ハイロック:TATAKIDAIは名前の通り、叩き台。新しいことを始めるにしても、アクセスの集まったFNDでやるとリスキーじゃないですか。そこでTATAKIDAIを作って、そのモデルが成功するればFNDに活かそうと思っていました。
―まだドメインは残っていますよね。
ハイロック:記事も全部読めますよ、ただ投稿はできないようにしています。
―復活の可能性もあるんですか?
ハイロック:その可能性はあります。ただ、荒くれ者が集まってきちゃって、管理するのが大変で(笑)。お洒落な2ちゃんのはずが、本当の2ちゃんみたくなってきて。
―確かに後半は荒らされていました。
ハイロック:そうなんです。僕の知り合いにウェブ上の喧嘩部隊がいるので、刺激的な場所ではあったとは思うんですけどね。ちなみにその頃の繋がりでリルログに参加している子もいます。
―なるほど、チェックしておきます。今は情報を吐き出すだけではなく、収集・共有するFreshMailというコミュニティも管理されていますよね。
ハイロック:あれは単純に身内の情報交換がキッカケですね。友だち同士で情報交換することは普通のことじゃないですか、その輪を広げて最適化できないかなと思って、メーリングリストを活用し始めたんです。
―輪を広げてみて、いかがでしたか。
ハイロック:楽ですね(笑)。もともとFNDという基本水準のうえで成り立っているので、情報のレベルが高いし、あまり落ち過ぎない。
―傍観しているメンバーのアカウントを削除するというのも印象的です。
ハイロック:本来は延で数えると3000人くらいのメンバーがいるんですけど、あえて1000人程度に止めています。ただ、そこは僕の独断ではなく、公平な委員会を作って、ですね。FreshMailは発信する場所なので。