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初・渋谷直角の岡本仁案内。
2012.03.08

―岡本さんが『リラックス』の編集長降りる時にね、メールくれたんですよ。
岡本:うん。
―そこに、「俺は、これからは老境に向かいます」って書いてあって。
岡本:俺、そんなメールしたの(笑)?
―はい。だから岡本さんは、これからはこじんまりやっていくというか、そういう感じになっていくのかなあ、って思ってたんですよ。
岡本:うんうん。
―なのに、むしろ今の方がイケイケなんじゃね? っていう(笑)。
岡本: えー? すごいこじんまりしてるじゃん。
―そうですか?
岡本:別にイケイケじゃないと思うんだけど(笑)。うーん...、なんか、今でも『リラックス』とかさ、みんな褒めてくれるじゃない? それはすごい嬉しいんだけど、あれを維持していくために、やりたくないこともすんごいいっぱいやってきたわけじゃない?
―ああ、はい(笑)。
岡本:今は、やりたくないことはやらない。やりたいことだけやってるわけじゃないけど、少なくとも、やりたくないことはやってない。俺はそれ、こじんまりしてるし、老境だと思うんだけど(笑)。
―ああ、うーん。そうか。
岡本:年とってワガママになったから、人の言うこと聞きたくない! って(笑)。「そんな面倒臭いことなら、いいです」って言っちゃう。ただ、面白いか面白くないかわからないもので、そんなの嫌だ、っていうものじゃなければ、全然やるから。そういう意味では、まさしく老境だと思うんだ、今や。
―そうかあ。僕が見ると、「岡本さん、すっげえ楽しそうだなあ」って。
岡本:昔さ、『リラックス』か『ブルータス』か忘れたけど、みうらじゅんさんに原稿頼んだか、インタビューした時に、みうらさんが「早く年をとって、 良いトシしたバカになりたい」って話をしてたんですよ。要するに、今馬鹿なことやって、無視されたり、しかめっ面されるのは自分がまだ若いからで、これがすっかり年をとってしまえば、すべてが許されるようになる、って言ってて。「いいトシして」って笑われる感じが、トシとると許されるっていうか。今、俺もそれをやってるっていうのかなあ? まあ、イケイケになってる感じではない。
―バカになってきてるなあ、って感じ、あるんですか?
岡本:お前、バカにしてんのか?
―ひっ! バカにしてないです!
岡本:(笑)。いや、「バカやります」って気は別にないので、心がけたりはしないけど。でも「これはやりたくないです」って言い切っちゃうのは、人から見ればバカに見えるかもしれない。
―ああ、こんなオイシイ仕事なのに...、とか?
岡本:そうそう。正にそれ。乗ればいいのに、ってさ。まあ、そこまできれいごとではないけど。あと単純に、記憶力が薄れていくっていうところで、それは記憶する容量が少なくなってきてるから、いちいちつまらないことを覚えて、(自分の中の)ハードディスクのメモリ取りたくないっていうことなんだけど。だから流すようにしてる。効率よく使うために。そういう意味ではバカになってる。全部覚えてなくていいや、っていう。

―こないだ僕、カルチャートでイベントやって。その時に、岡本さんがワークショップやった時の生徒さんたちが、たくさん来てくれたんですよ。
岡本:あ、ほんと。
―で、その子らが「私たち、岡本チルドレンなんです!」って言うんですよ。
岡本:ははははは!
―「お父ちゃん」とか言うんですよ(笑)。どんな関係なのよ!?みたいな。
岡本:「お父ちゃん」とは、面と向かって言われたことないなあ(笑)。いや、普通に先生と生徒の関係だけど。
―岡本チルドレンのOBとしては(笑)、そういう感じもわかるんですけどね。でもこう、岡本さんへの見方とかは違うのかなあ、って。
岡本:ああ、それは違うんじゃない? 彼らはお金払って、受講しに来てくれたわけだから、こっちもその分教えたいし。でも直角とかには、お金払ってた立場だから。「もっと面白いの書けよ!」っていう(笑)。
―や、それもそうですけど、もっとこう......。僕、アイドルを好きになったのも岡本さんの影響だし。
岡本:ええっ!? そうなの!?
―そうですよ! 一緒に浜松まで、SPEED見に行ったじゃないですか。
岡本:行った(笑)。行ったけど、元々好きだったんじゃないの?
―全然ですよ! あの頃の僕は、「芸能界なんて」みたいな。FUCK THE バビロン、FUCK THE システム...。
岡本:ええ~っ?
―だって僕、バッファロー・ドーターとフィッシュマンズのライブばっかり行ってるような男の子でしたよ。
岡本:何スカしてんだよ(笑)。
―スカしてたんですよ!で、岡本さんなんてもっとスカしてるんだろうな、って思ってたのに、「SPEED見に行く」って。ええ!? みたいな。その衝撃!
岡本:はははは。
―で、僕もSPEEDのライブ初めて見て、すっごいショック受けて。「......ば、バッファロー・ドーターよりイイ!」(笑)。
岡本:エンターテイメントに打ちのめされた(笑)!
―週プレのグラビアとかをチェックするようになったのも、岡本さんの影響ですから。
岡本:モー娘。が着てるのと同じジャージ着て、DJやったよね。一緒に。
―そうですよ。なんか、そういう振り幅っていうか、オシャレとかオシャレじゃないとか関係なくて、自分にとって良いもの、好きなものは好きだし、好きって言えるし、っていうスタンスが、僕が一番、岡本さんから影響受けたところで。「ただのオシャレでセンスいいオジサン、とかそういうことじゃないよ!」って言いたいところがあって。
岡本:ああ~。
