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初・渋谷直角の岡本仁案内。
2012.03.08

―でも最近はもう、アイドルの話とかしないじゃないですか(笑)。あんま興味なくなっちゃったんですか?
岡本:だから、あの時は興味あったのもあるし、『リラックス』という雑誌をやる時にはアイドルも外せないから、意識的にチェックしてたりしてたけど。今はもう、老境だからさあ(笑)、さっき言ったみたいにハードディスクの容量を考えないといけないから、あんまりたくさん吸収しても、消化しきれなくなってるんだよ。そういう意味で、アイドルはまあいいか、って。まあ、このトシでアイドルのこと言ってるのも...。
―あんま、ヤバいか(笑)。
岡本:テレビも『カーネーション』ぐらいしか見てないし、そもそも今、テレビ持ってない。
―あ、そうなんですか。
岡本:引っ越す時に持ってかなかった。コンパクトDVDプレイヤーについてるモニターで見てる。
―じゃあ、もうあんまギラギラしたものは目に入ってこないっていうか。
岡本:そこはもう、直角さんのブログとかツイッターを見て、「ほう」とか「今はこうなんだ」とか(笑)。勉強させていただいてます。
―嘘ばっか(笑)。じゃあ、岡本さんは老境...、もちろん自分ではそう思ってないかもしれないですけど......。
岡本:年相応になってきてる。まあ、『リラックス』の時も年相応だと思ってたんだけど。だから、20代の人たちでワイワイやってるところに、40代の人が最終的な決定権を持ってるってところが、あの雑誌の変なところで。だから自分としてはそういう役割で。でも他のみんなは20代30代で、面白い面白い、って言ってるところを「へえ」って見てみたら、実際に面白かったわけで。あの頃はそういう感じだったな。
―じゃあ今、ランドスケープの若い人たちが「岡本さん、これヤバいっすよ!」みたいなのって、あんまないんですか?
岡本:ああ、全然あるよ。ホワイテスト・ボーイ・アライブとか、ももクロとか、いろいろ教えてもらってますよ。みんな緊張してるのか、ちょっとしか教えてくれないけど。教えがいのある男だ、ってことにみんな気がついてない(笑)。教えてもらって、面白いって思ったら、それは楽しむし。それはこの本(鹿児島案内)も一緒でさ。教えてもらったことだから、楽しいわけで。自分で全部探してたら、途中で面倒くさくなって探さなかったと思う。で、教え上手というか、教えたがりが、鹿児島に多いんですよ。悪い意味じゃないよ?「あそこ、良いから行きな」って、すごく教えてくれるんで、それに乗っかっておもしろがって。そのおもしろがり方を、この本でも楽しんでもらえたらいいんじゃないかな、って。

―最後にですね、この『続・ぼくの鹿児島案内』を、みんなに是非買っていただきたい、と、僕は思ってるわけです。
岡本:ほう。
―それと、「合わせて買いたい」と。
岡本:合わせて買いたい?
―もちろん渋谷直角の爆裂面白エッセイ本、『直角主義』をで~す!!
岡本:はあ...(笑)。
―2冊セットで皆さんには買っていただきたい、という感じにしたい!
岡本:......すれば(笑)?
―だから、もっと岡本さん、褒めてくれないかなあ、と思って。
岡本:何だそれ(笑)。......まあ、良いタイトルだよね。
―確かに、結構タイトル、褒めてもらってます(笑)。
岡本:でしょ? だから最初から言ってんじゃん。不満げな顔しちゃって。
―えへへ...。な、中身は?
岡本:ツイートしたじゃん。
―もっかいお願いします!!
岡本:だから、もらったから読んどこうかな、って思って読み始めたら、やめられなくなって。
―おお~。
岡本:ホントに、一気に読んだんですよ。俺、一気に読むことってほとんどないんだけど、「あれ、読まされちゃった」って。
―うへへへ...。
岡本:で、それこそ振れ幅じゃないけど、センチメンタルな話だけだと気持ち悪いし、変な人の話だけだと、読んでる間は面白いけど、何も残らない。そのバランスがすごく良くて、なんか、良い本だなあ、って。
―むへへへへ(身悶える)。
岡本:すごく正直に言うと、ブログで読んだ時はあんまり面白いと思わなかったやつとかが、本になったら面白くて(笑)。ブログだとさ、あのスクロールが...。
―ああ、鬱陶しいですか?
岡本:鬱陶しいんじゃなくて、ブログはスクロールする行為も込みで、完結する読み物だったじゃない? それが必要なくなって、文字だけになったときに「あ、文字だけで読んでも、こんなに面白かったんだ」って。
―ふへへへへ! わ~、嬉しい!
岡本:文字だけでぜんぜんイケてるじゃん、っていう。感想です。
―やったね!
岡本:そこはビックリした。ちゃんとしっかり書いてたわ、っていう(笑)。あとはやっぱり(本をデザインした)小野英作はスゴいな、って。これでいい(笑)?
―『リラックス』の頃のこととか、完全に無許可で書きましたけど。
岡本:ああ。あれは、「あ、そう思ってたんだ」っていうのもあるし、俺には書けないことだし。みんながそれぞれあの編集部にいて、それぞれ思うことがあったんだろうな、って。「あの頃、ああだったけどさあ」って、酒の席でするのは俺、すごい嫌いなんだけど(笑)。
―ははは。
岡本:なんか文字にしてあって、本になって読むのはまた全然違うじゃない。そういう意味で、良かった。俺、(中目黒の)ギグルカフェでそんなこと言ったかなあ、とか(笑)。言った方ってそんなに覚えてないね。でも、あれを読めたのもすごくよかったです。ホントに良い本だと思った。掛け値なしに。
―ありがとうございます! いやあ~、僕も『続・ぼくの鹿児島案内』読んで、「ああ、ちゃんと書いてんなあ」と思いましたよ。
岡本:あ? なに?
―嘘です! 冗談です!!(ダッシュでF.O.)
岡本仁
1954年北海道生まれ。マガジンハウスにて「BRUTUS」「relax」「ku:nel」等の雑誌編集に携わったのち、2009年ランドスケーププロダクツ入社。新プロジェクト「BE A GOOD NEIGHBOR」を担当している。著書に『今日の買い物』『続 今日の買い物』(ともにプチグラパブリッシング)がある。