チャールズ3世は、二十歳の時に〈ジョンロブ〉で誂えたオックスフォードシューズを、いまも継ぎを当てて履いている――。
“Buy once, buy well” を信条とする彼を象徴するエピソードだ。確かによいものを買えば、毎シーズンのようにワードローブを見直す必要はなくなるだろう。
彼は極端な例だが(その靴はすでに半世紀に及ぶ相棒だ!)、修理して大切に使い続けるという教えはロンドンっ子の骨の髄まで沁みついている。
フロッキー加工の文字は経年変化でひび割れたような表情に。
〈メゾン マルジェラ(Maison Margiela)〉は尊ぶべきそんなライフスタイルを “English Heritage” と名付け、コレクションに落とし込んだ。
そのTシャツはエイジドウォッシュ加工とサンフェイデッド加工という現代の技術を駆使し、着込むことで現れるシワ、色褪せ、ほつれを表現している。チャールズ3世のTシャツ姿は想像もつかないが、彼のワードローブにあっておかしくない風格が漂う。
T-Shirt ¥124,300
Photo_Hiroyuki Takashima
Text_Kei Takegawa