ファッションスタイリスト・庄司洋介さんによる写真展「スタイリングという行為について。part1」が開催中です。
庄司さんは、武蔵野美術大学在学中から〈ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)〉の大月壮士氏に師事し、その後スタイリストとして独立。
そんな彼が今回フォーカスしたのは、スタイリングという行為のもどかしさや曖昧さ、不確かさ。その想いが込められたステートメントをご覧ください。
私は衣服のスタイリストとして活動しています。
私の仕事は単に服を「着せる」ことではありません。「スタイル」とは、身体の動きや姿勢、その場の空気や時間の流れまでも含んだ、一つの「様式」です。スタイルをつくるのが私の仕事だと考えています。
しかし、どんなに細かく仕上げても、作品としての完成は自分の手を離れ、誰か別の手に委ねられてしまうことが多いのも事実です。だからこそ、スタイリングは常に不確かで、どこか曖味な存在でもあります。今回の展示では、そんなスタイリングのもどかしさや曖味さを形にしました。
コピー用紙に印刷された写真は、会期中に少しずつ剥がされ、折られ、姿を変えていきます。そして最終的には、デジタルデータとして購入者の元へ届きますが、誰にどんな風に扱われるかは私にはわかりません。この展示は、スタイリングという行為が、単なる物理的な作業に留まらず、目に見えない関係性や時間の流れを含むものであることを伝えたい試みです。
私は「スタイリスト」という言葉にとらわれず、スタイリングという行為の意味やあり方に関心を持ち、日々考えています。展示に並ぶ写真は、特定のテーマや制約を設けず、日常の断片としてそこにある、些細な時間や空間をそのまま切り取りました。それらは自分自身の感覚や記憶の延長線上に位置し、鑑賞者の記憶や感情と静かに共鳴することを願っています。
この展示を通して、私が感じているスタイリングという行為の不確かさや自由さの間にある微妙なバランスを、少しでも感じ取ってもらえたらうれしいです。
庄司洋介
本展示で表現されている不確かさや微妙なニュアンスは、ギャラリーというフィジカルな空間でこそ感じ取れるはず。会場は、蔵前や浅草、上野にほど近い新御徒町エリア。展示に足を運んで、そのまま東東京を満喫するのもいい週末の過ごし方ではないでしょうか。
スタイリングという行為について。part1
会期:7月22日(火)〜8月4日(月)
場所:229GALLERY
住所:東京都台東区台東4-22-2
時間:12:00〜19:00(土日祝は12:00〜20:00)
※ワンドリンクオーダー制