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【FOCUS IT.】交差点としてのNew York。チャリ屋からはじまったチャリアンドコーとKIKUMARUのクロスカルチャー対談。

ローワーイーストサイドのチャリ屋からはじまり、自転車とストリートの匂いが濃厚に漂うブランド〈チャリアンドコー(CHARI&CO)〉。その唯一無二の世界観は、いつしかニューヨークの街角から東京のセレクトショップ、さらには映画のワンシーンにまで広がっていた。仕掛け人は、ニューヨークのリアルな“空気感”を服に落とし込むディレクターの後藤雄貴さん。そんな後藤さんが今回“話してみたい相手”として選んだのは、意外にもラッパーのKIKUMARUさんでした。

「KANDYTOWN」のメンバーで現在はソロとして活動し、無類のNY好きとしても知られる彼は、ニューヨークと東京をつなぐブランド〈クルックリン(K’rooklyn)〉も自ら手がける、音楽にとどまらない幅広いカルチャー感覚を持つアーティスト。最近リリースしたEP『Chain Reaction 4』は、その確かなラップスキルはもちろん、KIKUMARUさんだからこそ実現できた豪華な客演陣と世界観で、改めて存在感を際立たせています。

そんな二人が出会ったのは、今年の春のニューヨーク。知人の紹介で初対面を果たすと、〈チャリアンドコー〉の服をまとって街中で撮影を実施しました。共通する“NY愛”が二人を一瞬にして近づけ、たちまち意気投合したという。そしていまでは、お酒を飲むほどの仲になっているとのこと。というわけで今回はその飲みの席にお邪魔して、二人の出会いから撮影の裏話、〈チャリアンドコー〉の背景、そしてニューヨークの魅力について、撮影時の写真を振り返りながら、じっくりと語ってもらいました。

Photo_Tai Kino
Text_Atsutaro Ito
Edit_Seiya Kato


PROFILE

KIKUMARU(左)

ラッパー。
Instagram:@kikumaru_tokyo

PROFILE

後藤雄貴(右)

〈チャリアンドコー〉ディレクター。
Instagram:@chariandconyc


違うフィールドで活動する二人を繋いだのは、ニューヨークという共通言語。

ー この企画の打ち合わせをするなかで後藤さんから、KIKUMARUさんとのニューヨークでの撮影について話が出たことをきっかけに今回の対談に至りました。はじめに、お二人の出会いについて教えてください。

後藤:この前ニューヨークで初めて出会ったんですよ。たまたま共通の知り合いがいて、紹介してもらいました。

KIKUMARU:今年の2月くらいでしたっけ?

後藤:そうですね。ちょうど〈チャリアンドコー〉の撮影のタイミングに、KIKUMARUさんもニューヨークにいるっていうことを聞いて、そこで撮影させてもらいました。

ー KIKUMARUさんは〈チャリアンドコー〉というブランドのことは以前からご存知でしたか?

KIKUMARU:もちろん知っていましたよ。

後藤:ありがとうございます!

KIKUMARU:ニューヨークと自転車をテーマにした日本人がやっているブランドということで、前からチェックもしていましたし、東京でニューヨークのフェスをやろうと思った時に〈チャリアンドコー〉に出店してもらおうと思って、事務所に挨拶に行ったこともあります。けれど、コロナもあって結局はフェス自体が実現しなかったんですよ。

後藤:そうでしたね。

KIKUMARU:それと、自分もニューヨークがすごく好きで。〈クルックリン〉っていうブランドをやっていたり、曲のインスピレーションにもなっている街なんで、よく行くんですよ。そんななかで、〈チャリアンドコー〉が実際にニューヨークに店舗を構えているっていうのは、やっぱりすごいなって思いますね。

後藤:素直に、嬉しいです(笑)

ー 後藤さんは、KIKUMARUさんにどんな印象を持たれていましたか?

後藤:本当に申し訳ないんですけど、僕、ラッパーがあまり詳しくなくて……。だから撮影でお会いするまでは、KIKUMARUさんのことをちゃんとは知らなかったんです。でも、実際にお会いしてみたら、ものすごくエネルギッシュでフレンドリーで。一緒にニューヨークに来ていた後輩の面倒もしっかり見ていたりして、なんというか、その立ち振る舞いも含めて「すごくニューヨーカーっぽいな”」感じました。人として、一瞬で惹かれましたね。

KIKUMARU:あの時の撮影、楽しかったですね。

NY STATES SOUVENIR HOODIE SWEATS ¥15,400

ー そのニューヨークでの撮影は、どんな感じだったんでしょうか?

後藤:最初はカフェで会って、そこから僕が滞在していたアパートメントに寄って、それからサブウェイでマンハッタンとかブルックリンにも行きました。

KIKUMARU:あのとき着てたのって、今シーズンのアイテムでしたっけ?

後藤:そうです。2025年秋冬コレクションからメインアイテムのジャケットやスウェット、ロゴTシャツとかを着てもらいましたね。

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KIKUMARU:実際に着てみて、シンプルでかっこよかったし、なによりニューヨークの街並みに〈チャリアンドコー〉のアイテムがすごく馴染んでいましたよね。普段はあんまり自転車に乗らないんですけど、そんな自分でも全然着られるなって思いました。

後藤:KIKUMARUさんご本人の魅力を活かしたかったので、今回は、コレクションの中でもあえてシンプルなものを選んだんですよ。すごく似合っていて、自然と着こなしている感じが格好良かったですね。

街のチャリ屋が、いつしかカルチャーの交差点に。

ー 改めて写真を見返すと、お二人とも街にすごくフィットしているように感じました。そんなお二人から見て、ニューヨークのどんなところが魅力的ですか?

KIKUMARU:ニューヨークって、なんでもある街なんですよ。人種も文化もめちゃくちゃ多様で、ひとつブロックが変わるだけで景色も空気感もガラッと変わる。こっちはキラキラしているのに、あっちはめちゃくちゃゲトーだったりして、そういう振れ幅も含めて学べることが本当に多いんです。 動けば動くほど出会いがあるし、普通にやばいアーティストたちもその辺にいたりして「ほんとにここすごいな」って思わされる。あと、街がコンパクトで移動しやすいのも好きですね。行きたい場所にすぐ行ける距離感って、じつはすごく大事で。

後藤:本当にその通りで、ニューヨークの格好良さって、やっぱり“いろんなものが混ざり合っている”ところにあると思うんです。人種も文化も価値観もバラバラな人たちが、それぞれの目的を持って集まっていて、そのなかで生活するだけで常に刺激がある。でもその一方で、みんながお互いをちゃんと意識していて、ある種の緊張感みたいなものもあるんですよね。適当には生きられないというか、常に自分をアップデートしていかないと置いていかれるような感覚。そういう空気感も含めて、やっぱり特別な街だなと思います。

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KIKUMARU:短い期間ですけど、自分もニューヨークに住んでいたことがあるので、ゆうきさん(後藤さん)があのシビアな街で17年暮らしてたって聞いて、シンプルにリスペクトだなって思いました。しかも現地でお店もやっていたんですよね? あれって、どのエリアだったんですか?

後藤:場所はマンハッタンのローワー・イースト・サイド。ウィリアムズバーグブリッジのすぐそばで、ブルックリンからマンハッタンに通勤する“コミューター”たちがよく使うルートなんですよ。自転車で通ってる人も多くて、もし途中でパンクしたり、トラブルが起きたときに、すぐ立ち寄れる場所があったら便利だなと思って。そういう人たちにとって「ここが一番近い」って思える場所にしたかったんです。だから、あの橋のふもとに構えるのがベストだなと。

KIKUMARU:いやー、マジで街のチャリ屋って感じからはじまったんですね。

後藤:そうなんですよ。だから最初は日本製の自転車のパーツをメインに扱っていて、アパレルも、ショップTシャツくらいは作るかっていう、わりと軽いノリではじめたんです。

KIKUMARU:そこから有名ブランドとコラボするようになるって、普通にすごいですよね。何かきっかけとかあったんですか?

後藤:当時はまだ、完全に“街のチャリ屋”だったんですけど、ありがたいことにいろんな人がお店に来てくれていて。そのなかに〈スティーブン アラン〉っていうブランドの生産管理をやっていた人がいたんです。何度か通ってくれているうちに仲良くなって、2009年にシャツを一緒に作ることになりました。それが大手メディアに取り上げられて、日本のセレクトショップでも取り扱われるようになったんですよね。そのあたりから、ファッションブランドとしてちゃんとやっていこうっていう気持ちが芽生えてきて、コレクションを作ることとか、服作りそのものにどんどんおもしろさを感じるようになった気がします。

KIKUMARU:まさに、流れに乗ったって感じですね。その当時、ほかにはどんな人たちがお店に来ていたんですか?

後藤:あの頃は〈シュプリーム〉や〈アンタイヒーロー〉のスケーターたちが、けっこう頻繁に顔を出してくれていました。ジュリアン・ストレンジャーとかジョン・カーディエルも、ふらっと寄ってくれることが多かったですね。ストリートのど真ん中にいる人たちが、自然と集まってくるような感じです。

KIKUMARU:なるほど。地元の人とかコミュニティに〈チャリアンドコー〉が愛されていたから、長年やってこれたって感じですよね。それでも絶対大変だったと思うんですけど…。

後藤:まぁ、大変なこともありましたね。それこそ、ニューヨークは東京とか日本では考えられないような事件がしょっちゅう起こるし、うちの店でも物が盗まれたり、スタッフが勝手に、みたいな(笑)。ちなみに、撮影でKIKUMARUさんに着てもらったTシャツのグラフィックは、物が盗まれた時の監視カメラの映像をそのままプリントしているんですよ。

REWARD TEE ¥6,985

KIKUMARU:やば! そうだったんだ。リアルに起きたことを作品に落とし込んでいて、めっちゃいいですね。まさに、ニューヨークのやり方って感じがします。

ニューヨークで感じる、本物の刺激と成長。

ー これまであった色々なことを乗り越えて、現在の唯一無二のスタイルを確立した〈チャリアンドコー〉があるということですね。それでは最後に、この記事の読者やニューヨークに興味を持っている人たちに向けて、お二人からメッセージをお願いします。

KIKUMARU:自分はアーティストなんで、日頃から伝えたいことを曲にしたりTシャツにしたり、写真を撮ったりして表現しているんですけど、そういうマインドがある人は、ニューヨークがきっと好きになると思います。映像とか画面の中じゃなくて、自らのフィルターを通して見るニューヨークの街並みから、何かしら生まれるものあるはずです。とにかく興味があるなら、一度現場に行ってみてほしい。体感した分だけ、自分に返ってくるものも大きいと思いますよ。

STABULITY MA-1 JKT ¥30,800
※10月発売予定

後藤:ちょっと年寄りっぽいことを言うかもしれないけど、若いうちに一度はニューヨークに行ったほうがいいと個人的には思っています。若い時じゃないと感じ取れないものって、やっぱりあると思うんですよ。向こうに行って、自分をあえて大変な状況に置いてみると、人間もブランドも、自然と成長するんですよね。ニューヨークって、年齢も人種もバックグラウンドもほんとに幅広い人たちが集まってるから、アートでも音楽でもファッションでも、いいものに対してはすごくフラットに見てくれる印象があって。もちろん全部がそうじゃないけど、他の街に比べて、チャンスが転がってる感覚は確実にあると思います。KIKUMARUさんも言ってたけど、興味があるなら、とりあえず現場に飛び込んでみるのが一番ですね。

INFORMATION

CHARI&CO カスタマーサービス

電話:050-1809-7400
www.chariandco.jp

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