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連載【アフロジャパニーズブルース。〜奇才デザイナーの世界物見遊山〜】Vol.8 いろんな意味でボロボロに!? 初めての経験だらけで心身ともにくらった国、チュニジア。

ブラックカルチャーに魅了され、その情熱を〈ラムロフ(Lamrof)〉というブランド、そしてアフリカンジュエリーレーベル「AFLOGICAL JEWELRYS」へ惜しみなく注ぎ込むファッションデザイナー・シャーリーこと坂本大輔氏。

さらに近年では、以前より運営していたアメリカのミッドセンチュリー期のアイテムを中心にした雑貨レーベル「EARTHY ANTIQUES」もアフリカ雑貨をメインに方向転換させるなど、さまざまな角度から自身が愛するブラックカルチャーを表現しています。

“アフロ〇〇”とは、アフリカ由来の、という言葉。そういう意味では坂本氏は、日本人でありながらアフリカにルーツを持つ“アフロジャパニーズ”というわけです。

この連載では、坂本氏が実際にアフリカを中心とする世界各国を放浪するなかで見てきたヒト・モノ・コトを彼のフィルターを通してご紹介。彼の目に映るブラックカルチャーとは、そしてそれをどのようにプロダクトに落とし込んでいるのか、ありのままの坂本氏と彼が魅了されたブラックカルチャーのリアルを、実際の写真と坂本氏の生の声でお届けします。

Photo_Sha-Le(Daisuke Sakamoto)
Edit_Naoya Tsuneshige


PROFILE

シャーリー(坂本大輔)

2022年よりファッションブランド〈ラムロフ〉をスタート。ジャズやソウルやレゲエなどのブラックミュージックを好み、アフリカ系アメリカンをはじめとするブラックカルチャーの歴史と文化に敬意を払ったコレクションを展開する。2024年からはアフリカンジュエリーレーベル「AFLOGICAL JEWELRYS」、アンティーク雑貨レーベル「EARTHY ANTIQUES」も始動。どっぷりとブラックカルチャーに傾倒し、それをより多くのひとに届けるために日々奮闘中。根っからのサッカー好きでもある。
Sha-Le Instagram:@8_shale_8
Lamrof Instagram:@lamrof_official
Aflogical Jewelrys Instagram:@aflogical_jewelrys
EARTHY ANTIQUES Instagram:@earthy_antiques

大怪我すれすれ!?

前回に続きチュニジアの放浪記。滞在3日目は買い付けをお休みし、毎度恒例の“アート探索”に時間を割いたという坂本氏。首都・チュニスにある神殿のような現代美術館「Musée National d’Art Moderne et Contemporain」へ向かったようです。

「ここは1894年から2004年までのチュニジアのアートが展示してある美術館。その豪奢な見た目に、入る前から期待は高まっていましたが、それを優に超えてくるとても良い展示でした。アラビア語を活かしたタイポグラフィ、カリグラフィアート、アフリカ特有の素材やテクスチャーを活かした造形美が美しいトラディショナルな展示、細やかなタッチの写実絵画や現代ARTまで、心をくすぐる展示物がとても多かった」

「ちなみに入場料は無料。これって日本人からすると驚くかもしれないけど、世界的にみると割と普通なことなんですよね。ロンドンの美術館に行ったときもそうでしたし。アートとの距離感っていうことにおいて、日本は圧倒的に遠い気がして少し寂しいですね」

続いて坂本氏が向かったのは「ハマム」。アラブ圏ではよく見られる、伝統的な公衆浴場です。と言ってもいわゆる湯船はなく、蒸気が立ちこめる蒸し風呂のようなもの。旅の疲れを癒そうと向かった先で待っていたのは、想像を絶する体験だったようです…。

「とりあえずタオルを渡されてロッカーに案内され、下着になれと指示を受け、準備を済ませると奥にある大きなドアの向こうへ案内されました。ドアを開けるとそこにはすべてがチュニジアンタイルと大理石で覆われた洞窟のような広い空間が。ざっくり流れを説明すると、まずはサウナで身体をあたため、シャワーで汗を流し、垢すりとマッサージを受ける、という感じです」

「メインの垢すりはやっぱり人気みたいで、だだっ広い蒸し暑い空間でひたすら待たされました。現地人ばかりのなかでひとりだけ日本人がいるというカオスな空間でそのときを待っていると、眼前には衝撃の光景が」

「屈強な身体をしたアフリカ系の従業員が、これでもかってくらい全力でマッサージをしているんです。大理石に叩きつける感じで(笑)。現地人も痛みで悶絶、全員涙目。そしてついに自分の番が回ってきました。多分ですけど、あのとき肋骨は2本くらい折れて、首の皮膚はほとんどなくなりましたね(笑)」

衝撃的なマッサージを受け、この日はホテルへ帰った坂本氏。いつもよりすぐに、そしてぐっすり眠れたようで、マッサージには確かな効果があったようです。


スムーズにいかないチュニジア散策。

翌日はチュニジアの伝統的なタイルのことを知るために、タイルのメッカとして知られる街・ナブールへ向かった坂本氏。ぎゅうぎゅう詰めの乗り合いタクシーに揺られること2時間、待っていたのはチュニスとはまた一味違う美しい光景だったようです。

「静かな街かと思っていましたが、想像以上に栄えていてとても活気のある場所でした。タイル屋、陶器屋が多く存在し、訪れてみると取り扱っているものひとつひとつがきめ細かくて美しい。デザイナーとして、見習うべきことがたくさんありました」

Lamrof 2024SS

Lamrof 2024AW

Lamrof 2025SS

「ぼくが〈ラムロフ〉などのクリエイティブで大切にしているのが、“CUTE”と思われない“COOL”と思われるようなアプローチ。そして“色気”と“土臭さ”という相反するものをうまく織り交ぜることをつねに意識しています」

「それでいうと、だれが見ても美しいと思うものにはあまり惹かれないんです。チュニジアンタイルがそう。陰と陽、裏と表、それらが合わさることでしか出せないものを追求し続けたいし、そういうものが好き。と思っていたのですが、チュニジアンタイルはそれを凌駕するほどのクオリティで、めちゃくちゃ感性が刺激されてしまいました」

最終日は、チュニジア第三の都市・スースへ。目的はメディナ(旧市街)だったと話す坂本氏。ここスースのメディナは世界遺産に登録されていて、アラブ・イスラム文化の影響を色濃く受けた街並みが広がり、特にその保存状態が良く、古代からの建築や生活様式を今に伝える重要な文化遺産として知られています。

買い付けも兼ねてこのメディナをひたすらに物色しようと意気込んでいた坂本氏でしたが、思いもよらぬ展開が待ち構えていたようです。

「いつも10時間くらいぶっ通しでうろちょろとするので、今回も気合いを入れて回ろうと思っていた矢先、なんだか眩暈がしてきて…」

「これはマズイ! といったんホテルに戻って休んでみたのですが良くならず、そのまま次の日の夕方まで寝込んでしまいました。これまでいろんな国を訪れ、それなりにハードスケジュールもこなしてきましたが、ここにきてガタが。体調管理は大事ですね…」

フラフラになりながらも、事前にオーダーしていた、北チュニジアの伝統的手法でつくられた靴はなんとかピックアップして、チュニジアを締めくくった坂本氏。

次に向かった国はカメルーン。次回の“アフロジャパニーズブルース”もお楽しみに!

INFORMATION

Sha-Le:@8_shale_8
Lamrof:@lamrof_official
Aflogical Jewelrys:@aflogical_jewelrys
EARTHY ANTIQUES:@earthy_antiques

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