今年1月、〈エルメス(HERMÈS)〉の2025年秋冬コレクションが発表された。そのランウェイに現れたのは、フォーマルとカジュアル、相反する二つの要素がひとつに溶け合ったスタイルだった。
ブランケット付きのブルゾン、シャープなつくりのスーツ、柔らかそうなレザーシャツ、グラフィカルな編み地のニットなど、どれもモダンなのだが、とくに印象的だったのはグレーからブラウンの間を行き来するトーンで色がまとめられていたことだ。どこか優しさと温もりを感じるニュアンスが服の表情に奥行きを与えていた。
新作となるこの財布のカラーもそうだ。
これは「マカロン」コンパクトと名づけられた、レザーのミニウォレットで、中央を飾る楕円形のパッチが目印。このパッチは〈エルメス〉を代表するバッグのひとつ「ボリード」を参考にしたという。「ボリード」は、〈エルメス〉がはじめてファスナーを採用したバッグとして知られ、誕生から100年以上経ついまも愛されている。
財布「マカロン」コンパクト
W10.5 × H8 × D2 cm
¥473,000
「マカロン」を開くと現れるのが2つのコンパートメントと2つのカードポケット、スナップボタンが付くコインポケット。キャッシュレス決済が当たり前の時代においてはこの構成で十分というひとも多いと思う。
見どころはそれだけではなく、バンドリエールというストラップが付くところにもある。長さの調節ができるので、首からも肩からも掛けられる。必要なければ外して財布をポケットに入れてもいい。
秋のはじまりは「マカロン」をネックレス代わりにしてシャツやスエットに合わせてみてはどうだろう。その見た目と使い勝手のよさで、一度持てば手放せなくなる。
Photo_Hiroyuki Takashima