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連載【マイナーグッド図鑑】VOL.12 サンダルじゃないキーン。

王道ブランドの定番品はやっぱりいい。定番と言われるだけあって歴史があるし、信頼できるスペックもあって、何歳になっても飽きない。でもこれはちょっと天邪鬼なひとに向けた連載企画。あのブランドの、実は知られていない、けどグッとくるものを紹介します。第12回目は〈キーン〉のマイナーグッド。

Photo_Arata Suzuki
Styling_So Matsukawa
Text&Edit_Yuri Sudo


〈キーン〉と言えばサンダル。周知の事実だし、日本のフェス会場を見渡せばその圧倒的な支持率に驚くはず。

創業から22年、サンダルひとつで揺るがぬポジションを確立した彼らですが、実はその裏でこんなシューズを出していました。いやはや底が知れません。

ギブソン ミッド イーエスディー
¥21,450

2011年頃から展開をはじめて、現場で密かに支持されている〈キーン〉のワークライン。危険を伴う現場仕事はもちろん、工具を使うような趣味や災害支援でも人気だそう。国際的な安全基準ASTMにも適合していて、安心して足を任せられます。

こちらは一見なんてことないレザーシューズですが、機能が満載。アッパーはフルグレインレザーで、シミや引っ搔き傷をできにくくする特殊加工を施しています。

ソールまわりも最強の布陣。静電気を逃がすESD規格のソールを搭載していて、アウトソールは最大300°C(572°F)まで耐熱可能なゴム製アウトソールと滑りにくく溶けにくい「OIL&SLIP RESISTANTノンマーキングラバーアウトソール」、ミッドソールは軽量で耐圧縮性に優れた「KEEN.ReGEN.ミッドソール」、インソールは二重の密度を持っていて快適さとフィット感があります。ブランド独自の新型カーボン製のセーフティトゥガードで、つま先ももちろん安全。

こういったワークシューズは機能性を盛り込むことに注視するあまり、見てくれが残念なこともありますが、〈キーン〉は日常使いに落とし込む天才。デザインだって普通のレザーシューズさながらです。

エヴァンストン プルオン ウォータープルーフ
¥28,050

こちらも、先のモデルと同じ機能を搭載。熱にも衝撃にも強くて、履き心地も快適です。

違う点を挙げるならば、柔軟で軽量なパフォーマンスを実現するセメント構造。中足部のサポート性を向上するナイロンシャンクが搭載されています。100%非金属製だから、セキュリティの厳しい場所でも金属探知機を通過できるうえに、誤って通電中の配電回路に接触したとしても一時的にプロテクト性を発揮する機能も備わっています。

現場に合わせたスペックがありながら、ウエスタンブーツを想像させるディテールもあり。とくれば、デニムやチノ、カーゴパンツなどワーク由来のパンツに合わせてもよさそうです。

ピーティーシー スリップオン ツー
¥20,900

飲食店や花屋の店員さんがよく履いているスリッポン。〈キーン〉の手にかかればこうもタウンユース向きに。

先の2つのモデルと同じ機能性もありつつ、特筆すべきは濡れた路面も滑りにくい「KEEN.WET TRAX」アウトソールだということ。また、硬度の異なる2種のPUを組み合わせた「LUFTCELLミッドソール」のおかげで、空気が注入され、重力から解放されたような快適性です。なによりぽてっとしたチャンキーなフォルムがかわいらしい。

専門性の高い靴はこの世にごまんとありますが、その特性ゆえに、特定のユーザーが買って終わりがあたりまえ。しかし〈キーン〉のワークシューズは、必要としている層に届けながらも、一般層にも目配せをする柔軟さがあります。現場だけではなく都会での生活だって、困難や危険はつきもの。心強い一足は日常でも活躍してくれます。

サンダルじゃない〈キーン〉にも今後ご注目を。

ロケ地メモ:あるスタイリストの事務所。モノがあり過ぎて、人とすれ違うのが困難。

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