銀座の「アディダス ブランドコアストア」3階を、〈アディダス ゴルフ(adidas Golf)〉の専用フロアとしてリニューアルするなど、ゴルフカテゴリーに力を入れている〈アディダス(adidas)〉。ボアタイプの「スタンスミス」が発売されたことも記憶に新しいですが、勢いはまだまだ止まりません。
〈アディダス エキップメント(adidas Equipment)〉のコンセプトを受け継いだ、ゴルファーのためのコレクション「EQT Golf」が登場します。
1991年に誕生した〈アディダス エキップメント〉は、各カテゴリーにおける最上位のアパレル&フットウェアを揃えたプレミアムなライン。機能性を極限まで追求したプロダクトは、スポーツとファッションの両シーンで多くのファンを魅了してきました。
そんな〈アディダス エキップメント〉を土台とする「EQT Golf」とは。今回はその全貌を探るべく、キーパーソンである〈アディダス ゴルフ〉のシニア・クリエイティブ・ディレクターのディラン・ムーア氏にメールインタビューを敢行。
PROFILE
30年近くアディダスに勤め、フットボール、バスケットボール、キッズ、アウトドア、USスポーツなど、幅広いカテゴリーを経験。2012年よりゴルフカテゴリーを担当。現在は、グローバルでゴルフのシューズ、アパレル、アクセサリーのデザイン全般を統括するクリエイティブディレクターを務める。
ー 今回誕生した「EQT Golf」は、〈アディダス エキップメント〉がベースになっているそうですね。改めて、〈アディダス エキップメント〉とはどんなラインか教えていただけますか?
〈アディダス エキップメント〉は「必要なものだけを。余計なものは一切なし。」という考え方から始まりました。当初は、アスリートが最高のパフォーマンスをするために必要なもの、それだけを追求したラインでした。現在は〈アディダス オリジナルス(adidas Originals)〉の一部に位置づけられ、ストリートやファッション寄りなデザインのアイテムも展開しています。
ー どのような経緯で、〈アディダス エキップメント〉のエッセンスをゴルフウェアに取り入れることになったのでしょうか。
1991年当時、〈アディダス エキップメント〉のコンセプトは革新的で、スポーツとファッションの新たな可能性を切り拓く存在でした。私たちはその理念に感銘を受け、再解釈して現代のゴルファーが求めるものを反映したコレクションをつくることにしました。
ハーフジップスエット ¥26,400
ポロシャツ ¥17,600
ー 再解釈とは具体的にどういうことでしょうか。それが表れているアイテムがあれば紹介していただけますか?
アーカイブを見直し、ゴルフ専用のアイテムだけでなく当時のアイコニックなアイテムも取り入れました。クォータージップはその代表例です。シルエットはオリジナルを踏襲しながら、素材や細部をアップデートしています。他にも、ポロシャツはゴルフのアイテムをベースにしながら、よりテクニカルに再設計しています。
ー ゴルフウェアとしての機能性と、デザイン性の両立は簡単ではないはずです。そのバランスの取り方やコツはありますか?
パフォーマンス重視の考えは常に根底にあります。でも、「EQT Golf」はゴルフ場だけで着るものではありません。ニューヨークの街を歩いてもなじむようなものを目指しています。そのために、素材は機能性を持たせながらも少し厚みを加えたり、シルエットを大胆にして存在感を出したり、細部のデザインを工夫してスタイルを加えています。それでもゴルフのパフォーマンスに十分対応できるものになっていますよ。
ー 〈アディダス ゴルフ〉をデザインするうえで、ディランさんが大切にしていることがあれば教えてください。
デザインの本質は「課題解決」だと思っています。シューズであれ、ポロシャツであれ、マーケティングキャンペーンであれ、まずは「課題は何か」をしっかり理解しなければなりません。ユーザーが何を求めているのか、ブランドとして何を達成したいのか。それを明確にすることを大切にしています。
EQT 93 スパイクレス ゴルフシューズ
¥44,000
ベスト ¥19,800
ー インスピレーションはどのようなところから受けますか?
創業者のアディ・ダスラーは「形は機能に従う」という考え方を大切にしていました。私も、常に機能起点でデザインを考えます。つまり、アスリートがどう動くかということに着目するんです。ゴルフなら、スイングの動きや、歩くときの膝の動きなど。そこからデザインの方向性が生まれます。もちろん、現代では機能だけでなく見た目や感情的な価値も重要です。だからこそ、力強さやラグジュアリーさなどの要素も盛り込みながらデザインを考えています。
ー ディランさんにとってのゴルフの魅力は?
ゴルフの魅力は競争心です。対戦相手と競うこともあれば、自分自身やコースと競うこともある。そこが楽しいですね。それに、自然の中でプレーできる点もすごく好きです。
ー 最後に、日本の読者にひと言お願いいたします。
日本は大好きです。ゴルフへの情熱は本当に素晴らしいですし、プロダクトや食へのこだわりもとても刺激になります。だからこそ、日本がストリートウェアやファッションの分野でリーダー的存在になっているのだと思います。